第7章|感染症

臨床医学総論 第7章
収録 31問(第31〜39回)微生物の分類とグラム染色・抗菌薬と耐性菌・感染経路と標準予防策(空気・飛沫・接触)・院内感染(院内肺炎・尿路感染・手術部位感染・血流感染)と針刺し・結核・肝炎ウイルスとHIV・日和見感染・食中毒・かぜ症候群・皮疹を伴う感染症・輸入感染症・性感染症・敗血症

感染症の章。31問のうち、いちばん多いのは感染経路と予防策(空気・飛沫・接触のどれか、N95かサージカルマスクか)で、次が病原体の仲間分け(グラム陽性か陰性か、真菌か、日和見感染か)。どちらも「この病原体はどの箱に入るか」を問う組合せ問題で、箱の中身を覚えておけば解ける。臨床工学技士は人工呼吸器・血管内カテーテル・透析回路を扱うので、院内感染の予防策も繰り返し出る。

7-1 微生物の分類とグラム染色・抗菌薬

病原体の5つの仲間

仲間特徴主な例
細菌自分で増える。抗菌薬が効くブドウ球菌・大腸菌・緑膿菌・結核菌
クラミジア・マイコプラズマ・リケッチア細菌の仲間だが特殊。マイコプラズマは細胞壁を持たないので、β-ラクタム系薬が効かない。クラミジアとリケッチアは、細胞の中でしか増えないマイコプラズマ肺炎・トラコーマ(クラミジア)・発疹チフス(リケッチア)
ウイルス細胞の中でしか増えない。抗菌薬は効かないインフルエンザ・麻疹・肝炎ウイルス・HIV
真菌(かび・酵母)抗真菌薬で治療するカンジダ・アスペルギルス・クリプトコッカス・ムーコル・ニューモシスチス・白癬菌
寄生虫(原虫・蠕虫)原虫は単細胞、蠕虫は虫マラリア・トリコモナス(原虫)、アニサキス(蠕虫)

真菌感染症の代表は口腔カンジダ症・クリプトコッカス脳脊髄炎・肺アスペルギルス症。マイコプラズマ肺炎とトラコーマは、名前が菌っぽくても真菌ではない(マイコプラズマは細菌の仲間、トラコーマはクラミジア)。

病気と病原体の組合せでは、はしかの原因は麻疹ウイルス。取り違えやすい組合せは対比で覚える。足白癬は白癬菌(カンジダではない)、風疹は風疹ウイルス(単純ヘルペスではない)、水痘は水痘・帯状疱疹ウイルス(EBウイルスは伝染性単核球症)、流行性耳下腺炎はムンプスウイルス(ヒト乳頭腫ウイルスは子宮頸癌といぼ)。

グラム染色・好気性と嫌気性・培養

グラム染色で紫に染まるのがグラム陽性、赤に染まるのがグラム陰性。陽性菌は細胞壁が厚く、陰性菌は細胞壁の外に外膜を持ち、外膜の成分がエンドトキシン(内毒素)になる。

グラム陽性菌グラム陰性菌
黄色ブドウ球菌(MRSA)・レンサ球菌・肺炎球菌・腸球菌・破傷風菌・ジフテリア菌・ウエルシュ菌緑膿菌・大腸菌・肺炎桿菌・アシネトバクター・インフルエンザ菌・淋菌・レジオネラ・ピロリ菌・カンピロバクター

緑膿菌・肺炎桿菌は陰性、MRSA・腸球菌は陽性。丸い形の球菌は、多くがグラム陽性。グラム陰性の球菌は少なく、代表例は淋菌・髄膜炎菌(ほかにモラクセラ・カタラーリスなど)。結核菌などの抗酸菌はグラム染色では染まりにくく、チール・ネルゼン染色で赤く染めて見る。

酸素の好みでも分ける。破傷風菌・ボツリヌス菌・ウエルシュ菌は、酸素があると育たない偏性嫌気性菌で、深い傷や煮込み料理の鍋底のような酸素の少ない所で増える。緑膿菌や結核菌は酸素を好む。原因菌は培養で確かめ、効く薬を調べる(薬剤感受性試験)。血液培養は、抗菌薬を始める前に2セット採る。

