第56回 作業療法士国家試験 午前 第17問
精神障害作業療法第56回午前
65歳の女性。約1年前から抑うつ気分、意欲低下、判断力低下、不眠、食思不振などがあり、約9か月前に精神科外来を初めて受診した。希死念慮や貧困妄想も加わり、約8か月前に医療保護入院となっている。抗うつ剤投与により不眠、食思不振はある程度改善されたが、悲観的な思考内容は遷延化した。促してかろうじて病棟外への散歩に応じるようになり、数か月が経過したところで、主治医から作業療法の依頼があった。この時点での作業療法として適切でないのはどれか。
1. 本人の自己決定を見守る。
2. 個別のかかわりから開始する。
3. 1回の活動時間は短く設定する。
4. 長期間をかけて完成する課題を採用する。
5. なじみのある課題より初めての課題を採用する。
- 1. 本人の自己決定を見守る。
- 2. 個別のかかわりから開始する。
- 3. 1回の活動時間は短く設定する。
- 4. 長期間をかけて完成する課題を採用する。 ✓
- 5. なじみのある課題より初めての課題を採用する。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 長期間をかけて完成する課題を採用する
本症例は抑うつ気分や意欲低下が遷延化している医療保護入院中の高齢抑うつ患者です。この段階では、短期間で成就感を得られる課題が動機づけと自信回復に有効であり、長期間をかけて完成する課題は達成困難感を増強させるため不適切です。
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【各選択肢の解説】
1. 本人の自己決定を見守る
✅ 正しい。抑うつ患者の自律性と主体性を尊重し、意思決定の過程を支援することで内発的動機づけを高める作業療法の基本原則です。
2. 個別のかかわりから開始する
✅ 正しい。意欲低下が著明で他者とのかかわりが困難な時期は、個別関係の構築が治療の基盤となり、段階的に集団活動へ移行させます。
3. 1回の活動時間は短く設定する
✅ 正しい。疲労感や集中力低下がある患者では、短時間の活動設定により参加動機を維持し、段階的に負荷を増やす方針が効果的です。
4. 長期間をかけて完成する課題を採用する
❌ 誤り。抑うつ患者の意欲低下が遷延化している時期に、長期的課題は途中で放棄する可能性が高く、喪失感や無力感を増強させるため不適切です。短期間で成就可能な課題が優先されます。
5. なじみのある課題より初めての課題を採用する
✅ 正しい。既知の課題より新規課題により、興味関心の喚起と認知的刺激が得られ、抑うつ的思考からの注意転換に有効です。
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【試験対策ポイント】
• 抑うつ患者の作業療法は「短期間で成就可能な課題」が基本
• 意欲低下時期は個別関係から集団活動への段階的移行が重要
• 患者の動機づけと自信回復が治療の中心目標