第57回 作業療法士国家試験 午後 第12問
身体障害作業療法第57回午後
55歳の女性。乳癌。ステージⅣ。今回、両下肢の脱力を認めて受診した。腰椎と肋骨の多発病的骨折と診断された。L2以下の不全対麻痺を認め、放射線治療終了後に作業療法開始となった。ベッド上生活で食事以外には介助を要していた。Performance Statusは4である。患者は「足が動かないが、家族と暮らしたい」、家族は「できれば家につれて帰りたい」と希望した。この患者への作業療法について適切なのはどれか。
1. 退院の時期を決定する。
2. 下肢機能訓練は行わない。
3. 福祉用具の適応を検討する。
4. 現時点から積極的な離床を図る。
5. ADL訓練時にはコルセットは装着しない。
- 1. 退院の時期を決定する。
- 2. 下肢機能訓練は行わない。
- 3. 福祉用具の適応を検討する。 ✓
- 4. 現時点から積極的な離床を図る。
- 5. ADL訓練時にはコルセットは装着しない。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 福祉用具の適応を検討する。
癌性脊髄症による不全対麻痺患者の在宅復帰を支援する作業療法として、福祉用具(車いす、移動補助具、環境整備など)の適応検討が最も適切です。患者・家族の在宅生活希望に対応する実現可能なアプローチです。
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【各選択肢の解説】
1. 退院の時期を決定する。
❌ 誤り。退院時期の決定は医師や多職種チームが行う責務であり、作業療法士が単独で決定することは不適切です。
2. 下肢機能訓練は行わない。
❌ 誤り。残存機能の活用訓練は重要です。L2以下の不全対麻痺であれば下肢の随意運動可能性もあり、機能訓練を否定すべきではありません。
3. 福祉用具の適応を検討する。
✅ 正しい。車いス、移動補助具、手すり等の福祉用具の適応検討により、現在の機能レベルでも在宅生活の実現可能性を高めます。患者・家族の希望に応える作業療法の中核です。
4. 現時点から積極的な離床を図る。
❌ 誤り。PS4(寝たきり状態)で骨転移多発・放射線治療直後という状態では、過度な離床は患者負担が大きく、慎重な段階的アプローチが必要です。
5. ADL訓練時にはコルセットは装着しない。
❌ 誤り。腰椎多発転移による脊椎不安定性がある場合、ADL訓練時のコルセット装着は脊髄保護と訓練安全性を高めます。
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【試験対策ポイント】
• Performance Status 4 = 寝たきり状態;緩和的アプローチが基本
• 癌性脊髄症の作業療法 = 残存能力活用 + 福祉用具適応 + 環境調整
• 脊椎転移患者のADL訓練 = コルセット装着が原則