抗菌薬と薬剤耐性菌

系統効き方・特徴
β-ラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)細胞壁を作らせない。細胞壁の無いマイコプラズマには効かない
アミノ配糖体系(ストレプトマイシン・カナマイシン・ゲンタマイシン)たんぱく合成を止める。副作用は聴力障害と腎障害
テトラサイクリン系たんぱく合成を止める。歯の着色があるので小児・妊婦は避ける。リケッチア・クラミジアに使う
マクロライド系たんぱく合成を止める。マイコプラズマ・クラミジア・レジオネラに効く
キノロン系DNAの複製を止める。幅広い菌に効く

抗菌薬を使い続けると、効かない菌(薬剤耐性菌)が生き残る。代表はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌・治療はバンコマイシンなど)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)、多剤耐性緑膿菌。耐性菌は医療者の手を介して患者から患者へ広がるので、対策の中心は手指衛生になる。

7-2 感染経路と標準予防策・経路別予防策

→ 正本:医学概論ノート 1-3 院内感染対策・消毒と滅菌・感染性廃棄物(この節は本科目の観点だけ。用語・分類・数字は正本で覚える)

標準予防策

標準予防策(スタンダードプリコーション)は、感染症があるかどうかにかかわらず、すべての患者に行う基本の対策。汗を除いて、血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・傷のある皮膚は感染性があるものとして扱う。感染性が低いものとして扱うのは汗で、唾液・血液・尿・便は感染性ありとして扱う。中身は手指衛生(いちばん大事)、手袋・ガウン・マスク・ゴーグルの使用、針の安全な扱い。

3つの感染経路と予防策

経路しくみ代表予防策
空気感染小さな飛沫核(5 µm以下)が空気中を長く漂う結核・麻疹・水痘医療者はN95マスク、患者は陰圧個室
飛沫感染咳やくしゃみのしぶきが1〜2 mほど飛ぶインフルエンザ・風疹・ムンプス・マイコプラズマ・百日咳サージカルマスク、ベッドの間隔をあける
接触感染手や物を介してうつるMRSA・緑膿菌・多剤耐性菌・疥癬・ノロウイルス手指衛生、手袋・ガウン、物品の専用化

N95マスクが要るのは結核・麻疹・水痘。MRSA肺炎とインフルエンザは、N95ではなくそれぞれ接触予防策・サージカルマスクで足りる。逆に、サージカルマスクで防げるのは飛沫感染の風疹・インフルエンザなど。麻疹は空気感染なのでサージカルマスクでは防げない。疥癬(ダニ)と帯状疱疹(水疱の中身)は接触でうつる。

ヒトの手を介して感染する代表はMRSA。病原体と感染経路の組合せでは、結核菌は空気感染、緑膿菌は接触感染、C型肝炎ウイルスは血液媒介感染が正しい。梅毒トレポネーマは性行為や血液でうつり、飛沫ではうつらない。リケッチアはダニやシラミが運ぶ(媒介動物感染)。A型肝炎ウイルスは便から口に入る経口感染。

経路の組合せは、麻疹は空気・インフルエンザは飛沫・MRSAは接触が軸。マイコプラズマは空気感染ではなく飛沫感染。水痘は空気感染のほか飛沫や水疱の中身との接触でもうつるので、「水痘―飛沫感染」と書かれていても誤りとは言い切れない。ただし、水痘は、予防策としては空気感染(N95)で覚える。

医療者の抗体価とワクチン

医療者は、うつる側にもうつす側にもなる。麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎(ムンプス)は、抗体価を測って足りなければワクチンを打つ。どれも生ワクチンで防げるウイルス。インフルエンザは、抗体価の確認ではなく毎年のワクチン接種で備える。肺炎球菌は医療者の抗体価確認の対象ではない。B型肝炎も抗体(HBs抗体)を確かめてワクチンを打つ。

7-3 院内感染(院内肺炎・尿路感染・手術部位感染・血流感染)と針刺し

易感染性患者と院内肺炎

易感染性患者は、感染への抵抗力が落ちた患者。高齢者、糖尿病、ステロイドや抗癌剤・免疫抑制薬を使っている人、好中球が減った人、カテーテルや気管チューブが入っている人がこれに当たる。

