第53回 作業療法士国家試験 午後 第16問
精神障害作業療法第53回午後
26歳の女性。結婚後に転居したアパートが古く汚れが目立っていた。食事の後片付け、掃除および手洗いをいくらやっても汚れが落ちていないのではないかと不安を感じるようになった。これらに長時間を要するようになり、生活に支障が出始めたため、夫に勧められて精神科を受診した。作業療法での対応として適切なのはどれか。
1. 自由度の高い作業を提供する。
2. 正確さを必要とする作業を提供する。
3. 手洗い行為が始まれば作業を中止させる。
4. 手洗い行為の原因についての自己洞察を促す。
5. 作業工程の確認は作業療法士が本人に代わって行う。
- 1. 自由度の高い作業を提供する。 ✓
- 2. 正確さを必要とする作業を提供する。
- 3. 手洗い行為が始まれば作業を中止させる。
- 4. 手洗い行為の原因についての自己洞察を促す。
- 5. 作業工程の確認は作業療法士が本人に代わって行う。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 自由度の高い作業を提供する。
本事例は強迫性障害(OCD)であり、強迫行為(手洗い)に支配されている状態です。作業療法では、不安を軽減し自己効力感を回復させるため、成功体験が得られやすい自由度の高い作業を提供することで、患者の主体性と達成感を促進することが適切です。
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【各選択肢の解説】
1. 自由度の高い作業を提供する。
✅ 正しい。強迫行為に束縛された患者に対し、自由な選択と自己決定が可能な作業は不安軽減と主体性回復につながります。
2. 正確さを必要とする作業を提供する。
❌ 誤り。「汚れが落ちていないのでは」という不安が強い本患者に、正確さを求める作業は強迫観念を強化し症状悪化につながります。
3. 手洗い行為が始まれば作業を中止させる。
❌ 誤り。強制的に中止させるのは患者の不安を増強させ、治療的関係を損なう可能性があります。
4. 手洗い行為の原因についての自己洞察を促す。
❌ 誤り。認知行動療法(特にERP)の段階では、まず安全基地を確保することが優先です。
5. 作業工程の確認は作業療法士が本人に代わって行う。
❌ 誤り。患者の主体性を奪い、依存を深めるため不適切です。
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【試験対策ポイント】
・強迫性障害の作業療法は「自由度」「主体性」「達成感」がキーワード
・強迫観念を強化する刺激(完璧さ、正確さ)は避ける
・患者の自己決定と成功体験が不安軽減につながる