体が出す電気(心電図・脳波・筋電図)と磁気(心磁図・脳磁図)を測る装置の章。出題の柱は標準12誘導の定義と計算、脳波計と心電計の標準値、SQUIDによる生体磁気計測。数値(感度・紙送り・時定数)は心電計と脳波計を並べて覚えると取り違えない。
| 信号 | 周波数のおよその範囲 | 大きさ |
|---|---|---|
| 筋電図 | 数Hz〜数kHz(いちばん高い) | μV〜mV |
| 心音図 | 数十Hz〜1 kHz程度 | |
| 心電図 | 約0.05〜100 Hz | mV |
| 脳波 | 約0.5〜数十Hz | 数十μV |
| 容積脈波 | 数Hz以下 |
「最も高い周波数成分まで記録する必要があるのは」→筋電図。活動電位の立ち上がりが速いので高い周波数を含む。
生体電気の増幅器には、基線のゆっくりした揺れを切るためのハイパスフィルタ(入力のCR結合)が入っている。その強さを時定数τで表し、低域遮断周波数 fc = 1 ÷(2πτ)。
| 心電計 | 脳波計 | |
|---|---|---|
| 時定数 | 3.2 s以上(fc≒0.05 Hz) | 0.3 s(fc≒0.5 Hz) |
| 標準感度 | 10 mm/mV | 50 μV/5 mm(10 μV/mm) |
| 標準の紙送り(記録速度) | 25 mm/s | 30 mm/s |
時定数を小さくするほど遮断周波数が上がり、低い周波数の成分が削られる。心電図でいちばん影響を受けるのは、ゆっくり変化する平らな部分であるST部分(ST部分が下がったり上がったりして見え、虚血と見誤る)。QRSやR波は高い周波数が主なので影響を受けにくい。
感度は1 mVや50 μVの入力でペンが何mm振れるかで表す。同相除去比(CMRR)は大きいほどよく、40 dBは低すぎる(解説では60 dB以上が目安)。脳波計の入力インピーダンスは数MΩ以上が要り、1 MΩでは低い。脳波計で時定数0.03 sは誤りの数字(正しくは0.3 s)。
| 正しい記述 | 誤りとして出るもの |
|---|---|
| 電極は生体内のイオン電流を電子電流へ変換する | |
| 接触インピーダンスは接触面積が大きいほど小さい | 接触面積を広くすると接触インピーダンスが上昇(増加)する |
| 電極と皮膚の境界は容量性なので、周波数が高いほど接触インピーダンスは小さい | 周波数が高くなると接触インピーダンスは増加する |
| 電極用ペーストは接触インピーダンスを下げる | |
| 新しい金属電極はエージング(なじませ)後の電極より基線の変動が大きい | |
| 電極電位は使う金属の種類で違う | |
| 銀-塩化銀電極は不分極電極(分極が小さく基線が安定) | |
| X線はカーボン電極を透過する |
| 誘導 | 定義(+側−基準) | 要点 |
|---|---|---|
| 標準肢誘導(双極誘導) | Ⅰ=左手−右手、Ⅱ=左足−右手、Ⅲ=左足−左手 | アイントーベンの三角形でⅡ=Ⅰ+Ⅲ |
| 増大単極肢誘導(aVR・aVL・aVF、ゴールドバーガー) | 1肢を探査電極にし、残り2肢を抵抗で結んだ点を基準にする | aVR+aVL+aVF=0 |
| 胸部誘導(V1〜V6) | 胸の電極を探査電極にし、3肢を結んだウィルソンの結合点(中心電極)を基準にする | 単極誘導(双極ではない) |
例:aVRは右手が探査電極で、左手と左足を結んだ点が基準(ウィルソンの結合点ではない)。aVLは左手が探査電極で、右手と左足を結んだ点が基準。回路図の問題は「基準が1点か・2肢の合成か・3肢の合成か」で見分ける。右足電極は差動増幅器のニュートラル(基準)端子につなぐ(保護接地ではない)。
胸部電極の位置(代表):V1=第4肋間胸骨右縁、V2=第4肋間胸骨左縁、V4=第5肋間と鎖骨中線の交点、V3=V2とV4の中間、V5=V4の高さで前腋窩線、V6=同じ高さで中腋窩線。
ディジタル心電計はⅠ・Ⅱと胸部6誘導の計8誘導を測り、残りの肢誘導は計算で作る(8誘導心電計)。
| 誘導 | Ⅰ・Ⅱからの式 |
|---|---|
| Ⅲ | Ⅱ−Ⅰ |
| aVR | −(Ⅰ+Ⅱ)/2 |
| aVL | Ⅰ−Ⅱ/2 |
| aVF | Ⅱ−Ⅰ/2 |
解き方:右手R・左手L・左足Fの電位で書く。Ⅰ=L−R、Ⅱ=F−R。aVL=L−(R+F)/2 を変形すると(L−R)−(F−R)/2=Ⅰ−Ⅱ/2。胸部誘導(V1など)は肢誘導から計算できない。
