第60回 作業療法士国家試験 午前 第19問
精神障害作業療法第60回午前
33歳の女性。統合失調症。半年ほど前から「誰かに見張られている」と言い、近隣でのトラブルが続いて再入院となった。入院後、生活リズムの改善を目的に本人が希望した手工芸の活動が開始された。作業療法開始3週で安定して活動に参加できるようになったが、依然として意欲低下があり、活動中に「見張られていて不安だから作業療法をやめたい」と申し出た。この時の作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1. 作業種目を変更する。
2. 妄想の内容を詳細に聞き出す。
3. 作業療法の参加を直ちに中止する。
4. 手工芸を継続できるような声かけを行う。
5. 「見張られている」という事実がないことを説明する。
- 1. 作業種目を変更する。
- 2. 妄想の内容を詳細に聞き出す。
- 3. 作業療法の参加を直ちに中止する。
- 4. 手工芸を継続できるような声かけを行う。 ✓
- 5. 「見張られている」という事実がないことを説明する。
正答:4番
解説
# 第60回 第A019問 解説
■ 正答:4番 — 手工芸を継続できるような声かけを行う。
統合失調症患者で活動が安定し始めた段階で「見張られている」という妄想的訴えが出現した場面である。この場合、妄想の内容に深入りしたり否定したりすることは症状を悪化させる可能性があり、参加を突然中止することも治療関係を損なう。活動への継続参加を支持する声かけが最も適切である。
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【各選択肢の解説】
1. 作業種目を変更する。
❌ 誤り。本人が希望して始めた手工芸であり、安定して参加できていた経緯がある。種目変更は必ずしも必要ではなく、まず継続を支持する関わりが優先される。
2. 妄想の内容を詳細に聞き出す。
❌ 誤り。妄想の内容を詳細に聞き出すことは妄想へのとらわれを強化し、患者の不安を高める可能性がある。統合失調症では妄想の深掘りは治療的ではない。
3. 作業療法の参加を直ちに中止する。
❌ 誤り。直ちに中止することは患者に「問題があった」という認識を与え、治療的関係を損なう。症状が安定している範囲であれば継続支持が適切。
4. 手工芸を継続できるような声かけを行う。
✅ 正しい。安定して参加できていた活動の継続を支持する声かけは、患者の不安を和らげ治療的関係を維持するうえで最も適切。妄想内容に巻き込まれず、現実の活動参加を支持する姿勢が基本。
5. 「見張られている」という事実がないことを説明する。
❌ 誤り。妄想を直接否定することは患者の不信感・反発を招き、治療関係を悪化させる。統合失調症の妄想への対応として禁忌に近い。
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【試験対策ポイント】
統合失調症の妄想への対応原則:①**妄想を否定しない**、②**妄想の内容に深入りしない**、③**現実の活動参加を支持する**。「事実がないと説明する」は誤答として最頻出。安定期の作業療法では**活動継続を支持する声かけと安心できる環境提供**が基本方針。
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