第3章|生体物理・化学現象の計測

生体計測装置学 第3章
収録 56問(第31〜39回)観血式血圧とダンピング・オシロメトリック法・トランジットタイム型血流計・心拍出量・差圧式流量計・カプノメータ・パルスオキシメータ・血液ガス電極・経皮血液ガス・体温計

血圧・血流・心拍出量・呼吸・血液ガス・体温を測る装置の章。出題が最も多いのはパルスオキシメータとカプノメータで、この2つの取り違え(赤色光か赤外光か、SpO₂かCO₂か)が定番の罠。血液ガスの3電極、体温計のセンサ(サーミスタかサーモパイルか)も、対にして覚えると切れる。

3-1 血圧計:観血式と非観血式

観血式(直接法)

カテーテルを血管内に入れ、生理食塩液で満たした管で圧トランスデューサへ圧を伝えて測る。トランスデューサには(半導体)ストレインゲージが使われる(フォトダイオードではない)。中心静脈圧(CVP)は観血式でしか測れない。オシロメトリック・トノメトリ・容積補償・聴診はいずれも動脈血圧の非観血法。

正しい記述誤りとして出るもの
大気開放の位置を右心房の高さ(第4肋間・中腋窩線)に合わせてゼロ点調整する
血圧アンプは直流まで通す増幅器(DCアンプ)を使う。平均圧は直流成分だから血圧アンプには高域通過フィルタが使用される
加圧バッグは約300 mmHgに加圧し、ヘパリン加生理食塩液を少しずつ流して血栓を防ぐ加圧バッグは動脈圧と同圧になるように加圧する
1拍ごとの波形が得られるので、不整脈があっても測れる不整脈があると測定が困難(それはオシロメトリック法)

ダンピングとオフセット誤差:形が変わるか、全体がずれるか

現象波形の変化原因
オーバーダンピング(過減衰・なまり)最高血圧が低く、最低血圧が高く表示される気泡の混入・カテーテル先端の血栓(凝血による内腔狭窄)・カテーテルの先当たり・回路の折れ・柔らかい回路(コンプライアンスが大きいチューブ)
アンダーダンピング(共振)最高血圧が高く、最低血圧が低く表示される(オーバーシュート)導管系の共振(長すぎる回路・三方活栓や延長チューブの多用で固有振動数が下がる)
オフセット誤差形は変わらず、全体が一様にずれるゼロ点調整不良・トランスデューサの高さの変更

トランスデューサが右心房より高いと静水圧の分だけ全体が低く、低いと全体が高く出る。どちらもダンピングではない。ダンピングでも平均血圧はほぼ保たれる。

ダンピングの程度はフラッシュテスト(加圧ラインを一瞬開けて矩形波を入れる)で確かめる。振動が1〜2回で収まれば適正、振動がなく鈍く戻ればオーバーダンピング、何度も振れればアンダーダンピング。対策は導管を硬く・短くし、気泡を抜くこと。

非観血式:聴診法とオシロメトリック法

聴診法(コロトコフ音)オシロメトリック法(自動血圧計)
見ているものカフを減圧しながら聞こえる血管音カフ内圧に乗る圧振動(脈波)の振幅(周波数ではない)
読み方音の出現=最高血圧、消失=最低血圧振幅が最大になるのはカフ圧が平均血圧と等しいとき。そこから最高・最低血圧を推定する
苦手なもの周囲の雑音不整脈と体動は誤差の原因。周囲の雑音には強い

オシロメトリック法の誤りの肢:「最低血圧は測定できない」(推定できる)、「最高血圧以上では圧振動は検出されない」(小さな振動は出る)、「カフ圧が最高血圧と等しいとき振幅が最大」(最大は平均血圧)、「1心拍ごとに連続測定できる」(加圧・減圧が要るのでできない)、「中心静脈圧が測定できる」。

連続して非観血で測る方法に、容積補償法(指の動脈の容積を一定に保つようにカフ圧を制御する)とトノメトリ法(橈骨動脈などを平らに押さえて圧を読む)がある。

カフの条件による誤差(向きを問われる)