入院して48時間以上たってから起こる肺炎を院内肺炎という。院内肺炎の主な原因は、緑膿菌とMRSA。肺炎マイコプラズマ・レジオネラは市中肺炎で多い原因、結核菌は別扱い(空気感染の対策をとる)。介護施設や通院中の人に起こる肺炎は医療・介護関連肺炎といい、誤嚥がかかわることが多い。

人工呼吸器関連肺炎(VAP)を防ぐ

気管挿管して48時間以上たってから起こる肺炎が人工呼吸器関連肺炎(VAP)。予防策は、頭を30〜45度上げる、口腔ケア、鎮静を毎日いったん浅くして抜管できるか確かめる、カフ圧を保つ、手指衛生。呼吸回路は、汚れや破損がなければ定期的に交換しない(開けるたびに汚染の機会が増える)。

尿路感染症

腎盂腎炎の原因菌で最も多いのは大腸菌。尿道から上がってくる上行性の感染で、女性に多い。腎盂腎炎は高熱と腰背部痛が出て、背中の肋骨と背骨の角を叩くと痛む(肋骨脊柱角叩打痛・CVA叩打痛)。院内では尿道カテーテルが最大の原因で、閉鎖式の導尿を保ち、袋を膀胱より低く置き、要らなくなればすぐ抜く。

手術部位感染症(SSI)

予防策になる予防策にならない(逆効果・不要)
術前からの血糖管理・手指衛生・周術期の予防的抗菌薬(切開前に投与)
入院前の禁煙・手術前日の入浴・術前入院期間の短縮
除毛は電気クリッパで、手術の直前に
術中の低体温はSSIを増やす(体温は正常に保つ)
剃刀での剃毛(皮膚に細かい傷ができる)
抜糸までガーゼで覆い続けること(術後48時間ほどで十分)

SSI予防の柱は血糖管理・手指衛生・周術期の抗菌薬。術中の低体温維持は予防策ではなく、SSIを増やす側に入る。

血流感染症と針刺し

中心静脈カテーテルなど血管内のカテーテルから菌が入るのがカテーテル関連血流感染。中心静脈カテーテルを入れるときは、帽子・マスク・滅菌ガウン・滅菌手袋・大きな滅菌覆布を使う(マキシマルバリアプリコーション)。透析のバスキュラーアクセスも同じ考え方で扱う。

針刺しでうつる主な病原体はB型肝炎・C型肝炎・HIV。うつる確率の目安はHBV約30%、HCV約3%、HIV約0.3%。針刺しのあと、できるだけ早く予防内服が要るのはHIV(目安は2時間以内)。HBVはワクチンを打っていなければ抗HBs人免疫グロブリンとワクチンで防ぐ。HCVは、ワクチンも予防内服もないので経過を見て、感染したら治療する。針はリキャップせず、すぐ専用の廃棄容器に捨てる。

7-4 結核

うつり方と診断

結核菌は抗酸菌の一つで、空気感染する。感染しても多くは発症しないが、健康な人でも発症することはある。高齢者・糖尿病・HIV感染者・透析患者・免疫抑制薬を使う人で発症しやすい。肺結核は肺の上部(肺尖部・上葉)に好発する(下部ではない)。日本の罹患率は長く減り続けている。

検査ポイント
喀痰塗抹検査チール・ネルゼン染色などで抗酸菌を見る。3日連続で行う
喀痰培養確定に使えるが、結果まで数週間かかる。抗酸菌が出ても、結核菌とは限らない(非結核性抗酸菌がある)
核酸増幅法(PCR)結核菌かどうかを速く確かめられ、診断に有用
インターフェロンγ遊離試験(IGRA)血液で感染の有無を見る。BCGの影響を受けない

治療と届出

治療は多剤併用。標準治療は、イソニアジド・リファンピシン・ピラジナミドにエタンブトール(またはストレプトマイシン)を加えた4剤で2か月、続けて2剤で4か月の計6か月。1剤だけでは耐性菌ができるので必ず多剤を併用し、治療期間も1か月では足りず標準で6か月かかる。

