第58回 作業療法士国家試験 午前 第13問
老年期作業療法第58回午前
65歳の男性。3年前から右手に振戦がみられるようになり、体の動きが固く、すくみ足がみられ、表情も乏しくなっていった。日常生活の支障に対して作業療法が処方されたが、本人は何かと理由をつけてなかなか参加せず、無為に過ごす様子が目立ってきた。この患者の治療方針を検討する際に、評価すべき精神医学的な合併症として最も重要なのはどれか。
1. うつ病
2. 解離性障害
3. 強迫性障害
4. 身体表現性障害
5. 統合失調症
- 1. うつ病 ✓
- 2. 解離性障害
- 3. 強迫性障害
- 4. 身体表現性障害
- 5. 統合失調症
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — うつ病
パーキンソン病患者における抑うつ症状は非常に頻度が高く、治療への意欲低下や無為な状態は抑うつの典型的な表現です。本症例の「理由をつけて治療に参加しない」「無為に過ごす」という行動変化は、うつ病の診断と治療が作業療法の効果を大きく左右するため、最も重要な評価対象となります。
---
【各選択肢の解説】
1. うつ病
✅ 正しい。パーキンソン病患者の30~40%がうつ病を合併し、動機低下・無為・治療拒否は抑うつ症状の中核であり、リハビリ効果を阻害する重要な因子です。
2. 解離性障害
❌ 誤り。解離性障害は心理的ストレスに起因する意識障害や記憶喪失が特徴で、本症例の振戦・固縮・すくみ足といった神経学的症状の存在に矛盾します。
3. 強迫性障害
❌ 誤り。強迫性障害は不合理な強迫観念と儀式的行動が特徴ですが、本症例に「理由をつける」という抵抗的態度や強迫的行動パターンは見られません。
4. 身体表現性障害
❌ 誤り。身体表現性障害は心理的問題が身体症状として表現される疾患ですが、本症例は客観的なパーキンソン病の進行が明らかであり、心因性ではありません。
5. 統合失調症
❌ 誤り。統合失調症は幻覚・妄想・思考障害が特徴ですが、本症例にはそうした一次症状の記載がなく、高齢発症も非典型的です。
---
【試験対策ポイント】
• パーキンソン病患者の30~40%がうつ病を合併、認知機能低下と並ぶ主要な合併症
• 治療拒否・無為・動機低下=抑うつの表現、神経学的症状ではなく精神医学的評価が必須
• 神経難病のリハビリ効果は精神医学的合併症の管理が成功の鍵