条件測定値
カフ幅が狭すぎる高く出る
カフの巻き方が緩い高く出る
カフ幅が広すぎる低く出る
測る腕が心臓より低い高く出る(静水圧が加わる)
脱気速度が速すぎる最高血圧は低く出やすい(最初の音を逃す)

目安はカフ幅=上腕周囲の約40%、脱気速度は1拍あたり2〜3 mmHg。狭い・緩いは余分に締める圧が要るので高く出ると理屈で覚える。

ひっかけ・混同注意

加圧バッグの内圧が標準より高いはダンピングの原因ではない。加圧バッグ(通常約300 mmHg)は凝血を防ぐためにフラッシュ装置を通して生理食塩液を少量ずつ流すだけで、流量は装置で絞られているので、最高血圧が低く・最低血圧が高く出る変化は起こさない。この向きの誤差(オーバーダンピング)の原因は凝血によるカテーテル内腔の狭窄・気泡の混入・回路の折れ。

3-2 血流計:トランジットタイム型・ドプラ・電磁血流計

3方式の対比

方式原理要点
トランジットタイム型(伝搬〔伝播〕時間差型)超音波血流計流れの順方向と逆方向に超音波を送り、伝搬(伝播)時間の差から流量を求めるゼロ点補正が不要・電気的干渉に強い・送受信に一対(2個)の振動子・流路全体を広い音場に置き断面全体の流量を測る
超音波ドプラ血流計赤血球で散乱された超音波の周波数のずれ(ドプラ偏移)から流速を求める体表から測れる
電磁血流計ファラデーの電磁誘導(流速に比例した起電力)ゼロ点補正が必要・電気的干渉を受けやすい・導電性の液体だけ
レーザドプラ血流計レーザ光が赤血球で受けるドプラ偏移皮膚などの微小循環(組織血流)を見る

「赤血球で散乱された超音波を測る」はドプラ式の原理で、トランジットタイム型の説明としては誤り。流れが速いと順逆の伝搬時間差は大きい。

トランジットタイム型の使い道:血管や回路を挟むクランプ型プローブで切らずに測れるので、体外循環回路の流量、冠動脈バイパスの内胸動脈グラフトの流量評価に使う。複数のプローブで多チャネルの同時計測ができる。血管に装着するので体表面からは測れない。

パルスドプラと連続波ドプラ

パルスドプラ連続波ドプラ
素子1つの素子で送受信を切り換える送信と受信が別の素子
距離分解能あり(深さを選んで測れる)なし
測れる最大流速パルス繰り返し周波数(PRF)で上限が決まる(超えると折り返し)制限なし(高速の血流も測れる)

ビームと血流が平行に近いほどドプラ偏移が大きく有利で、直交(90°)では測れない。超音波の周波数が高いほど減衰が大きく、測れる深さは浅くなる。

ドプラの式:Δf=2f₀v cosθ/c(f₀:送信周波数、v:流速、θ:ビームと血流のなす角、c:音速)。偏移周波数は流速に比例し、cosθが入るので角度の補正が要る。θ=90°でcosθ=0になるのが「直交では測れない」理由。

3-3 心拍出量計と脈波

心拍出量の測り方

方法要点
フィック法(Fick法)心拍出量は酸素摂取量÷動静脈血の酸素含量の差。「酸素摂取量に基づく」ならこれ
熱希釈法(指示薬希釈法)肺動脈カテーテルで冷やした指示薬(生理食塩液)を右房に注入し、肺動脈で温度変化を測る
連続心拍出量(CCO)熱希釈法を利用して連続測定できる(カテーテルの加温フィラメントで熱を加える)
色素希釈法(指示薬希釈法)指示薬はインドシアニングリーン(ICG)。希釈曲線から求める
動脈圧波形心拍出量(APCO)(血圧波形解析法)動脈ラインの圧波形を解析して推定する。熱希釈カテーテル(サーモダイリューションカテーテル)は要らない
超音波計測法(超音波断層法・ドプラ)心エコーで1回拍出量を求める

