循環器の病気の章。出題の柱は心雑音の時期、心筋梗塞の合併症、不整脈ごとの治療機器(アブレーション・ペースメーカ・ICD)、肺血栓塞栓症の4つで、同じ型の問題が何度も出る。どれも臨床工学技士がカテーテル室・手術室・ICUで出会う病気なので、「その病気にどの装置を使うか」まで結びつけて覚える。
血圧は心拍出量×末梢血管抵抗で決まる。体にナトリウムと水がたまるほど、循環血液量が増えて血圧は上がる。
| 血圧を上げる方向(正しい) | 逆の向き(誤りの肢) |
|---|---|
| 尿中ナトリウム排泄の低下(Naと水の貯留) カテコラミン(交感神経)の増加 アンジオテンシンⅡの増加(レニン–アンジオテンシン–アルドステロン系) 血管壁が厚くなる(血管壁/管腔径比の上昇) 肥満(BMIの増加)・ステロイドホルモン | 尿中Na排泄の増加 カテコラミン産生の低下 アンジオテンシンⅡ産生の低下 血管壁/管腔径比の低下 BMIの減少 |
高血圧の約90%は原因がはっきりしない本態性高血圧で、残り約10%が原因の病気がある二次性高血圧。若い人の高血圧や、急に始まった・重い・薬が効かない高血圧では、二次性を疑う。
| 高血圧症で正しい | 誤りとして出るもの |
|---|---|
| 診断は、日を変えて何回か測った収縮期血圧と拡張期血圧で行う(目安:診察室で140/90 mmHg以上) 治療は、まず減塩・減量・運動などの生活習慣の修正から始める | 平均血圧の値で診断する 一回の測定で診断する 初回からまず薬物治療 本態性は高血圧の約半数 |
| 二次性高血圧の基礎疾患(血圧が上がる) | 二次性低血圧の原因(血圧が下がる) |
|---|---|
| 腎性:糸球体腎炎などの腎実質の病気・腎血管性高血圧 内分泌性:原発性アルドステロン症・クッシング症候群・褐色細胞腫・甲状腺機能亢進症 | 脱水(循環血液量の減少) 心不全(心拍出量の低下) アジソン病(副腎皮質の機能低下でアルドステロンとコルチゾールが不足) |
副腎皮質ホルモンが多すぎる病気(原発性アルドステロン症・クッシング症候群)と、副腎髄質の褐色細胞腫は高血圧。副腎皮質ホルモンが足りないアジソン病は低血圧。アジソン病は二次性高血圧の基礎疾患ではない。甲状腺機能亢進症も心拍出量が増えて高血圧側に入る。
起立性低血圧は、立ち上がったときに血圧が大きく下がるもの(目安:立って3分以内に収縮期血圧が20 mmHg以上下がる)。立ち上がると、血液が下肢にたまるので血圧は下がる方向に動く(上がるのではない)。
| 正しい | 誤り |
|---|---|
| 正常では、下腿(足首)の血圧は上腕より高い(だからABIは1以上が正常) 脈圧(収縮期−拡張期)は、高齢者では血管が硬くなって大きくなる | 脱水は血圧を上げる 起立動作は血圧を上げる ステロイドホルモンは血圧を下げる 高齢者では脈圧が小さくなる |
閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化で下肢の動脈が細くなり、足への血流が足りなくなる病気。検査は足関節上腕血圧比(ABI)=足首の血圧÷上腕の血圧で、ASOではABIが低くなる(0.9以下が目安)。「ABI高値」は誤り。ABIが異常に高い(1.4程度を超える)のは、糖尿病や透析で動脈が石灰化して硬くなった場合。
| Fontaine分類 | 症状 |
|---|---|
| Ⅰ度 | 冷感・しびれ |
| Ⅱ度 | 間欠性跛行(歩くと足が痛み、休むと治る) |
| Ⅲ度 | 安静時の痛み |
| Ⅳ度 | 潰瘍・壊疽 |
足背動脈が触れにくいのもASOの所見。閉塞性血栓血管炎(バージャー病)は若い男性の喫煙者に多く、大動脈炎症候群(高安動脈炎)は若い女性に多く、腕の脈が触れにくくなる(脈なし病)。
急性動脈閉塞は、血栓や塞栓で動脈が急に詰まるもので、5つのPがそろう。
| 急性動脈閉塞の5P(みられる) | みられない(静脈の病気や炎症の所見) |
|---|---|
