第55回 作業療法士国家試験 午前 第14問
精神障害作業療法第55回午前
53歳の男性。うつ病の診断で10年前に精神科通院治療を受けて寛解した。1か月前から抑うつ気分、食思不振、希死念慮があり、入院して抗うつ薬の投与を受けていた。1週間からパラレルの作業療法に参加していたが、本日から他患者に話しかけることが増え、複数の作業療法スタッフに携帯電話番号など個人情報を尋ねてまわるようになった。「食欲も出てきた」と大声を出している。この時点での作業療法士の対応として最も適切なのはどれか。
1. 食欲が戻ったので調理実習を計画する。
2. その場で作業療法室への出入りを制限する。
3. 患者との関係作りのため携帯電話番号を教える。
4. 担当医や病棟スタッフに状態の変化を報告する。
5. 行動的となったことを本人にポジティブ・フィードバックする。
- 1. 食欲が戻ったので調理実習を計画する。
- 2. その場で作業療法室への出入りを制限する。
- 3. 患者との関係作りのため携帯電話番号を教える。
- 4. 担当医や病棟スタッフに状態の変化を報告する。 ✓
- 5. 行動的となったことを本人にポジティブ・フィードバックする。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 担当医や病棟スタッフに状態の変化を報告する
うつ病から躁病へ転換する可能性がある危険な兆候が見られているため、医学的判断が必要な状態変化を医療チームに即座に報告することが最優先です。
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【各選択肢の解説】
1. 食欲が戻ったので調理実習を計画する。
❌ 誤り。食欲改善は好転の兆候ですが、同時に大声・多弁・他患者への過度な接近など躁的症状の可能性があり、安易に活動内容を拡大すべきではありません。
2. その場で作業療法室への出入りを制限する。
❌ 誤り。独断で参加を制限することは患者の権利侵害となり、医師の指示なく対応するべきではありません。
3. 患者との関係作りのため携帯電話番号を教える。
❌ 誤り。躁状態では境界線が低下し、患者が不適切な行動をとる可能性があります。個人情報の提供は絶対に避けるべきです。
4. 担当医や病棟スタッフに状態の変化を報告する。
✅ 正しい。抑うつから大声・多弁・社交性の急激な亢進は双極性障害への転換を示唆する重要な兆候であり、医師の診断と治療方針変更の判断が必要です。
5. 行動的となったことを本人にポジティブ・フィードバックする。
❌ 誤り。躁症状を強化してしまい、医学的に有害です。専門的判断を経ずに肯定的評価をすべきではありません。
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【試験対策ポイント】
• 躁状態の兆候:多弁・大声・自尊心の増大・境界線低下・性的逸脱行動
• 双極性障害への転換を察知したら即報告が作業療法士の重要な責務
• 患者安全と治療チーム連携を優先し、独断判断は避ける