RとLを入れ替えて定義式に入れると機械的に出る。
| 誘導 | 付け違いの結果 |
|---|---|
| Ⅰ | 反転する |
| ⅡとⅢ | 入れ替わる(Ⅱは反転しない) |
| aVRとaVL | 入れ替わる |
| aVF・胸部誘導(V1〜V6) | 変化しない(基準のR+Lの組は入れ替えても同じ) |
| 部分 | 意味 |
|---|---|
| P波 | 心房筋の興奮(脱分極) |
| PQ時間 | 房室伝導の時間。延長は房室ブロック(洞結節の障害ではない)。正常は0.12〜0.20 s |
| QRS波 | 心室筋の興奮(脱分極) |
| ST部分 | 下降は心筋虚血の指標 |
| T波 | 心室筋が興奮から回復する時期(再分極) |
手順:標準の紙送り25 mm/sなので1 mm=0.04 s、5 mm=0.20 s。①長さ(mm)×0.04で時間(s)にする。②心拍数=60÷R-R時間(s)=1500÷R-R間隔(mm)。
例題1:R-R間隔20 mm → 20÷25=0.8 s → 60÷0.8=75回/分。
例題2:PQ間隔5 mm → 5×0.04=0.20 s。
| 正しい記述 | 誤りとして出るもの |
|---|---|
| 専用周波数帯は420〜450 MHz帯 | 専用周波数帯は1 GHz帯にある |
| 割り当て周波数はバンド1〜6の6バンド | 1〜5バンドに分類される |
| A型送信機の帯域幅(チャネル間隔)は12.5 kHz(B型25 kHz) | A型は25 kHz |
| 送信機のチャネル番号は4桁の数字で表示する | |
| ディジタル変調方式にはFSK(周波数偏移変調)がある | |
| ダイバーシティアンテナはフェージングを防ぎ、受信感度を安定させる | |
| アンテナシステムとして漏洩同軸ケーブルが用いられる。受信感度向上にブースタを使う | |
| 同じ病棟内では同じ色ラベル(同じバンド)の送信機を使い、隣の病棟とは色を変える(ゾーン配置) |
混信の原因になるのは、同じチャネルの送信機を近くで同時に使うこと。チャネル管理と色ラベルで防ぐ。
| 装置 | 要点 |
|---|---|
| 心電図モニタ | ベッドサイドで心拍数・不整脈を連続監視する。アラームを設定して使う |
| ホルター心電計 | 日常生活の中で長時間(24時間など)連続記録し、一過性の不整脈や虚血を見つける |
| 心内心電計 | カテーテル電極で心臓の内側から記録する。電極が心臓に直接触れるのでミクロショックに注意(CF形の機器を使う) |
心電図モニタは四肢でなく胸部に電極を貼る簡易な双極誘導を使う。電極は3電極(+・−・アース)が基本で、5電極なら胸部誘導も1つ見られる。胸に貼るので体動で外れにくく、長時間の監視に向く。
| 誘導 | 電極の位置(−→+) | 使いどころ |
|---|---|---|
| Ⅱ誘導(相当) | 右鎖骨下→左下胸部 | P波とQRSが大きく見やすいので、不整脈の監視に最もよく使う |
| CM5誘導 | 胸骨柄→V5の位置 | 左室側壁のST変化が見やすく、心筋虚血の監視に使う |
| NASA誘導 | 胸骨柄→剣状突起 | 呼吸や体動・筋電図の影響を受けにくく、P波も見やすい |
モニタ用の設定は帯域を狭くして基線の揺れや筋電図を抑えるので、ST変化の診断は標準12誘導で確かめる。
電極は国際10/20電極配置法で置く。鼻根と後頭結節、左右の耳介前点を結ぶ線を10%・20%の間隔で区切って位置を決める。奇数番号が左、偶数番号が右、zが正中。誘導法は、耳朶などを基準にする基準電極導出(単極導出)と、2つの頭皮電極の差をとる双極導出。
ディジタル脳波計はすべての電極を共通の基準(システムレファレンス)に対して記録しておく。そのため記録後に誘導の組み方を変えて表示(リモンタージュ)でき、フィルタもかけ直せる(リフィルタリング)。
標準感度50 μV/5 mm、時定数0.3 s、記録速度30 mm/s(心電計の25 mm/sと取り違えない)。
| 波 | 周波数 | 出る場面 |
|---|---|---|
| δ波 | 4 Hz未満 | 深い睡眠・病的状態 |
| θ波 | 4〜8 Hz未満 | まどろみ・小児 |
| α波 | 8〜13 Hz | 安静・閉眼・覚醒時に後頭部優位に出る。開眼で抑制される |
| β波 | 13 Hz超(14 Hz以上と書く本もある) | 開眼・精神活動・緊張 |
