OTカコモン作業療法士国家試験 過去問・解説

第59回 作業療法士国家試験 午後 第10問

身体障害作業療法第59回午後

第59回 作業療法士国家試験 午後 第10問(身体障害作業療法)の正答は 5 です。胸部CT(B)では両肺野の気腫性変化(低吸収域の広範な分布)が確認でき、重度のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が示唆される。

問題
72歳の男性。在宅酸素療法中。呼吸困難が増悪したため入院し、作業療法が開始された。開始時の胸部CT(別冊No. 3)を別に示す。mMRCはGrade 4であり、酸素流量は安静時3L/分、労作時5L/分であった。この患者の日常生活指導で最も優先されるのはどれか。
第59回午後第10問 図
  1. 1. 口すぼめ呼吸を指導する。
  2. 2. 更衣動作は素早く行わせる。
  3. 3. 呼吸困難時には深呼吸を促す。
  4. 4. 立ち上がってすぐに移動する。
  5. 5. 短時間で動作を区切って休憩する。

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 短時間で動作を区切って休憩する

胸部CT(B)では両肺野の気腫性変化(低吸収域の広範な分布)が確認でき、重度のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が示唆される。mMRC Grade 4(着替えもできないほどの息切れ)・在宅酸素療法中という重症例であり、日常生活指導では呼吸困難の増悪を最小化するエネルギー節約技法が最優先となる。


【各選択肢の解説】

1. 口すぼめ呼吸を指導する。
❌ 誤り。口すぼめ呼吸はCOPD患者に有用な呼吸法であり、正しい技法の一つではあるが、「最も優先される」日常生活指導ではない。本問では活動場面での指導の優先順位を問うている。
2. 更衣動作は素早く行わせる。
❌ 誤り。COPD重症例では急いで動作を行うことで酸素消費量が増大し、呼吸困難が増悪する。素早く行わせることは禁忌に近い指導である。
3. 呼吸困難時には深呼吸を促す。
❌ 誤り。COPDでは肺の過膨張があるため、深呼吸を促すと残気量がさらに増大し症状が悪化する。呼吸困難時には口すぼめ呼吸・前傾座位(起坐呼吸位)が適切である。
4. 立ち上がってすぐに移動する。
❌ 誤り。立ち上がり直後は循環・呼吸への負荷が高いため、立位安定を確認してから移動する「立位安定後移動」が基本原則である。
5. 短時間で動作を区切って休憩する。
✅ 正しい。mMRC Grade 4という最重症例では、動作をこまめに区切り、息が整ってから次の動作に移る「ペーシング(pacing)」が日常生活指導の最優先事項である。エネルギー節約技法の中核をなす。

【試験対策ポイント】

COPD重症例(mMRC Grade 3〜4)の日常生活指導の原則:

原則具体例
ペーシング動作を細かく区切り、休憩を挟む
エネルギー節約重い物を持たない・引かない→押す
呼吸法口すぼめ呼吸・腹式呼吸
姿勢前傾座位(起坐位)で安定
労作前準備吸入薬を事前に使用

mMRCスケール(0〜4)の最重症がGrade 4(着替えで息切れ)。在宅酸素+Grade 4→最重症COPDという組み合わせを確認する。

✍️ この解説の作成・点検

ST-Toolbox編集部(リハビリテーション領域の国家資格を持つ現役専門職が運営)が、作業療法士領域の有資格者の知見と標準的な教科書・ガイドラインに基づいて作成・点検しています。解説の下書きにはAIを活用し、人が確認・点検したうえで公開しています。

それでも誤りが残ることがあります。「おかしいな」と思ったらお問い合わせから気軽に教えてください。確認のうえ修正し、皆さんと一緒に解説を育てていきます。

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