第59回 作業療法士国家試験 午前 第15問
発達障害作業療法第59回午前
13歳の男子。中学校入学後クラスでの様子を心配した担任から母親に連絡があり、母親に伴われて精神科に来院した。幼少期から物音および匂いに敏感であったという。成績は上位。鉄道に強い興味があり、同級生はその知識にはじめは関心を示したが、一度話し始めると一方的に自分の興味のある話を続けるため、次第に孤立した。本人は他の生徒との関係に無頓着である。最も考えられるのはどれか。
1. うつ病
2. 限局性学習障害
3. 行為障害
4. 自閉症スペクトラム障害
5. 選択性緘黙
- 1. うつ病
- 2. 限局性学習障害
- 3. 行為障害
- 4. 自閉症スペクトラム障害 ✓
- 5. 選択性緘黙
正答:4番
解説
# 第59回 第A015問 解説
■ 正答:4番 — 自閉症スペクトラム障害
感覚過敏(物音・匂い)、特定領域への強いこだわり(鉄道知識)、一方的な会話による社会的孤立、他者との関係への無頓着という特徴は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断基準に合致する。知的水準は正常(成績上位)であり、高機能ASDの典型例。
---
【各選択肢の解説】
1. うつ病
❌ 誤り。抑うつ気分・意欲低下・睡眠障害などの症状が記述されていない。孤立は二次的なものであり、一次診断には相当しない。
2. 限局性学習障害
❌ 誤り。読み・書き・算数などの特定の学習能力の障害が主体。成績上位とあり該当しない。
3. 行為障害
❌ 誤り。他者への攻撃・器物破損・規則違反などの反社会的行動が主体。本症例にはそのような記述がない。
4. 自閉症スペクトラム障害
✅ 正しい。①社会的コミュニケーション障害(一方的な会話・孤立・無頓着)、②限定的・反復的行動パターン(鉄道への強いこだわり)、③感覚過敏(物音・匂い)の3点がASD診断の根拠となる。
5. 選択性緘黙
❌ 誤り。特定の状況(学校など)では発語しないが家庭では話せる状態。本症例は積極的(かつ一方的)に話すため該当しない。
---
【試験対策ポイント】
ASDの診断の核心は**「社会的コミュニケーションの障害」+「限定的・反復的な興味・行動」+「感覚過敏/鈍麻」**の組み合わせ。知的障害を伴わない高機能ASD(旧アスペルガー症候群)では成績良好でありながら社会的孤立が目立つ。選択性緘黙との鑑別は「話せない」vs「一方的に話す」で明確に区別する。
---