第56回 作業療法士国家試験 午後 第19問
人間発達学第56回午後
8歳の男児。幼児期より落ち着きがなくじっとしていられず、家族で外出した際にはよく迷子になり、両親も養育に困難を感じていた。小学校に入学してからは、授業中に勝手に席を立って歩き出したり、順番を守ることも難しく、日常的に忘れ物や落とし物も多く、うっかりミスをして教師に注意されるが、その後も同じミスを繰り返していた。授業中は周囲の雑音に注意を削がれて勉強に集中できず、最近では学業不振が目立ち始めたため放課後等デイサービスで作業療法士が対応することになった。作業療法士の対応として適切でないのはどれか。
1. 感覚統合療法を実施する。
2. ペアレントトレーニングを実施する。
3. 社会生活技能訓練〈SST〉を実施する。
4. 学校を訪問して授業の様子を観察する。
5. 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。
- 1. 感覚統合療法を実施する。
- 2. ペアレントトレーニングを実施する。
- 3. 社会生活技能訓練〈SST〉を実施する。
- 4. 学校を訪問して授業の様子を観察する。
- 5. 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の可能性が高い児童に対して、作業療法士が教員に「行動修正をより促す」よう依頼することは不適切です。子どもの行動上の問題に対して厳しく対応するのではなく、環境調整や多職種連携による支援が必要です。
---
【各選択肢の解説】
1. 感覚統合療法を実施する。
✅ 正しい。ADHDの児童は感覚統合の問題を有することが多く、感覚統合療法は有効な作業療法の介入です。
2. ペアレントトレーニングを実施する。
✅ 正しい。保護者の対応方法を改善することで、家庭での行動支援が実現し、ADHDの児童への対応として最重要です。
3. 社会生活技能訓練〈SST〉を実施する。
✅ 正しい。順番を守る、落とし物を減らすなどの社会生活スキルの獲得にSSTは有効な介入方法です。
4. 学校を訪問して授業の様子を観察する。
✅ 正しい。学校環境での行動を直接観察することで、具体的な支援策を立案できます。多職種連携の視点からも重要です。
5. 担当教員に本人の行動修正をより促すよう依頼する。
❌ 誤り。行動をより厳しく指導するのではなく、学習環境の整備や個別支援計画の作成を提案するべきです。本人のできていないことを責めるアプローチは逆効果です。
---
【試験対策ポイント】
• ADHD児への対応は「環境調整」と「多職種連携」が基本
• ペアレントトレーニングは最も効果的な介入
• 厳しい行動修正指導は二次的な問題行動を増やす可能性