抗結核薬主な副作用
イソニアジド(INH)末梢神経炎(ビタミンB6で予防)・肝障害
リファンピシン(RFP)肝障害。尿や涙が橙赤色になる
ピラジナミド(PZA)肝障害・高尿酸血症
エタンブトール(EB)視力障害(視神経炎)
ストレプトマイシン(SM)・カナマイシン(KM)聴力障害(難聴)・腎障害(アミノ配糖体系)

抗結核薬と副作用の組合せで、ピラジナミド―心筋炎、リファンピシン―髄膜炎は誤り。結核は感染症法の二類感染症で、診断した医師は直ちに保健所に届け出る(五類ではない)。排菌している患者と接触した人には、接触者健康診断を行う。BCGは生ワクチン(死菌ワクチンではない)。患者のまわりでは接触予防策ではなく空気感染予防策(N95・陰圧個室)をとる。

7-5 血液媒介感染・日和見感染・HIV

肝炎ウイルス

ウイルスうつり方ワクチン特徴
A型経口(生の貝など)あり急性で治り、慢性化しない
B型血液・性行為・母子あり慢性化すると肝硬変・肝癌に。医療者は接種する
C型血液なし慢性化しやすい。抗ウイルス薬(直接作用型)で治せる
D型血液なし(B型の予防で防げる)B型と一緒にしか感染しない
E型経口(加熱不足の豚・猪・鹿の肉)国内で使えるものはない妊婦で重くなりやすい

ワクチンがあるのはA型・B型。C型にはワクチンがないので、針刺しの予防は手技で防ぐしかない。

HIV感染症

HIVはヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)に感染して壊す。感染するとCD4陽性T細胞は減る(増えるのではない)。経過は、感染初期(かぜに似た症状)→無症候期(数年〜10年ほど)→AIDS(CD4がおよそ200/µL未満で日和見感染が起こる)。感染後数か月でAIDSになるわけではない。

わが国の感染者数(累計)は増えている。感染初期は、抗体検査が陽性にならない期間がある(ウィンドウ期)。治療は抗HIV薬を3剤以上組み合わせる多剤併用療法が中心。うつり方は性行為・血液・母子で、HIVは五類感染症。

日和見感染

日和見感染は、健康な人なら病気を起こさない弱い病原体が、免疫の落ちた人に起こす感染。日和見感染の代表は、サイトメガロウイルス・ニューモシスチス・カンジダ・アスペルギルス・クリプトコッカス・ムーコル。肺炎でいえば、サイトメガロウイルス肺炎・ニューモシスチス肺炎・アスペルギルス肺炎が日和見感染の側。肺炎球菌・マイコプラズマ・インフルエンザ菌の肺炎は、健康な人がかかる市中肺炎で日和見感染ではない。

病原体起こしやすい病気
サイトメガロウイルス肺炎・網膜炎・腸炎(臓器移植後やAIDSで)
カンジダ口腔カンジダ症・食道カンジダ症・カテーテルからの血流感染
アスペルギルス・ムーコル肺の感染(白血病の治療中など好中球が減ったとき)
クリプトコッカス髄膜炎(脳脊髄炎)
ニューモシスチスニューモシスチス肺炎

ニューモシスチス肺炎は日和見感染症で、病原体は真菌(寄生虫ではない)。血液中のβ-D-グルカンは真菌の細胞壁の成分なので、上がっていれば診断の手がかりになる。胸部の画像は両側のすりガラス影(無気肺ではない)。治療と予防はST合剤で、マクロライド系は効かない。

AIDS患者に発症しやすい感染症の代表はニューモシスチス肺炎と食道カンジダ症で、帯状疱疹や肺炎球菌性肺炎も起こりやすい。AIDSでは日和見感染に加えて、帯状疱疹や肺炎球菌肺炎のようなふつうの感染症も起こりやすく重くなる。マイコプラズマ肺炎は、AIDSで起こりやすい感染症としては挙げない。

