OTカコモン作業療法士国家試験 過去問・解説

第54回 作業療法士国家試験 午後 第20問

作業療法評価学第54回午後

第54回 作業療法士国家試験 午後 第20問(作業療法評価学)の正答は 4 です。前頭側頭型認知症(FTD)の脱抑制・常同行動・食行動異常(過食・異食)に対し、言語的説明や意識的抑制は有効でない。

問題
61歳の男性。BMI 27.5。前頭葉および側頭葉に著明な萎縮を認めて入院加療中。発語は発症前より減少しているが、エピソード記憶や手続き記憶は比較的残存している。自分の昼食を食べ終えた後も他人の食事や配膳車の残飯を勝手に取って食べる行為があり、取り戻そうとすると激しく怒り出す。午後の集団体操プログラムではすぐに立ち去ろうとする一方、カラオケには興味を示し、集中して数曲を歌う。食行動に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
  1. 1. 減量の必要性を説明する。
  2. 2. 他の患者に状況を説明し、受容的に対応してもらう。
  3. 3. 毎回の昼食が終了次第、体操プログラムを導入する。
  4. 4. 毎回の昼食が終了次第、カラオケのプログラムを導入する。
  5. 5. 他人の食事を勝手に食べてはいけないことを言葉で簡潔に伝える。

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 毎回の昼食が終了次第、カラオケのプログラムを導入する

前頭側頭型認知症(FTD)の脱抑制・常同行動・食行動異常(過食・異食)に対し、言語的説明や意識的抑制は有効でない。食事後に関心を引く代替活動(本症例ではカラオケ)へ即座に誘導することで、問題行動のトリガーとなる状況から環境的に切り離す行動的介入が有効。


【各選択肢の解説】

1. 減量の必要性を説明する。
❌ 誤り。FTDでは理性的な説明が通じにくい。認知機能低下があり病識も乏しいため、言語的説明は無効。
2. 他の患者に状況を説明し、受容的に対応してもらう。
❌ 誤り。問題行動の根本的解決にならない。他患者に過度な負担を強いる可能性もある。
3. 毎回の昼食が終了次第、体操プログラムを導入する。
❌ 誤り。本症例ではカラオケには興味を示すが、体操プログラムではすぐに立ち去る行動が示されており、体操プログラムは患者の注意を引きつける力が弱い。
4. 毎回の昼食が終了次第、カラオケのプログラムを導入する。
✅ 正しい。本人が興味を持ちかつ集中できる活動(カラオケ)を食事直後に提供することで、食後の問題行動が生じる前に行動を切り替える。個別の残存機能を活用した行動的介入として最適。
5. 他人の食事を勝手に食べてはいけないことを言葉で簡潔に伝える。
❌ 誤り。FTDの脱抑制行動への言語的制止は無効であり、怒り出すなどの行動上の問題を引き起こすリスクがある。

【試験対策ポイント】

前頭側頭型認知症(FTD)の対応原則:「叱らない・説明しない・代替行動で誘導」。常同行動・食行動異常には本人の興味・残存能力を活用した活動への切り替え(行動的介入)が有効。アルツハイマー型とは対照的に記憶よりも行動・人格変化が先行する。

✍️ この解説の作成・点検

ST-Toolbox編集部(リハビリテーション領域の国家資格を持つ現役専門職が運営)が、作業療法士領域の有資格者の知見と標準的な教科書・ガイドラインに基づいて作成・点検しています。解説の下書きにはAIを活用し、人が確認・点検したうえで公開しています。

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