第56回 作業療法士国家試験 午後 第14問
精神障害作業療法第56回午後
20歳の女性。高校卒業後、コンビニエンスストアの仕事についた。2年が経過した頃、人手不足もあり業務に迫われる状態が続いた。次第に集中困難、頭が回らない感覚、不眠、動悸や呼吸困難感が現れ始め、休職するに至った。約1か月の自宅療養で呼吸困難感は軽減したが、頭痛、めまいによる歩行のふらつき、不眠が出現し、たえず漠然とした不安に襲われ外に出られなくなった。その様子を心配した家族が本人を連れて精神科を受診し、外来作業療法が導入された。導入時の作業療法で最も適切なのはどれか。
1. 全身のストレッチ
2. 高負荷の歩行訓練
3. ワークサンプル法による職業訓練
4. 遂行機能に対する認知リハビリテーション
5. 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイ
- 1. 全身のストレッチ ✓
- 2. 高負荷の歩行訓練
- 3. ワークサンプル法による職業訓練
- 4. 遂行機能に対する認知リハビリテーション
- 5. 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイ
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 全身のストレッチ
本症例は不安障害(パニック障害・広場恐怖症)の急性期であり、導入時は身体的緊張の緩和と安定した治療関係の構築が優先される。全身のストレッチは副交感神経を優位にし、身体的な過覚醒状態を軽減する最初のステップとして最適である。
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【各選択肢の解説】
1. 全身のストレッチ
✅ 正しい。急性期の不安障害では身体の緊張亢進が顕著であり、ストレッチによる段階的な筋弛緩は自律神経調整と信頼関係構築に有効である。
2. 高負荷の歩行訓練
❌ 誤り。めまい・ふらつき・不安が強い導入期に高負荷運動は恐怖の再燃と症状悪化を招くため不適切である。
3. ワークサンプル法による職業訓練
❌ 誤り。職業復帰訓練は中期~後期段階で実施すべき課題であり、導入時に職業環境を導入すると不安増悪の危険がある。
4. 遂行機能に対する認知リハビリテーション
❌ 誤り。認知機能障害は主症状ではなく、導入期に認知課題を導入すると集中困難を増悪させる可能性がある。
5. 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイ
❌ 誤り。発症要因であるストレスフルな人間関係・接客場面を導入期に直面させることは、治療的でなく害をもたらす。
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【試験対策ポイント】
• 不安障害の導入期:身体緊張緩和(ストレッチ・弛緩法)が第一段階
• 段階的回復:導入期→安定期→復帰準備期の流れを把握
• 導入期に避けるべき介入:職業訓練、高負荷運動、刺激的な場面設定