第56回 作業療法士国家試験 午後 第15問
人間発達学第56回午後
18歳の男子。幼少時から一人遊びが多かった。運動や言語の発達に目立った問題はないが、視線が合わないことが多い。急な予定変更や大きな音でパニックになることがあった。中学校や高校では場の空気が読めないことでいじめられた経験があり、現在は自室に引きこもり、ほとんどの時間をインターネットに接続したパソコンでアニメやゲームなどに興じている。心配した親が相談機関を訪れ、作業療法士が対応した。この男子の特徴としてみられやすいのはどれか。
1. 手先が器用である。
2. 特定の物事にこだわる。
3. 特定の領域の学習が苦手である。
4. 特定の場面で発語が困難になる。
5. 意思を伝える際に身振りを多用する。
- 1. 手先が器用である。
- 2. 特定の物事にこだわる。 ✓
- 3. 特定の領域の学習が苦手である。
- 4. 特定の場面で発語が困難になる。
- 5. 意思を伝える際に身振りを多用する。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 特定の物事にこだわる。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断基準である「限定的で反復的な行動・興味・活動パターン」が顕著に認められます。本症例ではアニメやゲームへの過度な没頭と、急な予定変更や大きな音への極度の反応がこれに該当します。
---
【各選択肢の解説】
1. 手先が器用である。
❌ 誤り。ASDは一般的に手先の不器用さ(協調運動障害)を伴うことが多く、この特徴と矛盾します。
2. 特定の物事にこだわる。
✅ 正しい。ASDの中核的特徴である「限定的で反復的な興味」の典型例です。アニメ・ゲームへの強い執着が該当します。
3. 特定の領域の学習が苦手である。
❌ 誤り。本事例では「運動や言語の発達に目立った問題はない」と記載され、学習困難の記述がありません。
4. 特定の場面で発語が困難になる。
❌ 誤り。これは選択性緘黙の特徴であり、本症例では発語困難の報告がなく、むしろ対人的な困難が中心です。
5. 意思を伝える際に身振りを多用する。
❌ 誤り。ASDは非言語的コミュニケーション(身振り・アイコンタクト)の困難を示すため、逆の特徴です。
---
【試験対策ポイント】
• ASDの3つの中核症状:①社会的相互作用の困難(視線合わせ困難・いじめ経験)②コミュニケーション障害③限定的反復的行動・興味(特定物へのこだわり)
• 診断基準DSM-5では「A. 社会的コミュニケーションの持続的な欠陥」「B. 限定的で反復的な行動パターン」の両者が必須