第60回 作業療法士国家試験 午後 第6問
身体障害作業療法第60回午後
52歳の男性。右利き。脳梗塞による右片麻痺。発症後14日目に回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。意識は清明で、認知機能に問題はない。Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ、手指Ⅲ、下肢Ⅴ。疼痛や浮腫はない。機能回復を目的とした作業療法を図に示す。現時点でこの患者の右上肢に行う訓練で最も適切なのはどれか。
1. ペグ差し
2. 立位での輪投げ
3. 両手でボールを受ける
4. 輪を背中で持ち替え
5. 肘伸展位での窓拭き
- 1. ペグ差し
- 2. 立位での輪投げ
- 3. 両手でボールを受ける
- 4. 輪を背中で持ち替え ✓
- 5. 肘伸展位での窓拭き
正答:4番
解説
# 第60回 第B006問 解説
■ 正答:4番 — 輪を背中で持ち替え
上肢ステージⅢは共同運動が可能な段階で、随意的な分離運動はまだ困難。図4の「輪を背中で持ち替え」は、肩関節内旋・肘屈曲の共同運動パターンを活用しながら、徐々に分離運動へ移行を促す訓練として、上肢ステージⅢに最も適している。発症後14日目で回復期病棟転棟直後であり、共同運動を基盤とした難易度設定が重要。
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【各選択肢の解説】
1. ペグ差し
❌ 誤り。ペグ差しは手指の巧緻性・分離運動を必要とし、手指ステージⅢでは共同運動しかできないため困難。
2. 立位での輪投げ
❌ 誤り。上肢を空間でコントロールする分離運動を要し、ステージⅢでは難易度が高すぎる。下肢ステージⅤで立位は可能だが上肢機能の問題が残る。
3. 両手でボールを受ける
❌ 誤り。両手での動的な協調運動は上肢ステージⅢでは困難。さらに麻痺手のボールキャッチは分離運動・手指機能を要する。
4. 輪を背中で持ち替え
✅ 正しい。上肢の屈曲共同運動を利用しながら背面で輪を持ち替える動作は、ステージⅢの段階で実施可能かつ次のステージへの移行を促す適切な難易度である。
5. 肘伸展位での窓拭き
❌ 誤り。肘伸展位の保持は上肢の伸展共同運動またはそれ以上の分離運動を要する。ステージⅢでは肘伸展位の随意的保持は困難。
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【試験対策ポイント】
**Brunnstromステージ上肢Ⅲ**では随意的な共同運動が出現するが分離運動は不可。訓練選択の原則は「**現在のステージで可能な運動パターンを使いながら次のステージへ移行する**」こと。屈曲共同運動(肩外転・肘屈曲・前腕回外)を活用できる活動を選ぶ。
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