第58回 作業療法士国家試験 午前 第9問
身体障害作業療法第58回午前
70歳の男性。診断名はCOPD。mMRC息切れスケールはグレード4、画像所見では肺の過膨張が指摘されている。在宅酸素療法が導入されていたが、感冒を契機に入院し、入院1週後に作業療法が開始となった。酸素安静時1L/分、労作時2L/分で、開始時(安静時)のバイタルサインは心拍数86/分、呼吸数22/分、SpO₂94%、修正Borg Scale 2であった。作業療法で最も適切なのはどれか。
1. 食事は一度に多めに摂取するように指導する。
2. IADL指導はパンフレットのみで行う。
3. 心拍数が110/分になったら中止する。
4. ADL訓練はSpO₂85%以上で行う。
5. 洗体動作は呼気に合わせて行う。
- 1. 食事は一度に多めに摂取するように指導する。
- 2. IADL指導はパンフレットのみで行う。
- 3. 心拍数が110/分になったら中止する。
- 4. ADL訓練はSpO₂85%以上で行う。
- 5. 洗体動作は呼気に合わせて行う。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 洗体動作は呼気に合わせて行う。
COPD患者の労作時呼吸困難を軽減するためには、呼吸パターンの工夫が重要です。洗体のような腕を挙げる動作では呼気に合わせることで、腹部の圧力を利用して効率的に呼吸ができ、酸素需要の増加を抑制できます。
---
【各選択肢の解説】
1. 食事は一度に多めに摂取するように指導する。
❌ 誤り。一度に多量摂取は腹部膨満により横隔膜を圧迫し、呼吸困難を悪化させます。少量多食が原則です。
2. IADL指導はパンフレットのみで行う。
❌ 誤り。パンフレットだけでは理解や行動変容が不十分です。実際の動作指導と繰り返しの教育が必要です。
3. 心拍数が110/分になったら中止する。
❌ 誤り。中止基準が不適切です。COPD患者では心拍数110程度の上昇は許容範囲内であり、むしろSpO₂低下やBorg Scale 4以上が中止基準となります。
4. ADL訓練はSpO₂85%以上で行う。
❌ 誤り。SpO₂85%は危機的に低い値です。COPD患者でもSpO₂90%以上を維持することが安全基準であり、通常は94%以上での訓練が推奨されます。
5. 洗体動作は呼気に合わせて行う。
✅ 正しい。呼気時に体を動かす「pursed lip breathing(口すぼめ呼吸)」と動作の同期により、効率的な呼吸ができ労作呼吸困難が軽減します。
---
【試験対策ポイント】
• COPD患者の訓練中止基準:SpO₂90%以下、Borg Scale 4以上、胸痛や頭痛など異常症状
• 呼吸困難軽減技法:呼気に合わせた動作、エネルギー節約動作、少量多食
• mMRC グレード4は重症(日常生活活動で呼吸困難あり)→訓練時の慎重な進め方が必要