第56回 作業療法士国家試験 午後 第8問
解剖学第56回午後
72歳の女性。転倒し、左手をついた。左手関節部に疼痛と腫脹が生じ、近くの病院を受診し徒手整復後ギプス固定を受けた。骨癒合後の画像(別冊No. 2)を別に示す。手関節尺屈により尺骨頭部の疼痛とクリック音がする。手指の機能障害はない。生じている合併症で考えられるのはどれか。
1. 反射性交感神経性ジストロフィー
2. 尺骨突き上げ症候群
3. 長母指伸筋腱断裂
4. 正中神経損傷
5. 月状骨脱臼
- 1. 反射性交感神経性ジストロフィー
- 2. 尺骨突き上げ症候群 ✓
- 3. 長母指伸筋腱断裂
- 4. 正中神経損傷
- 5. 月状骨脱臼
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 尺骨突き上げ症候群
橈骨遠位端骨折の愛護的固定により橈骨短縮が生じると、尺骨が相対的に突き出して尺骨頭部が尺側手根伸筋腱や周囲組織と衝突し、尺屈時に疼痛とクリック音が生じる尺骨突き上げ症候群が起こります。
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【各選択肢の解説】
1. 反射性交感神経性ジストロフィー
❌ 誤り。画像所見から骨癒合が得られており、症状は尺骨頭部の局所的疼痛に限定されているため典型的ではありません。
2. 尺骨突き上げ症候群
✅ 正しい。橈骨遠位端骨折後の短縮により尺骨が相対的に延長し、尺屈時に尺骨頭が衝突して疼痛とクリック音が生じる典型的な合併症です。
3. 長母指伸筋腱断裂
❌ 誤り。この場合、母指IP関節の伸展不全が生じますが、問題文で「手指の機能障害はない」と明記されています。
4. 正中神経損傷
❌ 誤り。正中神経損傷があれば手指の機能障害(母指~環指の感覚障害、対立運動障害など)が認められるはずです。
5. 月状骨脱臼
❌ 誤り。月状骨脱臼は独立した骨傷であり、画像で骨癒合が確認されている現在の状況とは異なります。
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【試験対策ポイント】
• 尺骨突き上げ症候群:橈骨短縮が主原因、尺屈で症状出現、腱損傷とは別の機械的衝突
• 橈骨遠位端骨折の合併症:短縮、不正癒合、関節軟骨損傷に注意
• 愛護的固定による整復不十分が後遺症の主因