第56回 作業療法士国家試験 午前 第18問
臨床心理学第56回午前
45歳の女性。20歳前後から、心理的負荷がかかるとリストカットを行うようになり縫合を必要とすることが多かった。また、自分の思い通りにいかないと易怒的となり、周囲に暴言を吐くこともあった。25歳時に精神科を初めて受診し、以後、過量服薬時に数回の入院歴があるが、現在は調理の仕事に就いて3年目となる。最近、職場の人間関係で正論を吐きすぎて孤立し、結果として焦燥感が強まり、主治医の勧めで仕事のシフトのない平日の日中に外来作業療法を開始することになった。この時点での作業療法士の関わりとして最も適切なのはどれか。
1. 転職を勧める。
2. 主治医に入院処遇を依頼する。
3. チームでの統一した対応をこころがける。
4. 行動化に対しては心的距離を縮めて対応する。
5. 本人の希望に応じて日々臨機応変に対応する。
- 1. 転職を勧める。
- 2. 主治医に入院処遇を依頼する。
- 3. チームでの統一した対応をこころがける。 ✓
- 4. 行動化に対しては心的距離を縮めて対応する。
- 5. 本人の希望に応じて日々臨機応変に対応する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — チームでの統一した対応をこころがける。
本症例は境界性パーソナリティ障害の特徴を示しており、対応の一貫性が治療的関係の構築と症状管理に不可欠です。多職種チーム(医師・心理士・作業療法士など)による統一した対応が、患者の不安定な対人関係パターンを改善し、治療効果を高めます。
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【各選択肢の解説】
1. 転職を勧める。
❌ 誤り。現在3年の職歴があり、作業療法を通じた対人スキルの改善が先決です。軽率な転職勧奨は治療的関係を損ないます。
2. 主治医に入院処遇を依頼する。
❌ 誤り。現在の状態は外来作業療法で対応可能な段階であり、不必要な入院は依存性を高め、社会復帰を阻害します。
3. チームでの統一した対応をこころがける。
✅ 正しい。境界性パーソナリティ障害は対応の矛盾に敏感であり、多職種による一貫性のある関わりが治療の基本です。
4. 行動化に対しては心的距離を縮めて対応する。
❌ 誤り。リストカットや暴言などの行動化に対しては、むしろ治療的な距離を保ちながら限界設定を明確にすることが重要です。
5. 本人の希望に応じて日々臨機応変に対応する。
❌ 誤り。過度な柔軟対応は患者の分裂的な認識(都合の良い時だけ接近)を強化し、治療的関係を混乱させます。
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【試験対策ポイント】
・ 境界性パーソナリティ障害の治療は「チーム による統一対応」と「治療的距離の確保」が原則
・ 行動化(自傷・他害)への対応は「限界設定」と「共感的傾聴」のバランス
・ 外来作業療法の役割:社会復帰支援と対人スキル訓練