OTカコモン作業療法士国家試験 過去問・解説

第58回 作業療法士国家試験 午後 第2問

身体障害作業療法第58回午後

第58回 作業療法士国家試験 午後 第2問(身体障害作業療法)の正答は 5 です。多発性硬化症(MS)では疲労(MS疲労)が最大の問題の一つであり、特にUhthoff現象(体温上昇による症状悪化)が特徴的である。

問題
43歳の女性。多発性硬化症。発症から3年経過。寛解と再燃とを繰り返している。四肢筋力は軽度低下し、表在感覚が軽度鈍麻している。疲労の訴えが多く、入院となった。最近徐々に視覚障害を生じてきた。この患者に対する作業療法で最も適切なのはどれか。
第58回午後第2問 図
  1. 1. 針で布を縫う(裁縫)
  2. 2. 鋸で板を切る(木工)
  3. 3. 鍬で土を耕す(畑仕事)
  4. 4. 木槌で刻印を打つ(革細工)
  5. 5. 杼(ひ)で横糸を通す(機織り)

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 杼(ひ)で横糸を通す(機織り)

多発性硬化症(MS)では疲労(MS疲労)が最大の問題の一つであり、特にUhthoff現象(体温上昇による症状悪化)が特徴的である。また視覚障害(視神経炎による視力低下・視野障害)も生じている。作業療法では疲労を増悪させず、エネルギー消費が少なく、視覚への負担が少ない活動を選択することが重要である。



【各選択肢の解説】

1. 針で布を縫う(裁縫)
❌ 誤り。裁縫は微細な視覚を必要とし、視覚障害のある本患者には不適切である。また精密な手作業で疲労も蓄積しやすい。
2. 鋸で板を切る(木工)
❌ 誤り。木工(鋸)は全身的な筋力・体力を必要とし、MS疲労を著しく増悪させる可能性がある。重力に抗する立位作業も負担が大きい。
3. 鍬で土を耕す(畑仕事)
❌ 誤り。農作業は屋外作業(体温上昇によるUhthoff現象のリスク)、重労働、長時間の立位が必要であり、MS患者には最も不適切な活動の一つである。
4. 木槌で刻印を打つ(革細工)
❌ 誤り。革細工は繰り返しの打撃動作による上肢疲労と、視覚的な精密作業が求められる。MS患者の疲労管理・視覚障害への配慮として不適切。
5. 杼(ひ)で横糸を通す(機織り)
✅ 正しい。機織りは座位で行い、繰り返しの単調な動作でリズムが安定しており、視覚への依存度が比較的低く(粗大な視覚での確認で可能)、エネルギー消費も中等度でコントロールしやすい。MSの疲労管理・視覚障害への配慮を踏まえた最適な作業である。


【試験対策ポイント】
  • MS(多発性硬化症)のOT原則:①疲労管理(エネルギー節約技術)、②Uhthoff現象への配慮(体温上昇回避)、③視覚障害への対応。
  • 作業選択の基準:座位・低エネルギー・視覚依存度低・屋内・温度管理可能。
  • MSは寛解・再燃を繰り返すため、活動量は現状の機能レベルに合わせて段階的に調整する。
  • 機織りは「座位・律動的・視覚依存低・エネルギー中等度」として国試頻出の正答選択肢。
✍️ この解説の作成・点検

ST-Toolbox編集部(リハビリテーション領域の国家資格を持つ現役専門職が運営)が、作業療法士領域の有資格者の知見と標準的な教科書・ガイドラインに基づいて作成・点検しています。解説の下書きにはAIを活用し、人が確認・点検したうえで公開しています。

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