第55回 作業療法士国家試験 午前 第11問
作業療法評価学第55回午前
51歳の男性。仕事中に3mの高さから転落し、外傷性脳損傷を生じ入院した。受傷2週後から作業療法を開始した。3か月が経過し運動麻痺はみられなかったが、日付がわからない、1日のスケジュールを理解できない、感情のコントロールが難しい、複雑な作業は混乱してしまうなどの状態が続いた。作業療法で適切なのはどれか。
1. 静かな環境で行う。
2. 新規課題を毎日与える。
3. 複数の作業療法士で担当する。
4. 不適切な言動には繰り返し注意する。
5. 集団でのレクリエーション活動を導入する。
- 1. 静かな環境で行う。 ✓
- 2. 新規課題を毎日与える。
- 3. 複数の作業療法士で担当する。
- 4. 不適切な言動には繰り返し注意する。
- 5. 集団でのレクリエーション活動を導入する。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 静かな環境で行う。
本患者は運動機能は保たれているが、見当識障害、注意障害、感情調整障害、遂行機能障害など高次脳機能障害が顕著です。この段階では刺激を制限した静かな環境で、認知機能への負荷を軽減することが治療の優先となります。
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【各選択肢の解説】
1. 静かな環境で行う。
✅ 正しい。高次脳機能障害患者は注意散漫性や刺激への過敏性があるため、環境刺激を最小限にすることで集中力向上と混乱軽減に有効です。
2. 新規課題を毎日与える。
❌ 誤り。見当識障害や遂行機能障害がある時期に新規課題を毎日変更すると、学習定着が妨げられ混乱が増加します。反復性と一貫性が必要な段階です。
3. 複数の作業療法士で担当する。
❌ 誤り。高次脳機能障害患者は環境変化に対応しにくいため、同一担当者による一貫した関わりが認識と信頼構築に重要です。
4. 不適切な言動には繰り返し注意する。
❌ 誤り。感情コントロール障害の段階での繰り返し注意は、患者のストレスと行動問題を増悪させます。環境調整と対応の工夫が優先です。
5. 集団でのレクリエーション活動を導入する。
❌ 誤り。注意障害と感情調整障害が顕著な時期の集団活動は刺激過多となり、混乱や不適切行動を誘発する可能性があります。
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【試験対策ポイント】
- 高次脳機能障害の急性期~亜急性期:刺激制限と環境調整が治療の中心
- 見当識障害・注意障害・遂行機能障害がある場合は、一貫性と反復学習を重視
- 感情調整障害への対応:注意や叱責より環境設計と支持的関わりが有効