第53回 作業療法士国家試験 午後 第15問
作業療法評価学第53回午後
39歳の男性。アルコール依存症。前回退院後に連続飲酒状態となり、妻からの依頼で2回目の入院となった。入院の際、妻からお酒をやめないと離婚すると告げられた。離脱症状が治まるのを待って作業療法が開始された。用意されたプログラムには自ら欠かさず参加し、特に運動プログラムでは休むことなく身体を動かしていた。妻には「飲酒による問題はもう起こさないので大丈夫」と話している。この患者に対する作業療法士の対応として最も適切なのはどれか。
1. 運動プログラムを増やす。
2. さらに努力を続けるよう伝える。
3. 支持的に接し、不安が示されたら受け止める。
4. 離婚されないためということを動機付けに用いる。
5. 過去の飲酒が引き起こした問題には触れないでおく。
- 1. 運動プログラムを増やす。
- 2. さらに努力を続けるよう伝える。
- 3. 支持的に接し、不安が示されたら受け止める。 ✓
- 4. 離婚されないためということを動機付けに用いる。
- 5. 過去の飲酒が引き起こした問題には触れないでおく。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 支持的に接し、不安が示されたら受け止める。
アルコール依存症の患者は、外的動機付け(離婚の脅迫)による頑張りや過度な努力は長続きせず、むしろ不安や葛藤を抱えやすい。作業療法士は患者の防衛機制や隠れた不安を察知し、共感的・支持的に接することで、内発的動機付けと治療的関係の構築を促すことが重要である。
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【各選択肢の解説】
1. 運動プログラムを増やす。
❌ 誤り。患者が既に意欲的に参加しているが、これは外的動機付けによる代償行動の可能性がある。プログラム増加は本来の課題から目をそらし、根本的な回復につながらない。
2. さらに努力を続けるよう伝える。
❌ 誤り。外的圧力(離婚予告)に基づく努力強化は、患者の不安と疲弊を増し、リラプスのリスクを高める。持続的な回復には内発的動機付けが必須である。
3. 支持的に接し、不安が示されたら受け止める。
✅ 正しい。患者は表面上前向きだが、離婚という脅迫的動機付けにより不安を抱えている。作業療法士の支持的姿勢と傾聴は、患者の防衛を緩和し、真の動機付けと信頼関係構築につながる。
4. 離婚されないためということを動機付けに用いる。
❌ 誤り。外的・脅迫的動機付けは短期的には機能するが、依存症の回復には逆効果。患者の自己決定と内発的な変化への欲求を損なう。
5. 過去の飲酒が引き起こした問題には触れないでおく。
❌ 誤り。過去の経験から学ぶことは回復に不可欠。回避することは患者の自己認識と洞察を妨げ、再発予防教育の機会を失わせる。
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【試験対策ポイント】
・アルコール依存症患者の回復=外的動機付けより内発的動機付けを重視
・表面的な改善の裏に隠れた不安や防衛機制がないか察知する
・作業療法士の基本的態度=支持的・共感的・非批判的関与