OTカコモン — 作業療法士国家試験 過去問・解説

第55回 作業療法士国家試験 午前 第18問

作業療法評価学第55回午前
22歳の女性。幼少期から聞き分けの良い子だと両親に評価されてきた。完全主義であり、社交的ではないものの仲の良い友人はいた。中学生の時に自己主張をして仲間はずれにされ、一時的に保健室登校になったことがある。その後は優秀な成績で高校、大学を卒業したが、就職してからは過剰適応によるストレスで過食傾向になった。体重増加を同僚に指摘されてから食事を制限し、身長は170 cmだが体重を45 kg未満に抑えることにこだわるようになった。この患者への外来での作業療法士の関わりとして最も適切なのはどれか。 1. 幼少期の母子体験に触れる。 2. 作業療法の目的は半年間かけて伝える。 3. 体重測定の結果をグラフ化するのを手伝う。 4. 作業に失敗しても大丈夫であることを伝える。 5. 本人の作業療法での作品の背景にあるものを分析して伝える。
  1. 1. 幼少期の母子体験に触れる。
  2. 2. 作業療法の目的は半年間かけて伝える。
  3. 3. 体重測定の結果をグラフ化するのを手伝う。
  4. 4. 作業に失敗しても大丈夫であることを伝える。 ✓
  5. 5. 本人の作業療法での作品の背景にあるものを分析して伝える。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 作業に失敗しても大丈夫であることを伝える。 本患者は完全主義で過剰適応傾向が強く、摂食障害に至っている。作業療法では失敗を許容できる環境を提供し、対人関係での柔軟性や自己受容を促進することが治療的に最も重要である。 --- 【各選択肢の解説】 1. 幼少期の母子体験に触れる。 ❌ 誤り。幼少期への深い心理分析は作業療法士の役割ではなく、必要に応じて心理士や精神科医に委ねるべき領域である。 2. 作業療法の目的は半年間かけて伝える。 ❌ 誤り。治療初期から目的を明確に伝えることが重要であり、半年待つ必要はない。患者への説明と同意形成は早期段階で行うべき。 3. 体重測定の結果をグラフ化するのを手伝う。 ❌ 誤り。完全主義で数値にこだわる患者にとって、体重グラフ化は強迫的思考を強化させ、対象化を促進する可能性がある。 4. 作業に失敗しても大丈夫であることを伝える。 ✅ 正しい。完全主義と失敗回避が摂食障害の背景にある本患者にとって、作業療法での失敗経験を通じて失敗許容感を育てることは認知的柔軟性や自己受容を促進する治療的要素である。 5. 本人の作業療法での作品の背景にあるものを分析して伝える。 ❌ 誤り。無自覚的な心理機序の分析は治療初期には患者を過度に防衛的にさせる可能性がある。段階的な関係構築が先行すべき。 --- 【試験対策ポイント】 • 摂食障害患者への作業療法は「失敗許容」と「柔軟性獲得」がキー • 完全主義傾向患者には数値化や客観化よりも体験重視の関わりが有効 • 初期段階では心理分析より治療的雰囲気形成と自己受容促進が優先
関連

▶ 第55回 全問一覧

▶ 作業療法評価学 の過去問一覧