第58回 作業療法士国家試験 午後 第14問
精神障害作業療法第58回午後
63歳の女性。うつ病。元来、働き者で、園芸や裁縫を楽しんでいた。定年退職し、子どもの独立、親の死が続いたころから、趣味や家事をする気力がなくなり、不眠と強い倦怠感を訴え、入院した。薬物療法により症状が軽快し、1か月後には病棟内ADLはほぼ自立したため作業療法が開始された。作業療法の初期評価で最も適切なのはどれか。
1. 独力で調理ができるかどうかを評価する。
2. 主観的疲労度を頻繁に聞いて確認する。
3. 裁縫での作業遂行の様子を観察する。
4. 集団活動での行動特性を観察する。
5. 日中の過ごし方の情報を得る。
- 1. 独力で調理ができるかどうかを評価する。
- 2. 主観的疲労度を頻繁に聞いて確認する。
- 3. 裁縫での作業遂行の様子を観察する。
- 4. 集団活動での行動特性を観察する。
- 5. 日中の過ごし方の情報を得る。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 日中の過ごし方の情報を得る。
うつ病の回復期における作業療法の初期評価では、患者の生活歴や興味・適応状況を把握することが最優先です。本症例は定年退職と喪失体験により生きる実感を失った状態であり、今後の作業療法プログラムを計画するには、患者の日常生活全体の見立てが不可欠です。
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【各選択肢の解説】
1. 独力で調理ができるかどうかを評価する。
❌ 誤り。病棟内ADLはすでに自立しており、IADL評価は次段階です。初期評価ではまず全体像把握が優先されます。
2. 主観的疲労度を頻繁に聞いて確認する。
❌ 誤り。薬物療法により症状が軽快した段階であり、頻繁な疲労確認は患者の症状に過度に焦点を当ててしまいます。
3. 裁縫での作業遂行の様子を観察する。
❌ 誤り。裁縫は有意義な活動ですが、一つの活動のみでは全体像が把握できません。初期評価では広い視点が必要です。
4. 集団活動での行動特性を観察する。
❌ 誤り。まず個別の情報聴取による全体把握が先です。集団活動への導入は評価後の段階的プログラムです。
5. 日中の過ごし方の情報を得る。
✅ 正しい。初期評価では患者の生活構造、興味、現在の生活充足度を把握することが、作業療法の個別プログラム設定の基盤となります。
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【試験対策ポイント】
• 初期評価の目的は「全体像把握」→詳細な機能評価は次段階
• うつ病の作業療法では「役割喪失」「生きる実感の欠如」がキーワード
• 回復期では患者の価値観・生活歴を重視した評価が効果的