OTカコモン — 作業療法士国家試験 過去問・解説

第55回 作業療法士国家試験 午前 第8問

臨床医学第55回午前
78歳の女性。右利き。脳梗塞による左片麻痺で入院中。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ、手指Ⅵ、下肢Ⅴ。歯がなく、きざみ食をスプーンで全量自力摂取しているが、次から次へと食べ物を口に運ぶ。改訂水飲みテスト〈MWST〉は5点、反復唾液嚥下テスト〈RSST〉は4回/30秒であった。この患者への対応で正しいのはどれか。 1. 摂食嚥下に問題の無い患者の対面に座らせる。 2. 食前に耳下腺マッサージを行う。 3. 主菜・副菜にとろみをつける。 4. 小さいスプーンを使用させる。 5. 患者の左空間に皿を置く。
  1. 1. 摂食嚥下に問題の無い患者の対面に座らせる。
  2. 2. 食前に耳下腺マッサージを行う。
  3. 3. 主菜・副菜にとろみをつける。
  4. 4. 小さいスプーンを使用させる。 ✓
  5. 5. 患者の左空間に皿を置く。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 小さいスプーンを使用させる。 患者は「次から次へと食べ物を口に運ぶ」という過食行動を示しており、これは脳梗塞による摂食調節障害です。小さいスプーンを使用することで、1回の摂取量を制限し、過食を防ぐことができます。嚥下機能自体(MWST5点、RSST4回)は比較的保たれているため、とろみ付けなどの食形態変更は不要です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 摂食嚥下に問題の無い患者の対面に座らせる。 ❌ 誤り。左片麻痺患者は左側の視野障害を伴う可能性があり、対面に座った健常者を見ることで左側を見落とす傾向が強まります。むしろ患者の患側(左側)に座ることが原則です。 2. 食前に耳下腺マッサージを行う。 ❌ 誤り。耳下腺マッサージは唾液分泌を促進する目的ですが、この患者の嚥下機能はほぼ正常です。問題は嚥下機能ではなく、摂食行動の調節にあります。 3. 主菜・副菜にとろみをつける。 ❌ 誤り。MWST5点は誤嚥なしまたは軽度の危険があるレベルで、RSST4回も正常範囲内(通常3~4回以上が正常)です。嚥下機能は十分保たれており、とろみ付けは不要な過剰対応です。 4. 小さいスプーンを使用させる。 ✅ 正しい。過食傾向への対応として、1回の摂取量を制限する最も実用的かつ直接的な方法です。摂食調節障害に対する食事環境調整の基本です。 5. 患者の左空間に皿を置く。 ❌ 誤り。左片麻痺患者は左側視野障害を伴うことが多く、左空間に食器を置くと見落とされる可能性があります。右側(患側の対側)に置くことが原則です。 --- 【試験対策ポイント】 - 摂食調節障害(過食)への対応:スプーンサイズの制限、食事速度の調整 - MWST5点以上、RSST3回以上は嚥下機能が比較的保たれている目安 - 左片麻痺患者の視野障害への配慮:食器は患側対側(右側)に配置
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