第59回 作業療法士国家試験 午前 第18問
精神障害作業療法第59回午前
51歳の男性。境界性パーソナリティ障害。見捨てられ不安が強く、職場や家庭での対人関係が不安定であった。ストレスが強くなると自傷行為や暴力行為を繰り返し、ストレスが軽減すると精神科デイケアに安定して通所した。母親がデイケア担当の作業療法士に患者対応のアドバイスを求めた。母親への助言・指導で適切でないのはどれか。
1. 家族会に関する情報提供を行う。
2. 家族自身の時間を確保する意義を伝える。
3. 患者の言動には一喜一憂しないように伝える。
4. 自傷行為の予防のために常時監視するように促す。
5. 家族への暴力行為があるときはその場を離れるように助言する。
- 1. 家族会に関する情報提供を行う。
- 2. 家族自身の時間を確保する意義を伝える。
- 3. 患者の言動には一喜一憂しないように伝える。
- 4. 自傷行為の予防のために常時監視するように促す。 ✓
- 5. 家族への暴力行為があるときはその場を離れるように助言する。
正答:4番
解説
# 第59回 第A018問 解説
■ 正答:4番 — 自傷行為の予防のために常時監視するように促す。
境界性パーソナリティ障害(BPD)の家族支援において、常時監視は患者の自律性を侵害し、過度な依存や支配関係を強化する。また家族を疲弊させ、かえって関係の悪化につながる。BPD支援では「適切な距離の保持」が重要である。
---
【各選択肢の解説】
1. 家族会に関する情報提供を行う。
✅ 適切。家族会は家族が支援を受けながら情報共有できる場であり、情報提供は有益。
2. 家族自身の時間を確保する意義を伝える。
✅ 適切。BPD患者の家族はバーンアウトに陥りやすい。自分の時間を確保することで精神的余裕が生まれ、適切な関与が可能になる。
3. 患者の言動には一喜一憂しないように伝える。
✅ 適切。BPDでは感情的な揺れが激しいが、家族が振り回されないことで患者の安定にもつながる。
4. 自傷行為の予防のために常時監視するように促す。
❌ 誤り(これが正答)。常時監視は家族の消耗を招くうえ、患者の自律性を損ない依存を強化する。BPD管理では監視より**一貫した関わりと適切な距離の保持**が原則。
5. 家族への暴力行為があるときはその場を離れるように助言する。
✅ 適切。暴力場面でその場を離れることは、家族の安全確保と同時に暴力への報酬(注目)を与えないという行動的観点からも有効。
---
【試験対策ポイント】
BPDの家族支援では**「常時監視・過干渉・振り回される対応」はNG**。家族自身のケア(家族会・自分の時間)と**一貫した穏やかな対応**が鍵。「常時監視で自傷予防」は直感的に正しそうに見えるが、実際には逆効果であることを覚えておく。
---