第56回 作業療法士国家試験 午前 第14問
臨床心理学第56回午前
50歳の男性。アルコール依存症。大学を卒業後、就職したころから飲酒が始まる。転勤で一人暮らしになってから飲酒量が増加し、仕事もやめ昼夜間わずに飲み続けるようになった。その後、精神科病院を受診し入退院を繰り返す。主治医には「酒はもうやめます」と言いながらも退院後に再飲酒していた。作業療法士には「酒をやめたいのは本当だが、退院しても仕事が見つからないのでつい飲んでしまう。何とかしてほしい」と話す。この患者の心理状態として最も適切なのはどれか。
1. 否認
2. 共依存
3. 両価性
4. 自己中心
5. 刹那主義
- 1. 否認
- 2. 共依存
- 3. 両価性 ✓
- 4. 自己中心
- 5. 刹那主義
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 両価性
患者は「酒をやめたい」という気持ちと「仕事が見つからないので飲んでしまう」という現実のジレンマを抱えており、相反する2つの感情や動機が同時に存在している状態を示しています。これは両価性(アンビバレンス)の典型的な心理状態です。
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【各選択肢の解説】
1. 否認
❌ 誤り。否認は問題を認めない防衛機制ですが、患者は作業療法士に「酒をやめたい」と本心を述べており、問題を完全に否定していません。
2. 共依存
❌ 誤り。共依存は対人関係(特に依存的な相手)との相互依存的な関係パターンです。この患者の苦悩は相手との関係性ではなく、自身の内的葛藤にあります。
3. 両価性
✅ 正しい。両価性とは相反する2つの感情や欲求が同時に存在する心理状態です。患者は「やめたい」という意思と「やめられない(社会的困難がある)」という現実のジレンマにある典型例です。
4. 自己中心
❌ 誤り。自己中心性は他者の視点を理解できない心理状態ですが、患者は自分の状況を冷静に認識し表現しており、該当しません。
5. 刹那主義
❌ 誤り。刹那主義は現在の快楽のみを求める価値観ですが、患者は「やめたい」という長期的な目標を持っており、刹那主義ではありません。
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【試験対策ポイント】
• 両価性(アンビバレンス):相反する2つの感情・欲求が同時に存在
• アルコール依存症患者の心理:やめたい気持ちと飲みたい衝動の葛藤が特徴的
• 作業療法での認識:患者の本心を聞き出すことで両価性が表現されることが多い