第3章|生体物理・化学現象の計測

生体計測装置学 第3章
収録 56問(第31〜39回)血圧・心拍出量・血流・呼吸・血液ガス・SpO2・体温

本ジャンルは147問中56問と最多の主戦場。血圧・心拍出量・血流・呼吸流量・カプノメータ・パルスオキシメータ・血液ガス電極・体温計が、毎年ほぼ全テーマから出る。「何を・どの原理で・どのセンサで測るか」の対応表で一気に取れる。

血圧(観血式・非観血式)

観血式(直接法):カテーテル+圧トランスデューサ(ストレインゲージ)。ゼロ点=右心房の高さ(第4肋間・中腋窩線)で大気開放。平均圧を含むためDCアンプが必要。加圧バッグは約300mmHgで血栓防止。中心静脈圧(CVP)は観血式でしか測れない

波形のなまり(ダンピング)

オーバーダンピング(気泡・血栓・カテーテル先当り)=収縮期↓・拡張期↑。アンダーダンピング(共振)=収縮期↑・拡張期↓・オーバーシュート。いずれも平均血圧は保たれる。高さのずれ・ゼロ点不良は「オフセット誤差」で別物。

非観血式オシロメトリック法=圧振動の振幅が最大になる点が平均血圧、そこから収縮期・拡張期を推定(自動血圧計)。聴診法=コロトコフ音。カフ幅は上腕周囲の約40%、狭い/緩い=高く出る、広い=低く出る。不整脈・体動で誤差。

心拍出量の測定法

方法原理・ポイント
フィック法酸素摂取量÷動静脈血酸素含量差
熱希釈法スワンガンツで冷水を右房注入、肺動脈で温度変化。標準法
色素希釈法指示薬(インドシアニングリーン)の希釈曲線
動脈圧波形解析法動脈ラインのみで推定(低侵襲・熱希釈カテーテル不要)

脈波伝搬速度(PWV)は動脈硬化の指標で心拍出量は測れない(ひっかけ)。スワンガンツ(肺動脈)カテーテル=CVP・肺動脈圧・肺動脈楔入圧(PAWP=左房圧の指標)・心拍出量・SvO2を測るが、左室収縮期圧は直接測れない

血流計と呼吸流量計

  • トランジットタイム型超音波血流計=順逆方向の伝播時間差。ゼロ点補正不要・電気干渉に強い・実流量。体外循環回路・CABGグラフト評価に使用
  • 電磁血流計=ファラデーの電磁誘導。ゼロ点補正が必要
  • 超音波ドプラ=赤血球の散乱波の周波数偏移。パルスドプラ(同一素子・距離分解能あり・最大速度はPRF/2で制限)↔連続波ドプラ(送受別素子・距離分解能なし・高速可)。ビームと血流は平行に近いほど有利
  • 呼吸流量計:差圧式(フライシュ型=細管の層流/リリー型=メッシュ、差圧∝流量)・熱線式(白金線の放熱)・タービン式・超音波式。容量型スパイロメータ(ベネディクトロス・ローリングシール)は差圧式でない。流量=流速×断面積、コンプライアンス=ΔV/ΔP

カプノメータ(EtCO2)とパルスオキシメータ(SpO2)

2つの光学式モニタ — 混同厳禁

カプノメータ=CO2の赤外線吸収(約4.3μm)で呼気終末CO2を測定。正常35〜45mmHg
パルスオキシメータ=赤色660nm+赤外940nmの2波長(LED+フォトダイオード)で拍動成分から動脈血SpO2を算出。酸素化Hbは赤外を、脱酸素化Hbは赤色をよく吸収。校正不要。

EtCO2上昇=低換気・CO2産生増(発熱・悪性高熱)・再呼吸(CO2吸収剤劣化)。EtCO2低下=過換気・肺塞栓・心拍出量低下・回路リーク・食道挿管(波形消失)。メインストリーム(気道直結・応答速い・死腔増)↔サイドストリーム(吸引・遅延・ウォータートラップ)。

SpO2の誤差要因CO-Hb(偽高値)・メトHb・色素(ICG・メチレンブルー・インジゴ)・マニキュア・体動・末梢循環不全(低灌流)・強い外光(大気圧は誤差要因でない)。酸素解離曲線の右方偏位(発熱・アシドーシス・PaCO2↑・2,3-DPG↑)で同一酸素分圧でもSaO2は低下。

血液ガス電極・経皮ガス・体温計

測定項目電極・原理
pHガラス電極(電位差=ポテンショメトリック・高入力インピーダンス)
PCO2セバリングハウス電極(pH電極の応用)
PO2クラーク電極(電流=アンペロメトリック・ポーラログラフ)

血液ガスの実測3項目=pH・PO2・PCO2、HCO3⁻・BE・SaO2は計算値経皮ガス(PtcO2/PtcCO2)=皮膚を42〜44℃に加温して動脈血化し電極法で測定。非侵襲・脈波不要・新生児で有用。傾向はPtcO2<PaO2、PtcCO2>PaCO2、低温熱傷に注意。

ランベルト・ベールの法則:A=εcl(A=−log(I/I0)、I=I0·10⁻ᵉᶜˡ)。吸光度は濃度c・光路長lに比例し、透過光は指数関数的に減衰。εは物質・波長固有。SpO2・分光光度計・NIRS(近赤外・組織酸素rSO2)の基礎。

体温計:接触式=サーミスタ(実測式=平衡まで数分/予測式=温度上昇曲線から推定・短時間)。耳(鼓膜)赤外線体温計=サーモパイル(熱型検出器・冷却不要)・ステファンボルツマンの法則・放射を受光・数秒。深部体温計=熱流補償法(零熱流法)。サーモグラフィ=遠赤外線で体表温分布を画像化。赤外線検出器は熱型(常温・遅い)↔量子型(冷却必要・高感度・高速)。中枢温(直腸・食道・鼓膜)↔外殻温(腋窩・皮膚)。