脈波伝搬速度(PWV)は動脈の硬さ(動脈硬化)の指標で、心拍出量は測れない。「心拍出量の計測ができないのは」で出る。

計算の型:フィック(Fick)法で酸素摂取量250 mL/分、動脈血と混合静脈血の酸素含量の差が50 mL/Lなら、心拍出量=250÷50=5 L/分。熱希釈法では温度の希釈曲線の面積が小さいほど心拍出量は大きい(流れが速いと冷たさがすぐ薄まる)。注入液の量や温度を誤ると、そのまま誤差になる。

熱希釈式肺動脈カテーテル(スワンガンツカテーテル)で測れるもの

測れる測れない
中心静脈圧(右房圧)・右室圧・肺動脈圧・肺動脈楔入圧・心拍出量(熱希釈)・混合静脈血酸素飽和度(SvO₂)左室収縮期圧(先端は肺動脈にあり、左室には届かない)

肺動脈楔入圧は左房圧(左室拡張末期圧)の目安になるが、左室収縮期圧の代わりにはならない。

脈波計

圧脈波は動脈の圧の変化を、容積脈波は組織の血液量(容積)の変化を、光や圧のセンサで記録したもの。パルスオキシメータの脈波は光で測った容積脈波。

3-4 呼吸計測:肺気量・換気力学・呼吸流量計・インピーダンス式呼吸モニタ

肺気量分画と換気力学

肺活量=予備吸気量+1回換気量+予備呼気量。残気量はスパイロメータだけでは測れない(機能的残気量・全肺気量も同じ。ガス希釈法などが要る)。肺コンプライアンスは肺の膨らみやすさで、体積変化÷圧力変化(商)。「体積と圧力の積」は誤り。呼吸抵抗はオシレーション法(口から小さな圧振動を加えて測る)で、肺拡散能力はCOを吸わせて測る。

基本の式:流量=流速×断面積。微小な圧のセンサには半導体ひずみゲージや静電容量式を使う(ホール素子は磁気センサで、圧には使わない)。

換気力学の量は「何を何で割るか」で整理する。コンプライアンス=体積変化÷圧力変化(膨らみやすさ。肺線維症で低下、肺気腫で上昇)、気道抵抗=圧力差÷流量(通りにくさ。喘息・COPDで上昇)。単位はそれぞれL/cmH₂Oと cmH₂O/(L/s)。

スパイロメータ(容積型)と呼吸流量計

方式原理代表
容積型スパイロメータ容積の変化を直接読むベネディクト・ロス型(浮き鐘・水封)、ローリングシール型(ピストン状)
差圧式(ニューモタコグラフ)抵抗体の前後の圧力差(差圧)が流量に比例する(層流の条件)フライシュ型=細管の束、リリー型=メッシュ(金網)
熱線式加熱した白金線が気流で冷やされる量(温度変化・放熱)から流速を求めるホットワイヤ
超音波式超音波の伝搬(伝播)時間差
タービン式(回転型)羽根車の回転数

差圧式は抵抗体を層流で通すことが前提で、呼気の水蒸気が細管やメッシュに結露すると抵抗が変わり誤差になる(加温して防ぐ)。熱線式は気流の向きを区別しにくく、超音波式は双方向を測れる。

「差圧方式はどれか」の正答はフライシュ型・リリー型。ほかの原理の対応:カルマン渦列=渦流量計、可動円筒の変位=フロート(面積)式、カプノメータはCO₂濃度計で流量計ではない。

インピーダンス式呼吸モニタ

正しい記述誤りとして出るもの
心電図モニタの電極を兼用できる
呼吸に伴う胸郭の広がりをインピーダンスの変化として記録する(吸気で増える)
電極間に微弱な高周波(交流)電流を流す電極間に直流電圧を印加する
電極を貼る位置で感度や波形が変わる。体動はアーチファクトの原因

