第52回 作業療法士国家試験 午後 第8問
運動学第52回午後
20代の男性。頸髄損傷完全麻痺(Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類C6B2)。仰臥位から長座位へ垂直方向の起き上がり動作獲得のために練習を行っている。図に示す肢位で肩甲帯を左右に振り重心を移動することを繰り返す。正常以上の関節可動域拡大を目的とした関節運動はどれか。
1. 頸部伸展
2. 肩甲骨外転
3. 肩関節水平伸展
4. 肩関節内旋
5. 肩関節外旋
- 1. 頸部伸展
- 2. 肩甲骨外転
- 3. 肩関節水平伸展 ✓
- 4. 肩関節内旋
- 5. 肩関節外旋
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 肩関節水平伸展
C6完全麻痺では肩関節外旋筋が機能せず、仰臥位から長座位への起き上がり動作を代償するには肩関節を水平伸展位(後方に振る)することで、肩甲帯の動きを最大限活用し重心移動を効率化する必要があります。この動作パターン獲得には、正常以上の水平伸展可動域が不可欠です。
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【各選択肢の解説】
1. 頸部伸展
❌ 誤り。起き上がり動作において頸部伸展は重心移動に直接貢献せず、むしろ脊髄損傷患者の安定性を損なう可能性があります。
2. 肩甲骨外転
❌ 誤り。肩甲帯の左右振動動作では肩甲骨の上下運動や回旋が主体であり、外転可動域の拡大は起き上がり動作獲得の直接的な目的ではありません。
3. 肩関節水平伸展
✅ 正しい。肩を後方に振る水平伸展動作により、体幹の重心移動効率が向上し、代償動作を最適化するため正常以上の可動域拡大が治療目標となります。
4. 肩関節内旋
❌ 誤り。C6機能では内旋筋(大胸筋など)の機能は比較的保持されており、起き上がり動作のボトルネックではありません。
5. 肩関節外旋
❌ 誤り。C6完全麻痺では肩関節外旋筋(棘下筋など)が麻痺しており、この可動域拡大は機能回復に寄与しません。
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【試験対策ポイント】
- Zancolliの分類C6B2:肩関節外旋・外転筋が非機能的
- 四肢麻痺患者の起き上がり動作は肩関節の水平伸展を活用した代償戦略が重要
- 脊髄損傷のリハビリは「失われた機能の補完」より「残存機能の最大活用」に焦点