第54回 作業療法士国家試験 午前 第19問
地域作業療法学第54回午前
9歳の男児。注意欠如・多動性障害。放課後デイサービスに通所している。鼻歌を唄ったり足を動かしたりとじっとしていることが苦手で、勉強の時間に立ち歩いたり他児にちょっかいを出したりすることでトラブルになった。指導員から注意されると感情的になり、暴れる行動が頻回にみられた。教科書や提出物の忘れ物も多い。この児に対する治療的な対応で適切なのはどれか。
1. トラブルの原因を考えさせる。
2. 運動を取り入れて体を動かす。
3. 他児との交流は最小限に留める。
4. じっとしておく取り決めをする。
5. 感情的になっても介入しないでおく。
- 1. トラブルの原因を考えさせる。
- 2. 運動を取り入れて体を動かす。 ✓
- 3. 他児との交流は最小限に留める。
- 4. じっとしておく取り決めをする。
- 5. 感情的になっても介入しないでおく。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 運動を取り入れて体を動かす。
ADHD児の多動症状は神経生物学的基盤があり、抑制的指導では改善しません。運動を意図的に取り入れることで過剰な運動欲求を適切に満たし、その後の集中力向上につながる治療的対応です。
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【各選択肢の解説】
1. トラブルの原因を考えさせる。
❌ 誤り。ADHD児は認知的・実行機能の困難があり、原因分析を求めても自己理解につながりにくく、むしろ二次的な問題行動を増やす可能性があります。
2. 運動を取り入れて体を動かす。
✅ 正しい。多動症状に対する治療的対応として、構造化された運動活動は脳の覚醒水準を調整し、その後の学習や社会的行動が改善します。
3. 他児との交流は最小限に留める。
❌ 誤り。社会的スキルの発達機会を奪き、二次的な社会性障害を招きます。むしろ構造化した交流支援が必要です。
4. じっとしておく取り決めをする。
❌ 誤り。多動の本態は意志の問題ではなく神経生物学的特性であり、禁止的な取り決めは挫折感を増強します。
5. 感情的になっても介入しないでおく。
❌ 誤り。感情制御困難はADHDの特徴的症状です。介入せず放置すれば行動エスカレーションや自己肯定感低下を招きます。
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【試験対策ポイント】
- ADHD児への対応は「抑制」ではなく「適切な刺激提供」が原則
- 多動症状は環境調整(運動機会、構造化)で軽減可能
- 感情制御困難時には即時の落ち着き支援が必要