3-5 カプノメータ

原理と方式

カプノメータはCO₂が赤外光を吸収する性質を使い、呼気のCO₂を測る。吸収のピークは約4.3 μm。赤色光は使わない(赤色光660 nmはパルスオキシメータ)。酸素濃度や麻酔ガス濃度は測れない(別のガスモニタの役目)。窒素は赤外光を吸収しないので誤差の原因にならない。正確に測るには校正が要る(「ゼロ点校正が不要」は誤り)。

メインストリーム方式サイドストリーム方式
測る場所気道に付けたアダプタ(セル)で直接細い管でガスを持続的に吸引し、本体で測る
応答速い遅れが出る
死腔アダプタが死腔になる(大きい)小さい
弱点セルの汚れ・水滴(結露)で誤差・重いウォータートラップが必要
使う場面挿管下の長期人工呼吸管理(ICU)非挿管でも使える

「死腔が小さいのはメインストリーム」「ウォータートラップが要るのはメインストリーム」はどちらも逆。

PETCO₂(EtCO₂)が上がる・下がる

正常は35〜45 mmHg。PETCO₂はCO₂の産生・肺への運搬(肺血流)・肺胞換気で決まる。

PETCO₂はPaCO₂より数mmHg低いのが普通で、肺塞栓や低心拍出で死腔が増えると差が開く(PETCO₂だけが下がる)。心肺蘇生中のPETCO₂は胸骨圧迫の質と自己心拍再開の目安になり、急に上がれば心拍再開を疑う。

上昇低下
肺胞換気量の低下(低換気・呼吸抑制)、CO₂産生の増加(高体温・シバリング・悪性高熱)、再呼吸(ソーダライムの劣化)、閉塞性換気障害過換気、循環血液量の減少・心拍出量の低下・肺塞栓症(肺血流が減る)、低体温(産生が減る)、回路リーク、心停止

波形が出ない(ほぼ0)=食道挿管・呼吸回路の脱離・心停止。

カプノグラム(波形)の読み方

正常の形:基線(死腔ガス)→急な立ち上がり→肺胞プラトー(ゆるやかに上がる)→吸気で急に下がる。呼気終末(EtCO₂)はプラトーの終わり、吸気で下がる直前の最も高い点。

波形の異常原因
吸気の基線が0に戻らず上がるCO₂の再呼吸=二酸化炭素吸収剤(ソーダライム)の劣化
立ち上がりがゆるい「シャークフィン型」気道狭窄・気管支けいれん・COPD
プラトーの切れ込み自発呼吸の混入(筋弛緩が切れかけ)
波形の消失食道挿管・回路の外れ・心停止

「カプノメータで検出できるのは」:再呼吸・呼吸回路脱離・食道挿管は検出できる。低酸素の混合ガスや過剰濃度の麻酔ガスはCO₂ではないので検出できない。

3-6 パルスオキシメータと光学的な酸素飽和度測定

★ この節が正本:横断知識「パルスオキシメータと酸素飽和度」。他のノートの同じ話題はここへ寄せてある(リサーチ書「横断知識の正本一覧」)

原理

パルスオキシメータは赤色光(約660 nm)と赤外光(約940 nm)の2波長を当て、ヘモグロビンの吸光度の違いから酸素飽和度(SpO₂)を求める。動脈の拍動で変わる成分(脈波)だけを取り出すので、動脈血の値になる。光源は発光ダイオード(LED)、受光はフォトダイオード。

ヘモグロビンよく吸収する光
酸素化ヘモグロビン(O₂Hb)赤外光(赤色光の吸収は少ない=動脈血が鮮紅色に見える)
脱酸素化(還元)ヘモグロビン赤色光

誤りの肢の型:「紫外光を用いる」「赤外線2波長」「2種類の赤色光」(正しくは赤色光と赤外光)、「酸素分圧を測る」(測るのは飽和度)、「酸素化Hbと脱酸素化Hbの比を表示する」(表示するのは全Hbに対する酸素化Hbの割合)、「酸素化すると赤色光をよく吸収する」(逆)。

