第60回 作業療法士国家試験 午後 第3問
身体障害作業療法第60回午後
67歳の男性。右利き。灯油による引火で右前腕以遠にⅢ度の熱傷を受傷した。救命救急センターに搬送され、壊死組織のデブリドマンを施行され、植皮術が行われた。術後3日目にベッドサイドで作業療法を開始した。この時点での受傷手への対応で正しいのはどれか。
1. 抵抗運動
2. 安静時の挙上
3. 動的スプリント製作
4. 他動関節可動域訓練
5. 弾性包帯による圧迫療法
- 1. 抵抗運動
- 2. 安静時の挙上 ✓
- 3. 動的スプリント製作
- 4. 他動関節可動域訓練
- 5. 弾性包帯による圧迫療法
正答:2番
解説
# 第60回 第B003問 解説
■ 正答:2番 — 安静時の挙上
植皮術後3日目は生着を最優先する時期であり、移植片のずれや剪断力を避ける必要があります。患肢の挙上は浮腫の軽減と静脈還流の促進を目的とし、生着を妨げない安全な対応です。
---
【各選択肢の解説】
1. 抵抗運動
❌ 誤り。術後早期に手指へ抵抗をかけると移植片に剪断力が加わり生着を阻害します。
2. 安静時の挙上
✅ 正しい。浮腫管理に有効で、移植片への侵襲が少なく術後早期に適切です。
3. 動的スプリント製作
❌ 誤り。動的スプリントは持続的な張力で関節運動を促すため、生着前のこの時期には不適切です。
4. 他動関節可動域訓練
❌ 誤り。他動運動による皮膚の伸張・ずれは移植片を剥離させる危険があります。
5. 弾性包帯による圧迫療法
❌ 誤り。瘢痕・肥厚性瘢痕への圧迫療法は生着が安定した後に開始するもので、術後3日目では早すぎます。
---
【試験対策ポイント】
植皮術後の作業療法は**生着のタイミング**で内容が変わります。生着前(術後約1週間以内)は**安静・挙上**が原則で、運動や圧迫は禁忌。生着後に**ROM訓練→圧迫療法(瘢痕管理)→動的スプリント**へと段階的に進めると整理しましょう。Ⅲ度熱傷は真皮全層に及び自然治癒が困難なため植皮が必要、という基礎知識も押さえておくこと。