OTカコモン — 作業療法士国家試験 過去問・解説

第60回 作業療法士国家試験 午前 第3問

身体障害作業療法第60回午前
59歳の男性。右利き。脳梗塞による左片麻痺。発症21日目のBrunnstrom法ステージは上肢Ⅳ、手指Ⅲ、下肢Ⅲ。表在感覚は上肢手指下肢共に鈍麻。椅子座位で机上の布を用いたワイピングの上肢機能的訓練を図のように行った。訓練の目的はどれか。2つ選べ。 1. 握力の改善 2. 手指の巧緻性の改善 3. 肘の分離運動の改善 4. 手背の表在感覚の改善 5. 肩甲帯の前方突出運動の改善
第60回午前第3問 図
  1. 1. 握力の改善
  2. 2. 手指の巧緻性の改善
  3. 3. 肘の分離運動の改善 ✓
  4. 4. 手背の表在感覚の改善
  5. 5. 肩甲帯の前方突出運動の改善 ✓

正答:3・5番

解説
# 第60回 第A003問 解説 ■ 正答:3番・5番(複数正答) > ⚠️ この問題は3番と5番が正答として処理されています。 図は椅子座位で患者が麻痺側上肢の手掌を布の上に乗せ、机上を前方(斜め遠位方向)に向かってワイピングしている場面を示している。この運動では肩甲骨の前方突出(前鋸筋活動)と肘関節の分離運動(屈曲位からの伸展)が主に要求される課題である。 --- 【各選択肢の解説】 1. 握力の改善 ❌ 誤り。手指Ⅲはまとめ握りの段階であり、布を握って動かすという動作ではなく、手を乗せてスライドさせる動作であるため握力訓練にはならない。 2. 手指の巧緻性の改善 ❌ 誤り。手指Ⅲの段階でワイピングは手指を能動的・個別に使用する課題ではないため、巧緻性の改善を直接目的とした訓練ではない。 3. 肘の分離運動の改善 ✅ 正しい。図のワイピング動作では肘関節を伸展方向に動かしながら前腕を前方に滑らせる動きが求められ、上肢Ⅳ段階での肘関節の分離運動促通に有効である。 4. 手背の表在感覚の改善 ❌ 誤り。ワイピングは手掌面を布に接触させる動作であり、手背の感覚刺激ではない。また表在感覚の改善にはより直接的な感覚刺激訓練が用いられる。 5. 肩甲帯の前方突出運動の改善 ✅ 正しい。前方遠位方向へリーチするワイピング動作では前鋸筋を介した肩甲骨の前方突出が促され、BrunnstromステージⅣで重要な肩甲帯の分離運動訓練となる。 --- 【試験対策ポイント】 **ワイピング訓練のポイント**:机上での布ふき動作は、BrunnstromステージⅢ〜Ⅳの上肢訓練として頻出。前方方向への動きで「**前鋸筋+肩甲帯前方突出**」、遠位方向への動きで「**肘伸展の分離運動**」を促す。手指ではなく上肢近位部の訓練であることを押さえる。表在感覚の改善には直接的な感覚刺激(タッピング、テクスチャー等)が必要であり、ワイピング単独では不十分である。 ---
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