第61回 作業療法士国家試験 午前 第12問
作業療法治療学第61回午前
次の文により11、12の問いに答えよ。\n65歳の男性。喫煙歴40年。最近、階段を昇ると強い息切れを感じるようになり受診。FEV₁:1.2 L、%VC:82%、FEV₁/FVC:55%、SpO₂:95%(安静時)、mMRCスケールはGrade 2であった。日中は自宅で過ごすことが多く、洗濯や簡単な料理などは自分で行っている。\nこの患者へのADL指導で最も適切なのはどれか。\n1. 洗髪動作は両手で行う。\n2. 食事の際にはPSBを使用する。\n3. 洗体時にはハンドタオルの使用を勧める。\n4. 動作時の口すぼめ呼吸の実施を指導する。\n5. 呼吸困難を認めればベッド上で過ごすように助言する。
- 1. 洗髪動作は両手で行う。
- 2. 食事の際にはPSBを使用する。
- 3. 洗体時にはハンドタオルの使用を勧める。
- 4. 動作時の口すぼめ呼吸の実施を指導する。 ✓
- 5. 呼吸困難を認めればベッド上で過ごすように助言する。
正答:4番
解説
# 第61回 第A012問 解説
■ 正答:4番 — 動作時の口すぼめ呼吸の実施を指導する
COPD患者のADL指導の基本は「**エネルギー節約**」と「**呼吸コントロール**」。口すぼめ呼吸は気道内圧を高め、末梢気道の虚脱を防いでCO₂排出を促進する。動作に合わせて「動作時に息を吐く(口すぼめ)」ことでADL中の呼吸困難を軽減できる。
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【各選択肢の解説】
1. 洗髪動作は両手で行う。
❌ 誤り。両手挙上位での洗髪は呼吸補助筋(僧帽筋・胸鎖乳突筋など)を上肢運動に使うため、COPDでは呼吸困難が増強しやすい。**片手で行いながら前傾位を保つ**など負荷を減らす方法が推奨される。
2. 食事の際にはPSBを使用する。
❌ 誤り。PSBは上肢近位筋力低下に対する補装具であり、COPDのADL指導では適応外。
3. 洗体時にはハンドタオルの使用を勧める。
❌ 誤り。ハンドタオルより**長柄ブラシ(背中洗い)**の使用が有用。ただし本選択肢はエネルギー節約の視点で考えると、大きなタオルより小さいハンドタオルの方が腕の動きが大きくなる場合もあり、むしろ不適切。
4. 動作時の口すぼめ呼吸の実施を指導する。
✅ 正しい。動作と呼吸の協調(息を吐きながら努力動作を行う)は、COPD患者のADL指導の基本中の基本。
5. 呼吸困難を認めればベッド上で過ごすように助言する。
❌ 誤り。過度の安静は廃用症候群・筋力低下・活動量低下の悪循環を招く。mMRC Grade 2で家事が可能な段階では活動維持が重要。
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【試験対策ポイント】
COPD患者のADL指導の**3原則**:
1. **口すぼめ呼吸**を動作に合わせて行う(呼気時に動作)
2. **エネルギー節約技術**(動作の簡略化・ペース配分)
3. **上肢挙上を避ける**(呼吸補助筋を確保するため)
mMRCスケールのGrade 2は「平地を歩くと他の同年齢者より歩くのが遅い、または平地歩行で休憩が必要」。Grade 4は「外出困難・着替えで息切れ」。**Gradeが上がるほどADL制限が強い**点を把握する。
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