第58回 作業療法士国家試験 午前 第16問
精神障害作業療法第58回午前
35歳の男性。強迫性障害。中学生のころから洗浄強迫と確認癖があり、高校へ進学したが不登校が続き退学した。アルバイトに短期間従事したことがあるが未就労である。症状悪化のため半年前から精神科病院に入院し、家庭復帰を目的として作業療法を開始した。作業療法開始2か月目に「完全な作品ができない」と訴え、症状が増悪してきた。作業療法士の対応として最も適切なのはどれか。
1. 作業種目を変更する。
2. 作業療法を中止する。
3. 訴えを聞き、経過をみる。
4. 担当作業療法士を交代する。
5. できている部分に患者の注意を向ける。
- 1. 作業種目を変更する。
- 2. 作業療法を中止する。
- 3. 訴えを聞き、経過をみる。
- 4. 担当作業療法士を交代する。
- 5. できている部分に患者の注意を向ける。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — できている部分に患者の注意を向ける。
強迫性障害患者が「完全な作品ができない」と訴えるのは、障害の中核症状である完全性への執着が作業療法場面で顕在化したものです。この段階では、患者の不安や執着に直面させつつ、段階的に対処する認知行動療法的アプローチが有効であり、できている部分への注目を通じて現実的な評価を促すことが治療的です。
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【各選択肢の解説】
1. 作業種目を変更する。
❌ 誤り。症状から逃避して新たな作業に変更すると、強迫性障害の悪化サイクルが繰り返されるだけです。
2. 作業療法を中止する。
❌ 誤り。治療を中断すれば症状の改善機会が失われ、患者の回避傾向を強化してしまいます。
3. 訴えを聞き、経過をみる。
❌ 誤り。傾聴は必要ですが、単に経過観察するだけでは強迫的思考に対する介入がなく、症状悪化が継続します。
4. 担当作業療法士を交代する。
❌ 誤り。治療的関係を断絶させることは患者の信頼感を損ない、問題解決にならません。
5. できている部分に患者の注意を向ける。
✅ 正しい。完全性への執着から現実的・段階的な達成感へ注意をシフトさせることで、認知の偏りを修正し、症状改善につながります。
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【試験対策ポイント】
• 強迫性障害は「逃避や回避」が症状を維持・悪化させる主要因
• 作業療法における暴露反応妨害法の基本:不安なままできている部分に注目させる
• 患者の訴えへの対応は「傾聴+認知修正」がセット