第56回 作業療法士国家試験 午前 第16問
精神障害作業療法第56回午前
19歳の女性。大学1年生。小学生の時より、水泳に秀でていて競技大会では常に優勝を競うほどであった。しかし、高校時代にスランプに陥り当時身長160cm、体重58kgであったが体重を落とせば記録が伸びると思い込み、ダイエットをしているうちに無月経になり、気づくと体重32kgになっていた。心配した母親が本人を説得し病院の精神科外来を受診したところ低栄養で危機的状況にあると医師が判断し精神科病棟への入院を勧めたが、病識のない本人は納得せず、母親の同意による医療保護入院となった。その後作業療法に参加するようになり、1週間が経過した。患者に対する作業療法士の関わり方で適切なのはどれか。
1. 集団作業療法を勧める。
2. 食事の摂取を積極的に促す。
3. 現在取り組んでいることを認める。
4. 高校時代のスランプについて深く聞く。
5. 食べ物を隠れて捨てるのを見つけたら叱る。
- 1. 集団作業療法を勧める。
- 2. 食事の摂取を積極的に促す。
- 3. 現在取り組んでいることを認める。 ✓
- 4. 高校時代のスランプについて深く聞く。
- 5. 食べ物を隠れて捨てるのを見つけたら叱る。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 現在取り組んでいることを認める
神経性やせ症(摂食障害)で病識がない患者との治療初期段階では、患者の自尊心を傷つけない支持的な関わりが重要です。現在の治療活動を認め、患者との信頼関係を構築することが、その後の治療協力につながります。
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【各選択肢の解説】
1. 集団作業療法を勧める
❌ 誤り。入院1週間で、まだ低栄養状態にあり身体的に不安定です。個別対応で信頼関係を構築するのが優先であり、集団参加は段階的に進めるべきです。
2. 食事の摂取を積極的に促す
❌ 誤り。摂食障害患者への直接的な摂食促進は、患者の抵抗感を強め、治療関係を損傷します。栄養管理は医師や栄養士が主導し、作業療法士は別の視点から関わります。
3. 現在取り組んでいることを認める
✅ 正しい。病識のない患者との初期段階では、患者の行動や努力を無条件に認める傾聴的で支持的な姿勢が信頼構築に不可欠です。
4. 高校時代のスランプについて深く聞く
❌ 誤り。入院直後の急性期に心理的な深掘りは患者に負担となります。心理療法的介入は医師・心理士と協働し、身体的安定後に段階的に進めるべきです。
5. 食べ物を隠れて捨てるのを見つけたら叱る
❌ 誤り。叱責は患者の自尊心低下と治療関係の悪化につながります。観察結果は多職種で共有し、一貫した対応を取りますが、感情的な対応は避けるべきです。
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【試験対策ポイント】
・神経性やせ症の初期治療は「信頼関係構築」が最優先
・病識のない患者への直接的な食事促進は逆効果
・摂食障害は多職種協働(医師・栄養士・心理士・OT)で対応