| Pain=疼痛/Pallor=蒼白/Pulselessness=脈拍消失/Paresthesia=知覚鈍麻(知覚異常)/Paralysis=運動麻痺 | 発赤(血が来ないので赤くならず、白くなる) 浮腫(静脈がつまったときの所見) |
大動脈解離は、大動脈の壁の内側が裂けて、壁の中に血液が入り込む病気。突然の激しい胸や背中の痛みで始まる。
| 分類 | 使う場面 |
|---|---|
| Stanford分類(またはDeBakey分類) | 大動脈解離。A型は上行大動脈に解離があり、緊急手術。B型は上行大動脈に及ばず、まず降圧などの内科治療 |
| Killip分類 | 急性心筋梗塞の心不全(身体所見) |
| Forrester分類 | 心不全の血行動態(スワン・ガンツカテーテルの心係数と肺動脈楔入圧) |
| NYHA分類 | 心不全の自覚症状 |
| GOLD分類 | COPDの重症度 |
| TNM分類 | がんの病期 |
肺血栓塞栓症は、下肢の深部静脈にできた血栓(深部静脈血栓症)がはがれて肺動脈に詰まる病気で、二つを合わせて静脈血栓塞栓症と呼ぶ。表在静脈(下肢静脈瘤)の血栓が原因になるのではない。血栓ができる条件はウィルヒョウの3要素(血流のうっ滞・血管内皮の障害・血液凝固能の亢進)。
| 危険因子(正しい) | 危険因子でないもの |
|---|---|
| 長期臥床・手術後・大腿骨頸部骨折など下肢の骨折・悪性腫瘍・深部静脈血栓症・肥満・妊娠・脱水・長時間同じ姿勢で座る(車中での避難生活、エコノミークラス症候群) | 心房細動は、心臓(左心耳)にできた血栓が動脈に流れて脳塞栓症を起こす。静脈の血栓ではないので肺塞栓の危険因子ではない |
診断にはD-ダイマーの測定と胸部造影CTが役立つ。治療の基本は抗凝固療法で、重い例では血栓溶解療法を行う。車中で避難生活をしていた人が車外に出た直後に胸痛と呼吸困難を起こした場合、最も適切なのは血栓溶解療法。
| 予防(正しい) | 予防法でないもの |
|---|---|
| 早期離床・弾性ストッキングの装着・間欠的空気圧迫法・抗凝固療法 | 酸素療法(低酸素の治療であって予防ではない) 抗血小板療法(動脈の血栓の予防に使う) |
弾性ストッキングと下肢のマッサージは、発症した後の治療にはならない(マッサージは残った血栓を飛ばすおそれがある)。ストリッピング手術・血管内レーザ焼灼術は下肢静脈瘤の治療。
動静脈瘻は動脈と静脈が直接つながったもので、透析のシャントは人工的につくった動静脈瘻。上大静脈症候群は肺癌などで上大静脈が圧迫され、顔や腕がむくむ。リンパ浮腫はがんの手術でリンパ節を取った後に多く、リンパ管炎は細菌がリンパ管に入った炎症。大血管の外傷は交通事故などの強い衝撃で起こり、大出血につながる。
| 浮腫の機序(正しい) | 代表例 | 逆の向き(誤りの肢) |
|---|---|---|
| リンパ管の閉塞 | リンパ節郭清後のリンパ浮腫 | — |
| 毛細血管の静水圧の上昇 | 心不全(心拍出量の低下で静脈がうっ滞) | 心拍出量の増加 |
| 血漿の膠質浸透圧の低下 | ネフローゼ症候群・肝硬変(低アルブミン) | 血漿アルブミン濃度の上昇 |
| 毛細血管の透過性の亢進 | 炎症・アレルギー | 毛細血管透過性の低下 |
浮腫は、腎でナトリウムと水の再吸収が増え、体内(細胞外液)にナトリウムと水がたまることで起こる(心不全・腎不全など)。「細胞内ナトリウム濃度の低下」は浮腫の機序ではない。
| 疾患 | 特徴 |
|---|---|
| 心房中隔欠損症(ASD) | Ⅱ音が固定性に分裂する |
| 心室中隔欠損症(VSD) | 左室から右室へ血液が流れ、収縮期雑音を聴取する |
| 動脈管開存症(PDA) | 大動脈から肺動脈へ流れ続け、連続性雑音 |
| ファロー(Fallot)四徴症 | 心室中隔欠損・肺動脈狭窄・大動脈騎乗・右室肥大の4つ。静脈血が大動脈に流れてチアノーゼ。子どもはしゃがみ込む姿勢(蹲踞)で楽になる |
| 中心性チアノーゼ | 末梢性チアノーゼ | |
|---|---|---|
| しくみ | 動脈血の酸素飽和度そのものが下がる | 動脈血の酸素は正常だが、末梢の血流が遅くなって酸素が抜かれる |
