第61回 作業療法士国家試験 午前 第4問
作業療法治療学第61回午前
22歳の男性。海に飛び込んで頭部を強打し、頸髄損傷(完全麻痺)と診断された。受傷後2週の筋力はMMTで三角筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋は段階4。橈側手根伸筋、円回内筋、橈側手根屈筋、上腕三頭筋は段階0であった。この患者の残存機能を活用した食事動作の支援用具はどれか。\n1. PSB\n2. 万能カフ\n3. ポケット付き手関節伸展保持装具\n4. 食事ロボット\n5. 太柄スプーン
- 1. PSB
- 2. 万能カフ
- 3. ポケット付き手関節伸展保持装具 ✓
- 4. 食事ロボット
- 5. 太柄スプーン
正答:3番
解説
# 第61回 第A004問 解説
■ 正答:3番 — ポケット付き手関節伸展保持装具
本症例は三角筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋がMMT4(残存)で、橈側手根伸筋・上腕三頭筋・手内在筋は段階0である。残存筋から**頸髄損傷C6レベル**(Key muscleは橈側手根伸筋だが段階0のため機能的にはC5レベル相当)と判断される。手関節の能動的背屈はできないが、**腱固定作用(tenodesis)**を利用した把持は可能である。図3のポケット付き手関節伸展保持装具は手関節を伸展位に保持することでカトラリーを装着・使用できる自助具であり、この残存機能に最も適合する。
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【各選択肢の解説】
1. PSB(平衡型前腕装具)
❌ 誤り。PSBは上肢近位筋の著明な筋力低下(C4〜C5レベル)がある場合に肩・肘の支持補助として使用する。本症例は三角筋・二頭筋がMMT4で残存しており、PSBの適応ではない。
2. 万能カフ
❌ 誤り。万能カフは手関節・手指の機能が全くない場合(C5レベル)に手掌に直接カトラリーを固定するもの。本症例では腱固定による把持動作への応用が可能であり、万能カフより機能を活かせる選択肢がある。
3. ポケット付き手関節伸展保持装具
✅ 正しい。手関節を伸展位に固定し、ポケットにスプーンやフォークを差し込んで使用する。C6レベルで橈側手根伸筋が弱くても、上肢全体の動きと腱固定作用を利用して食事動作が可能となる。
4. 食事ロボット
❌ 誤り。食事ロボットはより高位の頸髄損傷(C4以上)や上肢機能が全廃に近い場合に適応となる。本症例には残存機能があるため、残存機能を活用する方針が優先される。
5. 太柄スプーン
❌ 誤り。太柄スプーンは握力が弱い場合(主に末梢性障害・関節リウマチ等)に把持しやすくするもの。頸髄損傷で手内在筋が全廃の本症例では、太柄にしても把持自体が困難であるため適応外。
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【試験対策ポイント】
頸髄損傷の自助具は**損傷レベル**と**残存筋**の組み合わせで選択する。
| レベル | 残存機能 | 食事自助具 |
|--------|---------|-----------|
| C4 | 横隔膜のみ | 食事ロボット・PSB |
| C5 | 三角筋・二頭筋 | 万能カフ・PSB |
| **C6** | **橈側手根伸筋** | **ポケット付き手関節伸展保持装具** |
| C7 | 上腕三頭筋 | 自助具なしで可能なことが増える |
「**腱固定作用**(手関節背屈→指屈曲)」を利用できるC6レベルがポケット付き装具の典型的適応として頻出。
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