第54回 作業療法士国家試験 午前 第17問
作業療法評価学第54回午前
35歳の男性。交通事故による外傷性脳損傷で入院となった。受傷10日後から作業療法が開始された。運動麻痺や感覚障害はみられなかった。些細なことで怒りをあらわにし、作業療法中も大きな声をあげ、急に立ち上がってその場を去る、というような行動がしばしばみられた。患者はこの易怒性についてほとんど自覚しておらず病識はない。この患者の怒りへの対応で最も適切なのはどれか。
1. 原因について自己洞察を促す。
2. 感情をコントロールするよう指導する。
3. 周囲に与える影響を書き出してもらう。
4. よく観察し誘発されるパターンを把握する。
5. 脳損傷との関係について理解が得られるまで説明する。
- 1. 原因について自己洞察を促す。
- 2. 感情をコントロールするよう指導する。
- 3. 周囲に与える影響を書き出してもらう。
- 4. よく観察し誘発されるパターンを把握する。 ✓
- 5. 脳損傷との関係について理解が得られるまで説明する。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — よく観察し誘発されるパターンを把握する。
外傷性脳損傷による易怒性は、前頭葉損傷による脳器質的変化に基づいており、患者に病識がない場合、自己洞察や感情コントロール指導は効果的ではありません。まず誘発パターンを把握することで、環境調整や予防的対応が可能になります。
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【各選択肢の解説】
1. 原因について自己洞察を促す。
❌ 誤り。病識のない患者に自己洞察を促すことは困難であり、不適切な質問となる可能性があります。
2. 感情をコントロールするよう指導する。
❌ 誤り。脳器質的損傷による易怒性は意志的なコントロール対象ではなく、指導だけでは改善しません。
3. 周囲に与える影響を書き出してもらう。
❌ 誤り。病識がない段階では、自分の行動影響を認識させることは難しく、逆効果になる可能性があります。
4. よく観察し誘発されるパターンを把握する。
✅ 正しい。誘発パターンを把握することで、環境調整や活動の工夫など、患者中心の対応策を構築できます。これが病識形成前の最適な介入です。
5. 脳損傷との関係について理解が得られるまで説明する。
❌ 誤り。説明自体は有益ですが、対応策がなければ実質的でなく、「最も適切」ではありません。
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【試験対策ポイント】
- 病識がない場合:環境調整・パターン把握が優先。説明や自己洞察は後段階
- 前頭葉損傷→易怒性は脳器質的変化。コントロール指導は不適切
- 高次脳機能障害対応:「患者教育より環境工学」の原則を理解