| 原因 | ファロー四徴症などの右左シャント・肺の病気 | 寒冷刺激・心原性ショック・閉塞性動脈硬化症 |
バチ状指は、長く続く低酸素(チアノーゼ性心疾患・COPD・間質性肺炎など)で起こる。僧帽弁狭窄症にバチ状指の組合せは誤り。
収縮期に開くのは大動脈弁・肺動脈弁(半月弁)、拡張期に開くのは僧帽弁・三尖弁(房室弁)。狭窄は、その弁が開く時期に雑音が出る。閉鎖不全は、その弁が閉じている時期に逆流して雑音が出る。
| 収縮期雑音 | 拡張期雑音 |
|---|---|
| 大動脈弁狭窄症(AS)・肺動脈弁狭窄症 僧帽弁閉鎖不全症(MR)・三尖弁閉鎖不全症(TR) 心室中隔欠損症(VSD) | 大動脈弁閉鎖不全症(AR)・肺動脈弁閉鎖不全症 僧帽弁狭窄症(MS)・三尖弁狭窄症 |
狭心症そのものは心雑音を出さない。
| 弁膜症 | 覚える所見 |
|---|---|
| 大動脈弁狭窄症 | 重症化の三徴は、失神・狭心痛・左心不全。左室肥大。高齢化とともに増えていて、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)による治療が増えている。雑音は収縮期(拡張期雑音は誤り) |
| 大動脈弁閉鎖不全症 | 拡張期雑音・大脈(脈圧が大きい) |
| 僧帽弁狭窄症 | 拡張期雑音。左房が大きくなり心房細動と左房内血栓を起こしやすい |
| 僧帽弁閉鎖不全症 | 収縮期雑音。心筋梗塞の乳頭筋断裂でも急に起こる |
| 三尖弁閉鎖不全症 | 収縮期雑音。右心不全の所見 |
大動脈弁狭窄症の重症化の徴候を問われたら、腹水や下腿浮腫は右心不全の所見なので外れる。
狭心症は、冠動脈が狭くなって一時的に心筋が酸素不足になる状態、心筋梗塞は、冠動脈が詰まって心筋が壊死した状態。冠攣縮性狭心症は冠動脈がけいれんして縮むもので、夜間から早朝の安静時に起こりやすい。
| 種類 | 合併症(正しい) |
|---|---|
| 不整脈 | 発症直後に多いのは心室細動・心室頻拍(死亡原因として最多)・完全房室ブロック(下壁梗塞で多い) |
| 機械的合併症 | 心破裂(心タンポナーデになる)・心室中隔穿孔・乳頭筋断裂(急性の僧帽弁閉鎖不全になる) |
| ポンプ機能 | 心不全・心原性ショック(IABP・ECMO・Impellaなどの補助循環を使う) |
| 慢性期 | 心室瘤(梗塞した壁が薄くなって外にふくらむ) |
| 心筋梗塞の合併症ではないもの(よく出る誤りの肢) | 本当は何の病気か |
|---|---|
| 大動脈弁狭窄 | 加齢や先天性二尖弁による慢性の弁膜症 |
| 弁輪部膿瘍・感染性心内膜炎 | 弁の感染症(4-6) |
| 心房中隔穿孔・心房中隔欠損症 | 穿孔するのは心室中隔。心房中隔欠損は先天性 |
| 僧帽弁狭窄症 | リウマチ熱の後などの慢性の弁膜症(梗塞で起こるのは閉鎖不全) |
| WPW症候群 | 生まれつきの副伝導路(不整脈の病気) |
| 冠動脈瘻(ろう=穴・つながり。試験では異体字で「冠動脈廔」と書かれることがある) | 冠動脈が心腔などと生まれつきつながっている先天性の血管の異常 |
| 冠動脈瘤(りゅう=こぶ) | 川崎病・動脈硬化などで冠動脈がこぶ状にふくらむ。梗塞でふくらむのは冠動脈でなく心室の壁(心室瘤・慢性期) |
| 疾患 | 特徴 |
|---|---|
| 肥大型心筋症 | 左室の壁が厚くなる。若い人の突然死の原因になる |
| 拡張型心筋症 | 左室が広がって収縮が弱くなり、心不全になる。重症では補助人工心臓・心臓移植 |
| 二次性心筋症 | ほかの病気による心筋症。心アミロイドーシス・心サルコイドーシスなど |
| 急性心筋炎 | 多くはウイルス感染による。急に悪化する劇症型心筋炎では、ECMOなどの補助循環で回復を待つ |
| 治療 | 適応となる不整脈 | 適応とならない(よく出る誤りの肢) |
|---|---|---|
| カテーテルアブレーション(異常な回路や興奮の出どころを焼く) | 心房細動(発作性を含む)・心房粗動・発作性上室性頻拍・WPW症候群・心室頻拍 | Brugada症候群・QT延長症候群は、イオンチャネルの異常で焼く場所がない(突然死の予防はICD) 洞不全症候群・房室ブロック・Adams-Stokes発作は徐脈なのでペースメーカ |
