第53回 作業療法士国家試験 午後 第9問
身体障害作業療法第53回午後
35歳の男性。飲酒後電車内で寝過ごし、右上腕部の圧迫によって橈骨神経麻痺となった。受傷4日後で橈骨神経領域の感覚低下があり、手関節背屈および手指伸展の自動運動は困難である。この患者に対するアプローチで適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 上腕部のアイシング
2. 手関節背屈の抵抗運動
3. Engen型把持装具の使用
4. 手指・手関節の他動伸展運動
5. コックアップ・スプリントの使用
- 1. 上腕部のアイシング
- 2. 手関節背屈の抵抗運動
- 3. Engen型把持装具の使用
- 4. 手指・手関節の他動伸展運動 ✓
- 5. コックアップ・スプリントの使用 ✓
正答:4・5番
解説
■ 正答:4番、5番 — 手指・手関節の他動伸展運動、コックアップ・スプリントの使用
橈骨神経麻痺の急性期(受傷4日後)では、麻痺筋の菲薄化予防と関節拘縮防止が重要です。他動運動と装具による関節保護が適切なアプローチです。
---
【各選択肢の解説】
1. 上腕部のアイシング
❌ 誤り。受傷4日後の急性期を過ぎており、アイシングの適応は限定的です。神経麻痺に対する直接的な治療効果も低いため優先度は低いです。
2. 手関節背屈の抵抗運動
❌ 誤り。現在麻痺筋(手関節背屈筋など)の自動運動が困難であるため、抵抗運動は禁忌です。神経障害の回復過程で筋力が十分回復してから開始すべきです。
3. Engen型把持装具の使用
❌ 誤り。Engen型は把持機能を補助する装具で、橈骨神経麻痺(手指伸展障害が主体)には適応外です。むしろ手指伸展を補助する装具が必要です。
4. 手指・手関節の他動伸展運動
✅ 正しい。麻痺筋の菲薄化を防ぎ、関節の可動性を維持するため、他動運動は急性期に必須のアプローチです。
5. コックアップ・スプリント(背側支持型装具)の使用
✅ 正しい。手関節背屈位を保持し、橈骨神経麻痺特有の垂れ手(drop hand)を防ぎ、手指伸展の機能的位置を維持できます。
---
【試験対策ポイント】
• 橈骨神経麻痺の特徴:drop hand(垂れ手)、手関節背屈・手指伸展障害
• 急性期アプローチ:他動運動と装具による関節保護が基本
• コックアップ・スプリント:橈骨神経麻痺の第一選択装具