OTカコモン — 作業療法士国家試験 過去問・解説

第60回 作業療法士国家試験 午後 第15問

精神障害作業療法第60回午後
30歳の女性。統合失調症。高校在学中に発症し休学をしながらも高校を卒業した。その後数回の入退院を経て、現在精神科デイケアを利用している。「作業の手順が分からない」、「説明がよく分からない」と訴えるため、認知機能検査を実施した。図版の一部を図に示す。この検査で評価するのはどれか。 1. 運動機能 2. 遂行機能 3. 言語流暢性 4. 注意と処理速度 5. ワーキングメモリー
第60回午後第15問 図
  1. 1. 運動機能
  2. 2. 遂行機能 ✓
  3. 3. 言語流暢性
  4. 4. 注意と処理速度
  5. 5. ワーキングメモリー

正答:2番

解説
# 第60回 第B015問 解説 ■ 正答:2番 — 遂行機能 図版には大・中・小の円盤(球)が3本のポールに刺さった配置(AとB)が示されており、これはハノイの塔課題である。ハノイの塔は「大きい円盤の上に小さい円盤しか置けない」というルールのもと、最小手数でAの配置からBの配置に移動させる課題であり、計画立案・順序立て・ルール遵守・問題解決といった**遂行機能**を評価する。統合失調症患者が「作業の手順が分からない」と訴えている点とも合致する。 --- 【各選択肢の解説】 1. 運動機能 ❌ 誤り。ハノイの塔は認知的な計画・問題解決課題であり、運動機能(筋力・協調性・巧緻性)の評価ではない。 2. 遂行機能 ✅ 正しい。ハノイの塔はBADS(遂行機能障害症候群の行動評価)の下位検査「修正6要素検査」に類似した遂行機能課題として広く用いられる。計画立案・ワーキングメモリーの保持・段階的問題解決を要し、前頭葉機能と密接に関連する遂行機能の代表的評価課題である。 3. 言語流暢性 ❌ 誤り。言語流暢性はカテゴリー流暢性や語頭音流暢性検査(口頭での言語産出)で評価する。図版操作課題とは異なる。 4. 注意と処理速度 ❌ 誤り。注意・処理速度はTMT(Trail Making Test)やPASATなど時間計測を伴う課題で評価する。ハノイの塔は主に計画立案・問題解決を評価する。 5. ワーキングメモリー ❌ 誤り。ワーキングメモリーは数字配列や語の逆唱などで評価する。ハノイの塔にもワーキングメモリーの要素は含まれるが、主たる評価領域は遂行機能(計画・問題解決)である。 --- 【試験対策ポイント】 **ハノイの塔**は遂行機能評価の代表的課題。類似する評価ツールとして**BADS**(修正6要素検査・動物園地図など)を合わせて押さえること。統合失調症では**遂行機能障害**が中核的認知障害の一つであり、「手順が分からない」「段取りが立てられない」という訴えはそのサインとして重要。 遂行機能評価ツールの比較: | 検査名 | 主な評価領域 | |--------|-------------| | **BADS** | 遂行機能(日常的問題解決) | | **FAB** | 前頭葉機能(遂行・抑制・把握) | | **ハノイの塔** | 計画立案・問題解決(遂行機能) | | RBMT | 日常記憶 | | BIT | 半側空間無視 |
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