7-6 食中毒・かぜ症候群・皮疹・輸入感染症・性感染症・敗血症

食中毒

原因覚えどころ
黄色ブドウ球菌手の傷から食品に入り、毒素を作る。食べて数時間で嘔吐。毒素は加熱しても壊れない
腸管出血性大腸菌(O157など)ベロ毒素で血便。溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こし、透析が要ることがある
ノロウイルス冬に多い。二枚貝や吐物から。アルコールが効きにくく、消毒は次亜塩素酸ナトリウム
アニサキス寄生虫(サバ・イカなど)。食べて数時間で激しい胃痛
カンピロバクター加熱不足の鶏肉。ギラン・バレー症候群の先行感染になる
腸炎ビブリオ夏の生の魚介類。塩分を好む
ウエルシュ菌カレーや煮込みの作り置き。嫌気性で芽胞を作り、加熱しても生き残る

食中毒の原因として押さえるのはカンピロバクター・ウエルシュ菌・ノロウイルスなど。サイトメガロウイルスとクリプトコッカスは、日和見感染の病原体で食中毒の原因ではない。

かぜ症候群

感冒(かぜ)の大半はウイルス(ライノウイルスなど)なので、かぜには抗菌薬は効かない。インフルエンザは飛沫感染する。ワクチンは予防効果が期待できる。抗インフルエンザ薬があり、発症から48時間以内に使う。感染症法では五類(三類ではない)。ヒトからイヌにうつる病気ではない。溶連菌感染症はA群β溶血性レンサ球菌による咽頭炎で、ペニシリン系で治療する。後でリウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことがある。

皮疹を伴う感染症

病気覚えどころ
単純ヘルペス口唇や性器の水疱。神経節に潜んで再発する
麻疹空気感染。高熱→コプリック斑(頬の内側の白い点)→全身の発疹
風疹飛沫感染。妊娠初期にかかると、胎児に先天性風疹症候群(難聴・白内障・心奇形)が起こる
EBウイルス伝染性単核球症(発熱・咽頭痛・リンパ節腫脹)。唾液でうつる
水痘・帯状疱疹初めての感染が水痘。ウイルスが神経節に潜み、免疫が落ちると帯状疱疹として出る

輸入感染症と性感染症

海外で感染して国内で発症するのが輸入感染症。麻疹、コレラ(米のとぎ汁のような大量の下痢)、赤痢、発疹チフス(リケッチア・シラミが運ぶ)、マラリア(原虫・ハマダラカが運ぶ)、デング熱(ウイルス・ネッタイシマカやヒトスジシマカが運ぶ)、天然痘(根絶された)、エボラ出血熱(一類感染症)などがある。

性感染症は、淋菌、クラミジア(国内で最も多い)、梅毒(梅毒トレポネーマ)、トリコモナス(原虫)、HIV、尖圭コンジローマ(ヒトパピローマウイルス)、性器ヘルペス。子宮頸癌に関係するのはヒトパピローマウイルス(HPV)で、ワクチンで予防できる。淋菌・トリコモナス・ヘルペスウイルス・HIVは子宮頸癌の原因ではない。

病原体と治療の組合せでは、ヘリコバクター・ピロリの除菌を押さえる。ピロリ菌は胃潰瘍・胃癌の原因で、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、ピロリ菌がいれば除菌すると血小板が増えることがある。

敗血症とパンデミック

敗血症は、感染に対する体の反応が制御できなくなり、臓器障害が起こった状態。病院の外や一般病棟ではqSOFAで拾い上げる。qSOFAは、呼吸数22回/分以上・意識の変化・収縮期血圧100 mmHg以下のうち2つ以上で敗血症を疑う。ICUでは臓器障害を点数にしたSOFAスコアが2点以上上がれば敗血症とする。

敗血症性ショックは、輸液をしても平均血圧65 mmHg以上を保つのに昇圧薬が要り、血中乳酸値が2 mmol/Lを超える状態。治療は、血液培養を採ってから早く抗菌薬を始め、輸液とノルアドレナリンで血圧を保つ。臨床工学技士がかかわる治療として、エンドトキシン吸着(PMX)や持続的血液濾過透析(CHDF)がある。

パンデミックは、新しい感染症が世界中で大流行すること。新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のような新興感染症がこれにあたる。医療機関では、経路別予防策の徹底と、人工呼吸器・ECMOなどの機器と人員の確保が課題になる。