第58回 作業療法士国家試験 午後 第19問
老年期作業療法第58回午後
第58回 作業療法士国家試験 午後 第19問(老年期作業療法)の正答は 3 です。「ここは学校か、仕事がある」という見当識障害の発言と、作業療法室内の徘徊・他患者への怒声・暴言という状況は、Alzheimer型認知症患者の混乱・興奮状態を示している。
問題
60歳の男性。Alzheimer型認知症。若いころから日曜大工が趣味で、本棚や花壇などを作っていた。1年前から食事をしたことを忘れるようになった。最近、置き忘れた財布を「盗まれた」などと言い、家庭内でのトラブルが多くなり精神科を受診して入院となった。作業療法導入時、「ここは学校ですか。私は仕事がありますので帰ります」と言い、作業療法室内を歩き回り、他の患者に対する怒声や暴言が観察された。この時期の作業療法士の対応で優先すべきなのはどれか。
- 1. 患者の言動を厳しく叱責する。
- 2. 職業リハビリテーションを導入する。
- 3. 場の雰囲気に馴れるように援助する。 ✓
- 4. 本棚作りなどの木工作業を導入する。
- 5. 記憶力の改善を目的とした活動を導入する。
正答:3番
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解説
■ 正答:3番 — 場の雰囲気に馴れるように援助する。
「ここは学校か、仕事がある」という見当識障害の発言と、作業療法室内の徘徊・他患者への怒声・暴言という状況は、Alzheimer型認知症患者の混乱・興奮状態を示している。この時期の最優先対応は安全確保と場所・人への慣れを促す環境調整であり、説得・叱責・高負荷の活動介入は逆効果となる。
【各選択肢の解説】
1. 患者の言動を厳しく叱責する。
❌ 誤り。叱責は認知症患者の不安・混乱・興奮をさらに増大させる。絶対に行ってはならない対応。
❌ 誤り。叱責は認知症患者の不安・混乱・興奮をさらに増大させる。絶対に行ってはならない対応。
2. 職業リハビリテーションを導入する。
❌ 誤り。認知症で見当識障害・周辺症状が顕著な時期に職業リハビリは適応外。
❌ 誤り。認知症で見当識障害・周辺症状が顕著な時期に職業リハビリは適応外。
3. 場の雰囲気に馴れるように援助する。
✅ 正しい。作業療法導入初期の混乱・興奮期には、まず場所や人への慣れを促すこと(環境への適応支援)が最優先。安心感の醸成が以後の活動参加の前提となる。
✅ 正しい。作業療法導入初期の混乱・興奮期には、まず場所や人への慣れを促すこと(環境への適応支援)が最優先。安心感の醸成が以後の活動参加の前提となる。
4. 本棚作りなどの木工作業を導入する。
❌ 誤り。日曜大工が趣味で回想法的に有効な活動だが、混乱・興奮状態で徘徊・暴言が続く時期に具体的作業を導入するのは時期尚早。
❌ 誤り。日曜大工が趣味で回想法的に有効な活動だが、混乱・興奮状態で徘徊・暴言が続く時期に具体的作業を導入するのは時期尚早。
5. 記憶力の改善を目的とした活動を導入する。
❌ 誤り。Alzheimer型認知症では記憶力の改善は基本的に期待できない。認知症OTは機能回復ではなく残存能力の活用と生活の質の維持が目標。
❌ 誤り。Alzheimer型認知症では記憶力の改善は基本的に期待できない。認知症OTは機能回復ではなく残存能力の活用と生活の質の維持が目標。
【試験対策ポイント】
認知症OTの段階的対応:
1. 混乱・興奮期 → 安全確保・場への慣れ・環境調整・安心感の提供
2. 安定期 → 趣味・習慣的活動の導入(本症例なら木工)
3. 維持期 → 残存能力を活かした活動継続、家族支援
「叱責」「説得」「高負荷活動の即時導入」はすべて急性期には不適切。BPSDへの対応は共感・傾聴・環境調整が基本。
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