| ペースメーカ植込み | 洞不全症候群・Ⅲ度(完全)房室ブロック・MobitzⅡ型房室ブロック(症状のある徐脈) | ウェンケバッハ型(MobitzⅠ型)房室ブロックは、多くは経過観察 WPW症候群(頻脈→アブレーション) 心室細動(ICD・除細動) |
| 植込み型除細動器(ICD) | 心室細動・持続性心室頻拍の既往、Brugada症候群など突然死の危険が高いもの | — |
頻脈を焼く=アブレーション/徐脈を補う=ペースメーカ/突然死を止める=ICD。
| 心停止の波形 | 電気ショック |
|---|---|
| 心室細動(VF)・無脈性心室頻拍 | 電気ショックの適応(AED・除細動器) |
| 心静止・無脈性電気活動(PEA) | 適応なし。胸骨圧迫とアドレナリン |
発作性上室性頻拍は、脈が速くても心臓は血液を送れているので心停止の原因ではない。期外収縮には心室性期外収縮と上室性期外収縮がある。
心房細動では、心房が細かくふるえて左心耳に血がよどみ、血栓ができる。抗凝固療法の目的は、この血栓が脳に飛ぶ脳塞栓症(心原性脳塞栓症)の予防。
| 正しい | 誤りとして出るもの |
|---|---|
| 目的=脳塞栓症の予防 リスク評価=CHADS2スコア:心不全(C)・高血圧(H)・年齢75歳以上(A)・糖尿病(D)が各1点、脳卒中・一過性脳虚血発作の既往(S)が2点 | 肺塞栓症・深部静脈血栓症の予防(静脈の血栓) 不整脈性失神の予防 アテローム血栓性脳梗塞の予防(動脈硬化の血栓には抗血小板薬) 脂質異常症はCHADS2スコアの項目に入っていない |
そのほか、心房粗動は心房が規則正しく速く興奮するもの。WPW症候群は副伝導路(ケント束)があり、心電図でデルタ波がみられる。
ホルター心電図は、24時間心電図を記録して、ときどきしか起こらない異常をとらえる検査。
| 診断に役立つ(ときどき起こる) | ほかの検査が主役(いつもある所見・形の異常) |
|---|---|
| 発作性心房細動 冠攣縮性狭心症(夜間・早朝の発作) 失神・動悸の原因を調べる | 肥大型心筋症・心房中隔欠損症(心エコー) 不完全右脚ブロック(12誘導心電図でいつも見える) |
心不全は、心臓のポンプ機能が落ちて、体に必要な血液を送れなくなった状態。急に起こる急性心不全と、長く続く慢性心不全がある。
| 左心不全 | 右心不全 |
|---|---|
| 肺に血液がうっ滞する:呼吸困難・起坐呼吸・肺水腫・肺のラ音 | 体の静脈に血液がうっ滞する:頸静脈怒張・下腿浮腫・肝腫大・腹水 |
重い急性心不全や心原性ショックでは、薬に加えてIABP・ECMO(VA-ECMO)・補助人工心臓などの補助循環を使う。
感染性心内膜炎は、心臓の弁などに細菌がついて疣贅(ゆうぜい)と呼ばれる菌のかたまりをつくる病気。弁膜症・人工弁・中心静脈カテーテルの留置・歯科治療などが背景になる。原因菌は黄色ブドウ球菌やレンサ球菌が多い。
典型例:中心静脈カテーテルを留置していた高齢者に、微熱が続き、心雑音を聴取する。心エコーで僧帽弁に動く塊(疣贅)があり、血液培養から黄色ブドウ球菌が出れば、まず感染性心内膜炎を考える。診断は修正Duke基準で行い、血液培養の陽性と心エコーの疣贅が大項目。
| 緊急手術の適応となる所見 | 手術の適応にならない所見 |
|---|---|
| 進行する心不全(弁が壊れる) 弁輪部膿瘍(抗菌薬で感染を抑えきれない) 繰り返す塞栓症 可動性のある大きな疣贅(直径10 mm以上) | 血液培養の陽性は、診断の根拠であって手術の理由にはならない |
収縮性心膜炎は、心膜が厚く硬くなって心臓が広がれなくなる病気。心タンポナーデは、心膜の中に血液や液体がたまって心臓が圧迫され、血液を送れなくなる状態で、心筋梗塞の心破裂や大動脈解離、心臓手術の後に起こる。心タンポナーデでは、血圧の低下・頸静脈の怒張・心音が小さくなる(ベックの三徴)。治療は心膜穿刺で液を抜く。