第54回 作業療法士国家試験 午後 第15問
精神障害作業療法第54回午後
65歳の女性。元来、几帳面な性格だが友人も多く活動的に過ごしていた。3か月前に、自宅のリフォームを契機に、早朝覚醒、食思不振、抑うつ気分や意欲低下が生じ、友人とも会わないようになった。自宅で自殺を企図したが未遂に終わり、1か月前に家族が精神科を受診させ、即日医療保護入院となった。単独散歩はまだ許可されていないが、抗うつ薬による治療で抑うつ気分は改善傾向にあり、病棟での軽い体操プログラムへの参加を看護師から勧められて、初めて参加した。この時点での患者に対する作業療法士の関わりで適切でないのはどれか。
1. 必要に応じて不安を受け止める。
2. 過刺激を避けながら短時間で行う。
3. 具体的体験により現実感の回復を促す。
4. 参加各回の達成目標を明確にして本人と共有する。
5. 薬物療法の副作用が生じていないかアセスメントする。
- 1. 必要に応じて不安を受け止める。
- 2. 過刺激を避けながら短時間で行う。
- 3. 具体的体験により現実感の回復を促す。
- 4. 参加各回の達成目標を明確にして本人と共有する。 ✓
- 5. 薬物療法の副作用が生じていないかアセスメントする。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 参加各回の達成目標を明確にして本人と共有する。
この患者は抑うつ気分の改善途上で、初めての作業療法プログラム参加であり、心理的負担が大きい時期です。達成目標を明確に設定して共有することは、かえって患者にプレッシャーを与え、不安を増強させる可能性があるため適切ではありません。この段階では段階的で無理のないアプローチが必要です。
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【各選択肢の解説】
1. 必要に応じて不安を受け止める。
✅ 正しい。自殺企図歴のある抑うつ患者は不安が強いため、共感的に不安を受け止める態度は治療的関係の構築に必須です。
2. 過刺激を避けながら短時間で行う。
✅ 正しい。改善途上の患者は易疲労性があり、過刺激は症状の悪化につながるため、段階的な短時間活動は適切です。
3. 具体的体験により現実感の回復を促す。
✅ 正しい。抑うつ患者は現実への関与が低下しているため、具体的で意味のある体験は現実感回復と動機づけに有効です。
4. 参加各回の達成目標を明確にして本人と共有する。
❌ 誤り。初期段階で明確な達成目標を設定することは患者に負担となり、不安やプレッシャーを増す可能性があります。この時期は「参加すること自体」が目標であるべきです。
5. 薬物療法の副作用が生じていないかアセスメントする。
✅ 正しい。抗うつ薬開始1か月の時点では副作用発現の可能性があり、作業療法時に観察・アセスメントすることは医療安全上重要です。
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【試験対策ポイント】
• 抑うつ症状改善途上の患者には段階的で無理のないアプローチが必須
• 初期段階では「参加継続」が目標であり、達成目標の明確化はプレッシャーとなる
• 精神疾患患者の作業療法では感情的支持と安全管理が優先される