第55回 作業療法士国家試験 午前 第17問
臨床心理学第55回午前
40歳の男性。20歳から飲酒を始め、就職後はストレスを解消するために自宅で習慣的に飲酒していた。その後、毎晩の飲酒量が増え、遅刻や無断欠勤をし、休みの日は朝から飲酒するようになった。連続飲酒状態になり、リビングで泥酔し尿便を失禁していた。心配した妻に連れられて精神科を受診し、そのまま入院となった。離脱症状が治まり、体調が比較的安定したところで主治医から作業療法の指示が出された。初回面接時には「自分は病気ではない」と話した。初期の対応で適切なのはどれか。
1. 飲酒しないように繰り返し指導する。
2. 心理教育により依存症の理解を促す。
3. AA〈Alcoholics Anonymous〉を紹介する。
4. 10 METsの運動で身体機能の回復を促す。
5. 飲酒による問題の存在を受け入れるよう促す。
- 1. 飲酒しないように繰り返し指導する。
- 2. 心理教育により依存症の理解を促す。 ✓
- 3. AA〈Alcoholics Anonymous〉を紹介する。
- 4. 10 METsの運動で身体機能の回復を促す。
- 5. 飲酒による問題の存在を受け入れるよう促す。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 心理教育により依存症の理解を促す。
アルコール依存症患者の初期段階では、本人が「自分は病気ではない」という否認の段階にあります。この段階で最も重要な対応は、患者が自らの問題を認識し、依存症という疾患概念を理解するための心理教育です。これにより病識が高まり、その後の治療継続への動機づけにつながります。
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【各選択肢の解説】
1. 飲酒しないように繰り返し指導する。
❌ 誤り。否認段階の患者への繰り返しの指導は逆効果となり、治療関係を損なう可能性があります。
2. 心理教育により依存症の理解を促す。
✅ 正しい。依存症の生物学的メカニズムや疾患特性を理解させることで、患者の否認を軽減し、自発的な行動変容につながります。
3. AA〈Alcoholics Anonymous〉を紹介する。
❌ 誤り。AA紹介は重要ですが、病識が不足した否認段階では参加につながりにくく、初期段階としては適切ではありません。
4. 10 METsの運動で身体機能の回復を促す。
❌ 誤り。身体機能の回復は重要ですが、初期段階での最優先課題は病識の獲得です。
5. 飲酒による問題の存在を受け入れるよう促す。
❌ 誤り。一方的な受け入れを促すのではなく、患者自身が理解を深める環境を整えることが先です。
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【試験対策ポイント】
• 否認段階にある患者には心理教育が有効
• 初期介入は病識獲得と治療動機づけが優先
• 強制的指導は治療関係を損なう