SpO₂(パルスオキシメータで測る値)とSaO₂(血液ガスで測る動脈血の値)は区別する。目安はSpO₂ 90%≒PaO₂ 60 mmHg。酸素解離曲線の平坦部ではPaO₂が大きく変わってもSpO₂はほとんど変わらないので、高濃度酸素下の過剰な酸素化は見つけにくい。

正しい記述誤りとして出るもの
使用時の校正は要らない使用前に既知の値と比較して調整する
測る部位は耳たぶ・足趾・前額部など、拍動のある所ならよい指先以外(足趾)では測定できない
プローブは体表に付けるので滅菌は要らない(清拭)プローブは使用前に滅菌する
脈波が検出されていることを確認してから値を読む

誤差の原因(出る・出ない)

誤差の原因になる原因にならない
体動、末梢循環不全(ショック・低灌流・低体温で脈波が取れない)、一酸化炭素ヘモグロビン(SpO₂が偽高値)、メトヘモグロビン、色素(インドシアニングリーン・インジゴカルミン・インジゴブルー・メチレンブルー)、マニキュア、強い外光大気圧の低下(吸光度の比には直接効かない)

「心原性ショック時でも測定できる」は誤り(拍動が弱く測れない)。CO中毒ではSpO₂が高いまま表示され、低酸素を見逃す。

酸素解離曲線の右方偏位

同じ酸素分圧でも高体温・アシドーシス(pH低下)・PCO₂上昇・2,3-DPG増加では、酸素飽和度が低くなる(右方偏位。組織に酸素を渡しやすい)。「アシドーシスでは高くなる」は誤り。左方偏位はその逆(低体温・アルカローシス)。

ランベルト・ベールの法則

吸光度 A=εcl(ε:モル吸光係数、c:濃度、l:光路長)、A=−log₁₀(I/I₀)。

正しい記述誤りとして出るもの
モル吸光係数は物質(と波長)によって異なる吸光度は透過率に比例する(対数の関係)
透過光の強度は光路長に対して指数関数的に減る吸光度は光路長に反比例する(比例する)
吸光度は濃度と光路長に比例する吸光度は−1〜1の範囲(0以上で1も超える)

SvO₂とrSO₂

光ファイバを内蔵した肺動脈カテーテルで混合静脈血酸素飽和度(SvO₂)を連続測定できる。NIRS(近赤外分光法)は近赤外光で、脳などの局所組織の酸素化状態をrSO₂(局所組織酸素飽和度)として表す。血液ガス分析装置のCOオキシメータは多波長の吸光度でヘモグロビン分画(O₂Hb・COHb・MetHb)を測る。

3-7 血液ガス分析と経皮的血液ガス

3つの電極

測るもの電極検出する量(測定法)
pHガラス電極電位差(ポテンショメトリック法)
PCO₂セバリングハウス電極(pH電極の応用)電位差。CO₂がガス透過膜を通って内部の液のpHを変えるのを測る
PO₂クラーク電極(ポーラログラフ式)電流(アンペロメトリック法・酸素の還元電流)

「電位を測る=ポテンショ」「電流を測る=アンペロ」の対で覚える。ガラス電極が検出するのは電位差で、電流・抵抗値・吸光度・温度ではない(温度は補正に使うだけ)。サーモパイル(赤外線)、ストレンゲージ(圧)、熱線型白金電極(流量)は血液ガスの電極ではない。

専用の電極で実測するのはpH・PO₂・PCO₂の3つ。重炭酸イオン(HCO₃⁻)や酸素含量は実測値から計算で出す(HCO₃⁻はpHとPCO₂からヘンダーソン・ハッセルバルヒの式で)。

電極は37℃の恒温槽で測り、校正には既知濃度の液・ガスを使う。検体の扱いで値が動く向きも問われる。気泡が混じるとPO₂は大気の値(約150 mmHg)に近づき、PCO₂は下がる。室温で放置すると血球の代謝でPO₂は下がり、PCO₂は上がる(すぐ測るか氷冷する)。

