第53回 作業療法士国家試験 午前 第13問
作業療法評価学第53回午前
55歳の男性。2年前に筋萎縮性側索硬化症と診断された。2か月前に誤嚥性肺炎を起こして入院した。肺炎改善後、胃瘻が造設された。構音障害が重度で、発音は母音のみ可能、発声持続時間は8秒。湿性嗄声はない。唾液の空嚥下は可能である。上肢の筋力はMMTで4レベルであるが、体幹および下肢の筋力は3。歩行のFIMは1、移乗のFIMは6及びトイレ動作のFIMは6であった。自宅退院を計画している。この患者に対する対応で正しいのはどれか。
1. 食事を常食で再開する。
2. エアマットの使用を勧める。
3. 透明文字盤の使用を勧める。
4. ポータブルトイレの使用を勧める。
5. チンコントロール電動車椅子を導入する。
- 1. 食事を常食で再開する。
- 2. エアマットの使用を勧める。
- 3. 透明文字盤の使用を勧める。
- 4. ポータブルトイレの使用を勧める。 ✓
- 5. チンコントロール電動車椅子を導入する。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — ポータブルトイレの使用を勧める。
ALS患者で誤嚥性肺炎既往があり胃瘻造設済みのため経口摂取は不適切です。構音障害は重度ですが空嚥下は可能で透明文字盤は有用です。歩行FIM=1(全介助)、トイレ動作FIM=6(軽度な監視)であるため、ポータブルトイレによる移動距離の短縮と自助具による自立度維持が自宅退院に適しています。
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【各選択肢の解説】
1. 食事を常食で再開する。
❌ 誤り。既に誤嚥性肺炎を起こした既往があり、胃瘻が造設されているため経口摂取は禁止です。
2. エアマットの使用を勧める。
❌ 誤り。上肢MMT4、体幹下肢MMT3で若干の筋力があり、褥瘡予防の最優先課題ではありません。今後の筋力低下に備えた段階的な対応が必要です。
3. 透明文字盤の使用を勧める。
✅ 正しい。構音障害は重度(母音のみ可能)ですが空嚥下が可能であり、唾液誤嚥のリスクは低いため透明文字盤による代替コミュニケーション手段として有用です。
4. ポータブルトイレの使用を勧める。
✅ **正解。**トイレ動作FIM=6(軽度な監視または助言で実施可能)であり、自宅内での移動距離短縮による転倒・転落防止、疲労軽減が図れます。段階的な対応として適切です。
5. チンコントロール電動車椅子を導入する。
❌ 誤り。現在上肢MMT4で操作可能であり、段階的なALS進行を考慮するとチンコントロールはより進行した時期の選択肢です。過度な対応は自費負担増加につながります。
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【試験対策ポイント】
- ALS患者の嚥下評価:誤嚥既往+胃瘻造設=経口摂取禁止
- FIM値の読み解き:FIM6=軽度な監視/助言で自立、福祉用具で対応可能
- 進行性神経疾患の段階的支援:現能力維持と将来予測のバランス