第60回 作業療法士国家試験 午前 第16問
精神障害作業療法第60回午前
30歳の男性。会社員。中学生の頃より人前で話すときに緊張が強くなり、人と会うのを避けるようになった。大学卒業後に就職し、顧客との交渉が多い部署に配属となった。プレゼンテーションの際には動悸、発汗および腹痛が出現し、うまく行えなかった。仕事の業績も落ち込んだため精神科を受診した。最も考えられるのはどれか。
1. 持続性抑うつ症〈気分変調症〉
2. 社交不安症〈社交不安障害〉
3. 身体症状症
4. 全般不安症〈全般性不安障害〉
5. パニック症〈パニック障害〉
- 1. 持続性抑うつ症〈気分変調症〉
- 2. 社交不安症〈社交不安障害〉 ✓
- 3. 身体症状症
- 4. 全般不安症〈全般性不安障害〉
- 5. パニック症〈パニック障害〉
正答:2番
解説
# 第60回 第A016問 解説
■ 正答:2番 — 社交不安症〈社交不安障害〉
中学生時代からの対人緊張、人前での動悸・発汗・腹痛という身体症状、プレゼンの回避という行動パターンは、社交不安症(社交不安障害)の診断基準を満たす典型的な臨床像である。
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【各選択肢の解説】
1. 持続性抑うつ症〈気分変調症〉
❌ 誤り。持続性抑うつ症は2年以上持続する慢性的な抑うつ気分が主体。本症例の主訴は対人・社会的状況での不安であり、抑うつ気分の記載はない。
2. 社交不安症〈社交不安障害〉
✅ 正しい。社交不安症は「他者から注目される社会的状況での著しい恐怖・不安」を特徴とし、パフォーマンス状況(プレゼン等)で自律神経症状を伴い、回避行動をとる。中学生時代からの経過も一致する。
3. 身体症状症
❌ 誤り。身体症状症は身体的病変を特定できない持続的身体症状が主体であり、社会的状況限定の発症とは異なる。
4. 全般不安症〈全般性不安障害〉
❌ 誤り。全般不安症は特定の状況に限らず、さまざまな事柄への過剰な心配が持続する状態。本症例は社会的状況に限定されているため鑑別できる。
5. パニック症〈パニック障害〉
❌ 誤り。パニック症は予期しないパニック発作(突然の強烈な恐怖・身体症状)が特徴。本症例は特定の社会的状況(プレゼン)でのみ症状が出現しており、予期しない発作ではない。
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【試験対策ポイント】
**社交不安症と他の不安症の鑑別点**:
| 疾患 | 不安の対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 社交不安症 | 対人・社会的状況 | 他者からの評価・恥への恐怖 |
| パニック症 | 予期しない発作 | 突然の身体症状・予期不安 |
| 全般不安症 | 日常の多様な事柄 | 慢性的・広汎な心配 |
| 特定恐怖症 | 特定の物・状況 | 明確なトリガー |
社交不安症の治療:**認知行動療法(CBT)**が第一選択。薬物はSSRI。
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