OTカコモン作業療法士国家試験 過去問・解説

第58回 作業療法士国家試験 午前 第19問

精神障害作業療法第58回午前

第58回 作業療法士国家試験 午前 第19問(精神障害作業療法)の正答は 5 です。境界性パーソナリティ障害の治療では、感情の不安定さと操作的行動に対応するため、治療関係における明確な枠組み(ルール設定・限界設定)が不可欠である。

問題
32歳の女性。境界性パーソナリティ障害。高校生のころから情緒不安定で、慢性的な空虚感を訴えるようになった。卒業後は事務の仕事に就いたが、異性との交際のトラブルから抑うつ気分が強くなり、自傷行為を繰り返した。今回、尊敬していた職場の男性上司との関係が悪化したことを契機に自殺企図があり入院した。この患者に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
  1. 1. 異性との交際トラブルについて指導する。
  2. 2. 対人交流は病院スタッフと家族に限定する。
  3. 3. 活動時間や活動場所は決めずに作業療法を行う。
  4. 4. トラブルがあった場合は担当スタッフを変更する。
  5. 5. 患者と作業療法士の双方が守るべき規則を明確化する。

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 患者と作業療法士の双方が守るべき規則を明確化する

境界性パーソナリティ障害の治療では、感情の不安定さと操作的行動に対応するため、治療関係における明確な枠組み(ルール設定・限界設定)が不可欠である。双方が守るべきルールを明確にすることで安定した治療環境を提供し、治療的同盟を形成する基盤となる。


【各選択肢の解説】

1. 異性との交際トラブルについて指導する。
❌ 誤り。入院直後の不安定な時期に過去のトラブルを掘り下げることは感情の不安定化を招きやすく、時期尚早。
2. 対人交流は病院スタッフと家族に限定する。
❌ 誤り。過度な制限は患者の自律性を損ない、治療的でない。安全を確保しながら段階的に関係を広げる方針が望ましい。
3. 活動時間や活動場所は決めずに作業療法を行う。
❌ 誤り。境界性パーソナリティ障害には構造化された環境と明確な枠組みが必要であり、曖昧な設定は混乱を招く。
4. トラブルがあった場合は担当スタッフを変更する。
❌ 誤り。担当変更はスタッフへの理想化と価値下げ(splitting)を強化し、安定した治療関係の形成を妨げる。
5. 患者と作業療法士の双方が守るべき規則を明確化する。
✅ 正しい。限界設定(limit setting)は境界性パーソナリティ障害の治療において最も重要な介入の一つ。双方のルールを明確にすることで「試し行動」を防ぎ、一貫した対応が可能になる。

【試験対策ポイント】

境界性パーソナリティ障害のOT対応の原則:①一貫した態度・枠組みの明確化、②スタッフ間の情報共有(分裂を防ぐ)、③担当変更しない、④自傷・自殺企図への適切な対応。splitting(理想化と価値下げ)に対してはスタッフ全体で一貫した対応をとることが重要。

✍️ この解説の作成・点検

ST-Toolbox編集部(リハビリテーション領域の国家資格を持つ現役専門職が運営)が、作業療法士領域の有資格者の知見と標準的な教科書・ガイドラインに基づいて作成・点検しています。解説の下書きにはAIを活用し、人が確認・点検したうえで公開しています。

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