経皮的血液ガス分析(PtcO₂・PtcCO₂)

皮膚を42〜44℃に加温して皮膚の血流を増やし(動脈血化)、皮膚表面へ拡散してくるガスを電極で測る。電極はガス透過膜を介して皮膚に触れる。O₂はクラーク電極、CO₂はセバリングハウス電極の応用。

正しい記述誤りとして出るもの
新生児では皮膚が薄いので特に有用新生児には使用できない
貼るだけの非侵襲的な方法侵襲的な計測方法である
O₂もCO₂も加温が必要二酸化炭素分圧の測定には冷却が必要
脈波(拍動)は要らない(脈波が要るのはパルスオキシメータ)計測には脈波信号が必要
経皮血液ガスは電極法で測る赤外線の吸収を計測している/経皮的PCO₂は赤外光の吸光度で測る(赤外光で測るのは呼気CO₂=カプノメータ)
PtcO₂はPaO₂とほぼ同じかやや低い(皮膚が酸素を使う)PtcO₂はPaO₂よりも高値を示す
PtcCO₂はPaCO₂よりやや高いPtcCO₂はPaCO₂よりも低くなる

加温するので低温熱傷に注意し、貼る場所を定期的に変える。

3-8 体温計測

センサと原理の対比

体温計センサ・原理要点
電子体温計(接触式)サーミスタ(温度で抵抗が変わる)・熱伝導予測式=初めの温度上昇曲線から平衡温を推定(数十秒)、実測式=平衡まで測る(数分)。予測式の方が短い
婦人体温計(婦人用電子体温計・基礎体温計)サーミスタ0.01℃単位の4桁表示で、一般用より精度が高い
耳用赤外線体温計(鼓膜体温計)サーモパイル(熱型検出器)で鼓膜が出す赤外線を受ける・ステファン・ボルツマンの法則1秒程度で測れる・核心温に近い
深部体温計熱流補償法(零熱流法):ヒータで皮膚表面の熱の流れを0にする核心温を連続測定できる
サーモグラフ体表が出す遠赤外線(約8〜14 μm)の分布を画像にする「近赤外線を利用」は誤り

サーミスタは半導体で、一般に温度が上がると抵抗が下がる(NTC)。熱電対(2種の金属の接点の熱起電力)や白金測温抵抗体(温度で抵抗が上がる)とは別のセンサ。

取り違えの型:電子体温計にサーモパイルやステファン・ボルツマンの法則は使わない(それは赤外線体温計)。CdSeは光センサで、温度センサではない。電子体温計はヒータを内蔵しない(ヒータがあるのは深部体温計)。一般用電子体温計は深部体温の計測や低体温手術中の管理には使えない。

赤外線検出器:熱型と量子型

熱型(サーモパイル・焦電型)量子型
冷却不要(常温で動く・安い)必要
性能応答は遅め高感度・高速
使い道耳用赤外線体温計高感度の赤外線カメラ(サーモグラフ)

「耳用赤外線体温計には量子型検出器」は誤り。

耳用赤外線体温計の正誤

正しい記述誤りとして出るもの
鼓膜から放射される赤外線を受けて測る鼓膜(人体表面)に赤外線を照射する
鼓膜は内頸動脈に近く、核心温に近い値が出る(腋窩温より高い)
挿入の角度や外耳道の炎症・耳垢で値がばらつく
数秒の瞬時測定で、連続測定には向かない体温の連続測定に適している/計測に1分程度要する

核心温と外殻温

核心温(中枢温・深部体温)=直腸温・食道温・膀胱温・鼓膜温・肺動脈血温。外殻温=腋窩温・皮膚温。「食道温は外殻温を示す」は誤り(プローブを食道下部、心臓の裏に置く核心温。体外循環中の冷却・復温の監視に使う)。目安の高さは直腸・鼓膜>口腔>腋窩。実測式では血流の多い口腔の方が腋窩より早く平衡に達する。