第58回 作業療法士国家試験 午前 第47問
精神障害作業療法第58回午前
自傷や社会的問題行動が絶えない境界性パーソナリティ障害の患者に対する作業療法士の対応として適切でないのはどれか。
1. 適宜治療目標を確認する。
2. 患者の治療への主体的参加を促す。
3. 疾患に伴う問題を率直に説明する。
4. 治療関係で生じる転移を利用する。
5. 薬物療法も含めた統合的治療を検討する。
- 1. 適宜治療目標を確認する。
- 2. 患者の治療への主体的参加を促す。
- 3. 疾患に伴う問題を率直に説明する。
- 4. 治療関係で生じる転移を利用する。 ✓
- 5. 薬物療法も含めた統合的治療を検討する。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 治療関係で生じる転移を利用する。
境界性パーソナリティ障害(BPD)の患者は転移が激しく、治療者への依存や敵意が急変しやすいため、転移を「利用する」ことは治療関係を悪化させる危険性が高く適切ではありません。むしろ転移を認識し、それを丁寧に扱うことが重要です。
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【各選択肢の解説】
1. 適宜治療目標を確認する。
✅ 正しい。BPD患者は気分変動が大きく目標意識が不安定になりやすいため、定期的な目標確認は治療の一貫性と方向性を保つために必須です。
2. 患者の治療への主体的参加を促す。
✅ 正しい。受動的な治療では問題行動が改善されにくく、患者自身の意思決定と責任感を高めることで、自傷・問題行動の改善につながります。
3. 疾患に伴う問題を率直に説明する。
✅ 正しい。BPD患者に対する心理教育は重要で、自らの症状パターンを理解することで対処スキルの習得につながり、治療への動機付けが高まります。
4. 治療関係で生じる転移を利用する。
❌ 誤り。BPD患者の転移は極めて強く不安定(理想化と敵意の急変)であり、転移を「利用する」ことは関係破綻や治療中断につながるため避けるべきです。転移は「認識し対処する」対象です。
5. 薬物療法も含めた統合的治療を検討する。
✅ 正しい。BPDは心理社会的治療が中心ですが、併存する抑うつや不安に対して薬物療法の併用が有効であり、多職種による統合的アプローチが推奨されます。
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【試験対策ポイント】
• 境界性パーソナリティ障害の転移は激しく不安定(理想化と敵意の極端な変動)
• 転移は「利用」ではなく「認識・対処」するべき現象
• 心理教育、問題解決スキル訓練、主体的参加が治療の中心