第52回 作業療法士国家試験 午前 第14問
作業療法評価学第52回午前
32歳の女性。アルコール依存症。美容師として働く兼業主婦。25歳ごろから飲酒量が増えた。現時点では、仕事や家事に大きな支障はない。このまま飲酒を続けていると大変なことになると思い、飲酒量を減らそうと努力しているが、飲み始めるといつも深酒してしまう。1人の力では断酒できないと悩み、自ら精神科病院を受診し入院治療を受けることになった。回復を目的とした作業療法の評価で最も重要度が高いのはどれか。
1. 見当識
2. 基礎体力
3. 金銭管理
4. 自己評価
5. 日常生活能力
- 1. 見当識
- 2. 基礎体力
- 3. 金銭管理
- 4. 自己評価 ✓
- 5. 日常生活能力
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 自己評価
アルコール依存症の回復には、自分の問題を認識し、変化への動機づけを高めることが不可欠です。本症例は既に「1人では断酒できない」と自覚し受診している段階であり、自己評価(自分の状態や問題に対する認識)を基盤とした治療計画の立案が最優先となります。
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【各選択肢の解説】
1. 見当識
❌ 誤り。アルコール依存症初期~中期で見当識障害は一般的でなく、評価の重要度は低い。重度の場合に該当します。
2. 基礎体力
❌ 誤り。体力は社会復帰後の段階的な課題です。回復初期の評価優先度としては低位です。
3. 金銭管理
❌ 誤り。重要な課題ですが、自己認識が確立していなければ実行機能の改善は困難です。二次的課題です。
4. 自己評価
✅ 正しい。依存症患者の否認(denial)の克服と自己認識の深化は、治療動機づけと行動変容の基盤となるため、初期評価で最も重要です。
5. 日常生活能力
❌ 誤り。本症例は「仕事や家事に大きな支障がない」と述べられており、ADLは比較的保持されています。
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【試験対策ポイント】
・アルコール依存症治療の優先順位:自己認識→動機づけ→社会復帰
・否認(denial)の克服が治療成功の鍵
・回復段階によって評価焦点は異なる(初期は心理社会的側面、後期は職業・生活機能)