第59回 作業療法士国家試験 午前 第16問
精神障害作業療法第59回午前
38歳の女性。統合失調症。長期入院後、ACTチームによる訪問支援を受けながら一人暮らしを始めた。服薬は自己管理。時折聞こえる幻聴に対処できていたが、部屋は整理整頓できていない。最近、就労希望を受けて、ACTチームの作業療法士が就労支援を担当することになった。作業療法士の対応で最も優先すべきなのはどれか。
1. 幻聴が聞こえる頻度について確認する。
2. 本人が望む職種や条件について聞き取る。
3. 就労継続支援B型事業所への見学を計画する。
4. 部屋の清掃ができるようになってから就労を考えるように促す。
5. 就職活動に向けて主治医に服薬について相談することを提案する。
- 1. 幻聴が聞こえる頻度について確認する。
- 2. 本人が望む職種や条件について聞き取る。 ✓
- 3. 就労継続支援B型事業所への見学を計画する。
- 4. 部屋の清掃ができるようになってから就労を考えるように促す。
- 5. 就職活動に向けて主治医に服薬について相談することを提案する。
正答:2番
解説
# 第59回 第A016問 解説
■ 正答:2番 — 本人が望む職種や条件について聞き取る。
ACT(assertive community treatment)は地域生活支援が目的であり、本人の希望・意向を中心に支援を組み立てる。就労支援においても**本人の希望する職種・条件を最初に確認する**ことが、個別化された支援の出発点となる(IPS:個別就労支援モデルの原則にも合致)。
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【各選択肢の解説】
1. 幻聴が聞こえる頻度について確認する。
❌ 誤り。幻聴には対処できており安定している。就労支援の文脈で幻聴頻度の確認を優先することは、本人の希望に沿わない対応となる。
2. 本人が望む職種や条件について聞き取る。
✅ 正しい。ACTおよびIPSの原則では、本人の意向を最大限尊重し、希望から支援を始める。まず「何をしたいか」を確認することが優先される。
3. 就労継続支援B型事業所への見学を計画する。
❌ 誤り。本人が「就労希望」を示しているにもかかわらず、B型(雇用契約なし・工賃制)を先に提案することは本人の意向に沿わない。IPSでは一般就労を目標とする。
4. 部屋の清掃ができるようになってから就労を考えるように促す。
❌ 誤り。部屋の整理ができないことを就労の前提条件とするのは、本人の主体性を否定する対応。IPSでは「準備が整ってから」という考え方を否定している。
5. 就職活動に向けて主治医に服薬について相談することを提案する。
❌ 誤り。服薬は自己管理できており安定している。服薬を最初に議題にする必要性は低い。
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【試験対策ポイント】
ACTおよびIPS(Individual Placement and Support)の原則:**①本人の希望から始める、②一般就労を目標にする、③「準備が整ったら」という前提を置かない**。「部屋が片付いてから」「幻聴がなくなってから」という条件付けは誤った支援。就労希望が出たら**まず本人の意向を聞き取る**ことが正解。
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