| γ波 | 約30 Hz以上 | β波よりさらに速い波。1秒あたりの波の数が最も多い |
波形図の問題は、30 mm(=1秒)の中に波がいくつあるかを数えて周波数を出す。1秒に約10波ならα波。
| 正しい記述 | 誤りとして出るもの |
|---|---|
| 誘発電位は自発脳波(数十μV)より小さい | 安静時脳波よりも誘発脳波の電位変動は大きい |
| 刺激から一定の潜時をもって現れる | |
| 誘発電位は刺激に同期して加算平均し、SN比を上げて取り出す | |
| 聴性誘発電位(聴性脳幹反応・ABR)はクリック音で刺激する | |
| 脳手術中の神経機能のモニタリングに使う |
刺激の種類:視覚誘発電位(VEP)=光(パターン反転)、体性感覚誘発電位(SEP)=末梢神経の電気刺激、聴性脳幹反応(ABR)=クリック音。大きさは自発脳波>VEP・SEP(数μV)>ABR(1 μV以下)で、電位変化の最も小さいのは聴性脳幹誘発電位。
BISモニタは前額部の脳波を処理して、鎮静(麻酔)の深さを0〜100の数値で表示する。100に近いほど覚醒、低いほど深い。全身麻酔中は40〜60程度が目安とされる。
筋電計は電極(針電極・表面電極)・電気刺激装置・増幅器・加算平均装置・スピーカで構成される。スピーカは筋活動電位を音で確かめるため。音刺激装置は聴性誘発電位用で、筋電計の構成要素ではない。電気刺激はアイソレータ(絶縁)を介して行う。
針筋電図は筋の中に針を刺して個々の運動単位の活動を、表面筋電図は皮膚の上から筋全体の活動を記録する。誘発筋電図は神経を電気刺激して筋の反応(複合筋活動電位(CMAP))を記録する。
手順:①同じ神経の2か所(近位・遠位)を刺激し、それぞれの潜時を測る。②伝導速度=2つの刺激点の間の距離÷潜時の差(m/s)。
1点だけの潜時には神経筋接合部などの遅れが入るので、2点の差をとって打ち消す。図の問題で、導出電極に近い刺激点の潜時T₁、遠い刺激点の潜時T₂、2つの刺激点の間の距離D₂なら、答えはD₂/(T₂−T₁)。D₁(導出電極〜近い刺激点)は差をとると消える区間なので式に入らない。
| 正しい記述 | 誤りとして出るもの |
|---|---|
| 計測には複合筋活動電位(CMAP)を用いる | 刺激電流のパルス幅は5〜10 ms(正しくは0.1〜0.5 ms程度) |
| 神経の2か所を電気刺激する | 加算平均装置が必要(CMAPは大きいので1回で記録できる) |
| 電気刺激はアイソレータを介して行う |
感覚神経の活動電位(SNAP)は小さいので加算平均を使う。運動神経(CMAP)と感覚神経の違いとして押さえる。
筋弛緩モニタは末梢神経(尺骨神経など)を電気刺激して筋の反応を測り、筋弛緩薬の効き具合をみる。代表は4回連続刺激(TOF:train-of-four)で、1回目と4回目の反応の比で評価する。
SQUID(超伝導量子干渉素子)はジョセフソン効果を利用した、極めて感度の高い磁気センサ。超伝導状態で動くので液体(液化)ヘリウムで冷却する。ホール素子は感度が足りず使わない。
| 正しい記述 | 誤りとして出るもの |
|---|---|
| 磁気シールドルーム(磁気シールド室)の中で測る | 静電シールドルーム内で計測する |
| 生体の磁界は地磁気よりけた違いに小さい | 生体の磁界は地磁気とほぼ等しい |
| 磁界は向きをもつベクトル量 | 磁界はスカラー量 |
| 計測しているのは生体が出す磁界(磁束密度) | 透磁率を計測している |
| 心臓や頭の周りの組織の透磁率はほぼ一様(真空とほぼ同じ)とみなせる | |
| 脳磁図の空間分解能は脳波より高い(電位のように頭蓋骨などで広がらない) | |
| 電流ダイポール(電流双極子)の位置を推定できる | |
| 頭皮に平行(接線方向)な電流による磁場を検出する | 頭皮に垂直な電流双極子による磁場を検出している |
| センサは冷却容器(デュワー)の中にあり、頭皮に密着させなくてよい | センサを頭皮に密着させる必要がある |
| 心磁図は心臓の電気活動に伴う電流が作る磁界を測る |
生体磁気の強さは肺磁図>心磁図>脳磁図。肺磁図は吸い込んだ酸化鉄の粉じんが磁化されたもので最も強く、脳磁図が最も弱い。目安として脳磁図は10⁻¹³〜10⁻¹² T程度、心磁図は10⁻¹¹〜10⁻¹⁰ T程度、地磁気は約5×10⁻⁵ T。図の問題は、弱い側から脳磁図→心磁図→肺磁図と当てはめる。