第56回 作業療法士国家試験 午後 第17問
臨床心理学第56回午後
50歳の男性。妻と二人暮らし。1年前に支店長に昇進してから仕事量が増え、持ち前の几帳面さと責任感から人一倍多くの仕事をこなしていた。半年前に本社から計画通りの業績が出ていないことを指摘され、それ以来仕事が頭から離れなくなり、休日も出勤して仕事をしていた。2か月前から気分が沈んで夜も眠れなくなり、1か月前からは仕事の能率は極端に低下し、部下たちへの指揮も滞りがちとなった。ある朝、「自分のせいで会社が潰れる、会社を辞めたい、もう死んで楽になりたい」と繰り返しつぶやいて布団にうずくまっていた。心配した妻が本人を連れて精神科病院を受診し、同日入院となった。入院後1週間が経過した時に気分を聞くと、返答までに長い時間がかかり、小さな声で「そうですねえ」と答えるのみであった。作業療法士の対応として適切なのはどれか。
1. 退職を勧める。
2. 気晴らしを勧める。
3. 十分な休息を勧める。
4. 自信回復のために激励する。
5. 集団認知行動療法を導入する。
- 1. 退職を勧める。
- 2. 気晴らしを勧める。
- 3. 十分な休息を勧める。 ✓
- 4. 自信回復のために激励する。
- 5. 集団認知行動療法を導入する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 十分な休息を勧める。
本患者は大うつ病性障害の急性期にあり、入院1週間の時点で反応性低下・思考緩慢など抑うつ症状が顕著です。この段階では心身の回復を最優先とし、十分な休息が治療の基本となります。
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【各選択肢の解説】
1. 退職を勧める。
❌ 誤り。入院直後の急性期に重大な人生決定を勧めるべきではなく、症状改善後に本人の希望に基づき検討すべきです。
2. 気晴らしを勧める。
❌ 誤り。抑うつ症状が強い急性期には気晴らしの効果が期待しにくく、かえって負担になる可能性があります。
3. 十分な休息を勧める。
✅ 正しい。急性期大うつ病患者には、脳と身体の完全な休息が最優先です。入院環境を活用し、症状の改善を待つことが適切な対応です。
4. 自信回復のために激励する。
❌ 誤り。激励は患者のニーズと乖離しており、むしろ心理的負担となります。症状が改善してから段階的に働きかけるべきです。
5. 集団認知行動療法を導入する。
❌ 誤り。認知行動療法は急性期より亜急性~回復期に有効です。入院1週間の重症抑うつ状態では時期尚早です。
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【試験対策ポイント】
• 大うつ病の急性期:休息と薬物療法が優先、活動的介入は避ける
• 入院初期の対応:安全の確保と症状安定化を最優先
• 認知行動療法は亜急性期以降(症状が軽減してから)に導入