第53回 作業療法士国家試験 午前 第18問
身体障害作業療法第53回午前
29歳の女性。歩行困難を主訴に整形外科外来を受診したが器質的問題が認められなかったため、紹介によって精神科外来を受診し入院することとなった。手足が震え、軽い麻痺のような脱力があり、自立歩行ができないため車椅子を使用している。立位保持や移乗に介助を必要とし、ADLはほぼ全介助である。この時点の患者に対する作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 自己洞察を促す。
2. 自己表現の機会を増やす。
3. 集団活動で役割を担わせる。
4. 自己中心的な依存は受け入れない。
5. 身体機能に対する治療的な介入を行う。
- 1. 自己洞察を促す。
- 2. 自己表現の機会を増やす。 ✓
- 3. 集団活動で役割を担わせる。
- 4. 自己中心的な依存は受け入れない。
- 5. 身体機能に対する治療的な介入を行う。 ✓
正答:2・5番
解説
■ 正答:2番、5番 — 自己表現の機会を増やす。身体機能に対する治療的な介入を行う。
本症例は身体化障害(転換性障害)と考えられます。器質的問題がないにもかかわらず運動麻痺や脱力を呈しており、心理社会的ストレスが身体症状として表現されています。初期段階では、心理的な自己洞察より、身体機能の改善と安全な自己表現が優先されます。
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■ 各選択肢の解説
1. 自己洞察を促す。
❌ 誤り。身体化障害の急性期では、自己洞察を強く促すと防衛機制が強まり抵抗が生じやすい。治療の後期段階で段階的に行うべきです。
2. 自己表現の機会を増やす。
✅ 正しい。身体化障害では抑圧された感情が身体症状として表現されています。言語的・非言語的な自己表現の機会を提供することで、心理的な葛藤の解放を促進できます。
3. 集団活動で役割を担わせる。
❌ 誤り。全介助のADL状態では過度な役割負担は負担になります。ADL改善後に段階的に導入すべきです。
4. 自己中心的な依存は受け入れない。
❌ 誤り。急性期では不安が高く、依存的行動は症状の一部です。受け入れながら段階的に自立を促すアプローチが必要です。
5. 身体機能に対する治療的な介入を行う。
✅ 正しい。車椅子移乗や立位保持の困難性に対し、物理療法や運動療法により身体機能を改善し、ADLの自立を促進することは急性期において重要です。
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■ 試験対策ポイント
• 身体化障害(転換性障害):心理的ストレスが身体症状に転換される
• 急性期の作業療法:身体機能改善と非脅迫的な自己表現が優先
• 自己洞察は安定後の段階的介入が原則